密約締結
「えー、そろそろ始発の時間となりました。これにて、オールドメイドを終了させてもらいます」
ディーラーの男が徹夜オールドメイドの終了を告げる。
途端に紫蘇と味噌は落胆の声をあげる。
「柳井社長、サシウマの件。わかってますね」
「ええ、わかってるわ」
深夜から未明まで、計11回戦行われた。
結果は、
リリー、241000点。
柳井社長、240000点。
柳井社長の一抜けが五回。
リリーの一抜けが六回。
他の二人が一抜けを取ることはなかった。故に一位と二位の競争であった。サシウマは全体の順位に関係なく特定の二人の順位で優劣を決める。
「それで、アパレル企業と仕事とは」
「実は、かくかくしこしこ」
「うーん。とりあえず今は休業中ということね」
「はい」
「再建はできなくもないけど、まず街金を何とかしないと。それが住んだら、しっかりとした、正確な事業計画をもって銀行に交渉にあたりましょ。話を聞く限り、その銀行マンはまだまだ集金力があると判断しての演技よ。その会社なら生き返ることもできるわ」
「…………工場が焼失してもですか?」
「程度によるけども、復帰のお金は出すわ」
「それは、子会社化とするのですか?」
「いえ、それはいたしません。こんなギャンブルで決めたことを役員達に言えません。ただのビジネスパートナーとして。私費で出しますわ」
「っ!? 本当にいいのですか?」
「定期的な売り上げ、堅実に徹すれば利益を出せる体質と思います。それに、堅調な自社ブランドもあるのでしょう。下請けとしてのブランドも作っているようですけど。でも、そんな会社が破綻してしまうのはあまりにもったいないわ」
「すいません。確認で訊きますが、会社は家族的経営が成り立つレベルです。いやむしろ、そういう方針をきちんと打ち出さないと経営が難しくもあります。どこにでもある工場には人材が集まってくることはありません。そのような小さな会社なのですが、いいのですか?」
加奈子の工場にはそういう側面がある。そこそこ業績が堅調なときに人材を確保しておくためには、家族的経営に偏ることが必要になる。小さな規模の工場にとっては。
柳井社長のアパレル企業は一流企業である。東証一部上場で世界的な技術を幾つも保有する会社は放っておいても入社を希望する人材が列をなすが、加奈子の工場にそれを望むべくもない。
「はい。構いません。自社ブランドを作っているなんて、魅力的です。そんな会社とお仕事できるのは嬉しい限りです。とりあえず、キャッシュフローに関するものと手形に関するものを見せていただければよろしいのですが」
「……火事で燃えちゃったりして」
「………………」
「………………」
「とりあえず、街金をなんとしてちょうだい。厳しいことを言うようだけど、話はそれかよ。はい、これ。私の名刺。一応直通電話の番号も書いてあるわ」
「ありがとうございます」
リリーは名刺をもらい席から立ち上がる。
その時、紫蘇味噌の二人に目を配らせた。二人は払える金が無くて、許してもらおうと土下座している。
【選択肢】複数可
①『いい勝負でしたよ。と健闘を称える』
②『もういいですよ。と助け起こす』
③『笑いを堪えつつ、もういいですよ』
④『見下しながらニヤリと冷笑する』
⑤『馬鹿にしたように大声で嘲笑する』
⑥『指を指し、腹を抱えて苦しくなるまで笑う』
⑦『もっと頭を下げろ!と笑いながら言う』
⑧『唾を吐きかける』
⑨『無言で立ち去る』
「ぷっは! はあーーはっはっはっはっは!!!
土下座してるーー!
ねぇ、今どんな気持ち? どんな気持ち? ねぇねぇ。
ペッ!!
おら、もっと頭を下げろっ! くっ、はーーはっはっはっは!
ニヤニヤ、( ̄ー ̄)
くくく、あーー、腹痛てーー。
あ、あの。も、もう。くっくっく。もういいですよ。
と、でも思ったか!! バーカ!!
はっはっはっはっは!!! はっはっはっはっは!!!」
「あなた、えげつないわね。どうしようかしら。やめようかしら」
「何いってるんですか。約束は約束でしょう。社長」
リリーはにやぁと外道の笑みを浮かべる。
「あ、あの。始発来ますので」
ディーラーの男がリリーを帰らせようとする。リリーはそれに従い、ガチャとマンションのドアを開ける。その時。
【選択肢】
①『それじゃあ、また』
②『私に勝負を挑むなんて100年早いのよッ!!』
③『フン! と鼻で笑う』
④『クスッと笑う』
⑤『丁寧に会釈をする』
⑥『無言で立ち去る』
「私に勝負を挑むなんて、100年早いのよッ!!」
リリーはマンションを後にし、始発に乗って加奈子のいる魅杏の家へと向かう。




