19話『強欲』
サターテはチャイムが鳴ってまた来たと思った。
「今度はどの大罪だよ全く」
そして、サターテはドアを開けると
「お客様この商品は素晴らしいんですよ、この埴輪仏像、これがあると恋人も出……」
バタン!!
サターテはすぐにドアを閉めたが、
ピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーン
5分我慢したがやめてもらえなかった。
仕方ないのでドアを開けた。
「いやマジでやめてくれないアンモ、買わないからそれ」
「話くらい聞けよ、本当に素晴らしい商品なんだって、これを買ったら宝くじも当たるし、腰痛にも鎖骨にもいいし、何より恋人が出来る」
「おいやめろよ、他の要素を入れても俺の童貞を突っつくのは本当にやめてくれよ、恋人がいないことを堂々というのやめてよ、てか鎖骨にいいって何?」
それでもアンモは家に入り込み
「さあこの造詣も見てくれよ、かわいいだろ」
「どこがだよ、何で大仏のような格好で顔だけが埴輪なんだよ」
「それだけじゃないんだ、このスイッチを入れてみてくれ」
サターテはよく見ると下の方にスイッチがあった。
「何だこれ、これを入れればいいのか? いきなり壊れて金払えじゃねえだろうな」
「それはないから大丈夫だ、商売は信用が大事だからな、ちなみに値段は8万円だ」
「信用はどこ行ったんだよ、ぼったくりしてんじゃねえか」
そう言って仕方ないと思いスイッチを入れた。
すると、
ヴィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ
埴輪仏像は震えた。
「……何だこれ? 造形的にもおかしいと思うが」
「これで独り身でも大丈夫、これを使えば女の子にモテモテだ」
「何に対してのモテ方だよ!」
サターテが怒ったが、
「で買うのか、買わないのか、送料込で12万円な」
「いや買わんだろ誰も、バカなのかお前は!!」
そう言うとアンモは仕方なさそうに
「仕方ない向いの女性に売り捌くか」
「叶子さんか、いや買わんだろ」
取り敢えず売りに行こうとするのでなんとなくついて行って覗き見していた。
ピーンポーン
『はーーい』
「突然すみません、少しお話よろしいでしょうか?」
『セールスですか? いりません』
「まあまあ、お話だけでもよろしいでしょうか? あ、これ良かったらどうぞ」
アンモは最近人気のケーキを渡そうとした。
「あの野郎、俺には出さなかったくせに」
『うーん、まあ話だけならいいかな、でも買いませんよ』
「ありがとうございます」
そして、叶子は出てきた。
そして、ケーキを貰いそれを冷蔵庫に入れてからアンモの話を聞いた。
「実はですね、ちょっとこの商品を見て欲しいんです」
「何ですかこれ? 何で仏像の格好で顔だけが埴輪なんですか?」
「まあ、そこはツッコみどころだよな」
そして、そのツッコみを無視してアンモは商品の説明にする。
「こちらですね、幸運がすごく上がる代物でして、これを持ってるだけで宝くじも当たるし、腰痛にも鎖骨にもいいし、何より恋人が出来ると言った素晴らしい代物なんですよね」
「恋人が!! あれ、鎖骨に良いって何? それと大仏と埴輪の関係の説明が……」
更にアンモは説明を続ける。
「しかもこれ凄いんですよ、このスイッチを入れると素晴らしいことが起きるんですよ」
「はあ、そうですか」
叶子は怪しみながらスイッチを入れた。
すると、
ヴィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ
埴輪仏像は震えた。
「ね、素晴らしいでしょ」
アンモが自信満々に言うと
「いや、その自信はどこから出てくるんだ、こいつは何でこの下ネタを堂々と女の前で公表できるだ、完全にセクハラで捕まるな、あいつの顔もこれで最後かな」
サターテは呆れながらため息をついた。
「買います!!」
「毎度、送料込みで12万円です」
「持ってきます!!」
「……ウソでしょ、何で買うのこいつは」
