第三十一話 「約束」
新章一発目は、今作の最大のキモとなる「約束」についてです。
この章は美空が中心となって登場人物が出てきますが、夏菜も負けてないという具合で進ませたいかな、と思います。
俺はここ最近、ロクに眠れていない。
目を閉じるたびに去年の光景が夢に浮かび出てくるからだ。
ぶっちゃけた話、地元・手稲の同学年とは夏菜としか会ってない。
たまに美空に会うくらいで。
それくらい、俺は人間関係の傷跡が深々と残っている。
勿論俺のバイト先もスーパーで働いている勢はいるんだけども、ソイツとは仕事中でも一切会話をしていない。
嫌だから、俺自身が。
夏菜と付き合い始めてから徐々に癒えては来たんだけども、そう簡単に抜けるような記憶でもない。
俺は今日はデートの予定もバイトもないので、いつものように格ゲーをして時間を潰していた。
(……約束、か……ったく、なんで思い出しちまうんだろうな……忘れたつもりだったのにな……)
俺自身、幼少期から友人らしい友人はおらず、美空だけが遊び相手だった。
……とはいっても、アイツに付き合う形だったんだけど。
少なくとも俺からアイツを誘ったことはなかった。
そういやあ、このマンションの近くの公園で……2人でバカやってたっけな、ガキの頃。
内容はマジで忘れたけどな。
それで家に帰るとき、アイツは必ず言ってたんだよな、「大きくなったら勝樹のお嫁さんになる!! 約束だよ?」……って。
小6になってから、お互いが「男女」として意識し始めたのか、距離を置くようになってしまったしな。
中学に上がってからはあの地獄だ。
事の発端はアイツだから。
……まあ、美空のことだから、そういう事も覚えてねえだろうけど。
そりゃそうか、揶揄いに行ったりしねえもんな。
俺と夏菜が手を繋いでいるところを目撃してそう言ったんだし、美空が。
けどもしアイツがアレを覚えていて、今までの「キモい」とかって言ってきてたのってもしかしたら……「好き」の裏返しだったのかもしれねえし。
真相はアイツにしか分からない、俺は被害者なんだから。
かといって知っても許すわけじゃねえし、今の俺には夏菜がいる。
それで十分なんだよな……幸せなはずなのに、なんでこんなモヤモヤするんだろうな。
分からねえ、分からねえけど、これでいいんだよな、そうだよな……俺は美空じゃなくて夏菜を選んだ。
それでいいんだ……。
俺はそう言い聞かせながら、格ゲーのオンライン対戦をこなしていくのだった。
次回は美空パート。