サターテは残念そうな顔をして言った。
そして、アンモはサターテの下へと帰ってきた。
「ねえ、何で叶子さん買ったの? おかしくない、普通に買わないでしょ、何があいつを魅了したの?」
「さあ、バイブじゃね?」
「ついにバイブって認めたなお前」
サターテは呆れながらアンモにため息をついた。
すると、
『あああああああああああああああああああああああああああああああん、しゅごいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい』
「「!!」」
叶子さんの家から喘ぐ絶叫が聞こえた。
「……何だあの人、旦那と別れて溜まってたのか? カオスだなあの人も大概」
「まあ、人には言えない趣味があるし、いいんじゃね?」
そう言いながらアンモはカバンからまた何か出した。
「それはそうと、このツボなんだが他の人に紹介してくれたら、お金が儲かるぜ」
「何今度はマルチを俺に紹介しようとしてんだよ、やらねえよ、さすがに」
サターテはアンモにドン引きながら言った。
「それはそうとお前に金を払ってなかったっけ、ほら10000円分のさっきのツボ」
「いらねえよ! 売れってか?」
アンモは笑いながら
「一つ40円だけど他の人を紹介してくれれば10000円なんてすぐさ」
「やらねえってバカかお前は!!」
どうやってもアンモはサターテをマルチに引き込もうとするがかたくなに断った。
「しゃあねえな、ほら現金1万円だ」
「最初っからそれを渡せよ馬鹿」
そう言ってサターテは1万円を受け取った。
「今日は遅いからお前の家に止まっていい」
「まあマアリに聞いてみないといけないが」
「良いですよ」
声がする方を見るとマアリが帰ってきていた。
「いつの間にいたんだよ」
「さっきですけど?」
そして、マアリとサターテとアンモで晩御飯を食べた。
「そういえばマアリさんこの埴輪仏像いい商品でして……」
「まあ、どんなものなんですか?」
「おい、買うなよ」
マアリはサターテに忠告されたが商品の説明を真面目に聞いていた。
「今なら送料込みで12万円! どうですか、買いますか!」
「うーん、別にいらないかな」
「良かった……」
だが、マアリの性格を知ってアンモは
「お願いです! これ100個売り捌かないと帰れないんです」
「お力になれなくてごめんなさい、先ほど寄付をしてしまってお金はもう生活費しかないんです」
「お前は、買い物に行くのも生活するものしか買わないと思ったら寄付に使ってたのか」
マアリは笑いながら手を組み
「私はあまり欲しいものがないので、恵まれない子供たちの少しでも手助けになると思うとやめられなくて、ごめんなさいねサターテ君」
「まあ、別に君のお金だし、生活に支障をきたすようなことはしてないみたいだから別にいいんじゃね」
「そうですか、まあさっきの帰れないは嘘なんで気にしないでください」
アンモは笑いながら言った。
「アンモそれ詐欺って言うんだぜ」
「ダメですよ、嘘をついては」
「はい、ごめんなさい以後気負付けます」
サターテは呆れながら
(絶対にこいつ反省してないな、またやるわ)
と思った。
「今日は止まってもよろしいでしょうか」
「良いですけど、サターテ君と一緒の部屋でもよろしいでしょうか」
するとアンモは
「君と一緒に寝たい、絶頂を感じさせてあげるよ」
「おいやめろ馬鹿」
そう言ってサターテはアンモの首に持っていたフォークを押し当てた。
「分かったよ、仕方ない」
「仕方ないのかよ」
こうしてアンモは次の日の朝魔界に帰って行った。
「また来てほしいですね」
「そうか?」
サターテは微妙な顔をして言った。
そして、サターテはたまに叶子さんの家の前で突っ立っていることが多くなった。
近所の人にそれがばれ叶子さんにこっぴどく叱られた。
しかし、サターテは反省せず
「溜まってるなら、いつでも言ってね」
と言うが、
「警察呼んでもいい?」
の一言でサターテは叶子さんの家の前で突っ立ってることが無くなった。




