第十話 沢城と夏菜の現在地
恋の話の回。
修学旅行とはまた少し違うノリです。
登場人物はメインヒロインの夏菜です。
和吹夏菜 新陽高校一年 帰宅部 手稲本町中出身 159センチ37キロ 3サイズB91W59H86 好きな食べ物 マカロン 趣味 格闘ゲーム、スイーツを買うこと
一年5組で最も廊下から遠い席に座る少女。
セミロングの髪と整った顔立ちが特徴。
人当たりがよく、人気者だったが、中3の文化祭を境目に孤立し、現在も心を閉ざしている。
オドオドした性格になった現在では、趣味仲間の沢城と気にかけ続けてくれた渡辺と以外、殆ど話していない。
格闘ゲームの腕前は沢城とほぼ互角。
鰐が好きという意外な一面もある。
着痩せするタイプで、林間学校までは沢城は夏菜が巨乳であることに気づかない程。
めちゃくちゃビビりでオバケが大の苦手。(肝試しのあと失禁していた)
レクリエーションも無事終了して、入浴を済ませた俺たちは、桜田、嶋田、斎藤と同部屋のメンバーで恋の話になった。
正直俺は恋愛はしないと決めていたが、和吹が気になっているのは事実だ。
桜田や嶋田、斎藤が口々にウチのクラスの女子の名を上げる中、俺は一人、しおりを読んで明日の確認をして、聴いていないフリをした。
「おい! 沢城はどうなんだよ! 誰か気になっている子がいるのか?」
桜田が俺を悪ノリに誘おうと、声を掛けてきた。
「……いねえよ。」
無愛想に俺はそう返した。
と、ここで斎藤が俺にこう聞いてきた。
「渡辺さんとか和吹さんは気になってねえのかよ。……お前、それだったら彼女出来ねえぞ?」
まあ確かに図星だが、別に恋人で付き合いをするわけではないし、身勝手にあの二人の名前を出せばそれこそ失礼だと思っていた俺は敢えてこう、答えた。
「別に、悪い奴じゃねえのはわかる。あの二人は。向こうの気持ちがわからねえ以上俺が好き、だとか気になっている、とかって言える立場にはねえよ。……ただでさえ俺はこういう奴だ、失礼以外にねえよ、俺が彼女を持つとかな。」
そういって俺は、勝手に語ってろ、というスタンスで布団に包まった。
「お前現状女子からモテてんのに勿体ねえぞ? 告られたらどうすんだよ!」
と、嶋田から煽られる。
「こっちからお断りだ。……第一俺が好きじゃねえやつと付き合う義理はねえよ……。」
本当は和吹から告られたら嬉しいのだが、そんな表情は俺はアイツらには見せたくなかった。
確かにこの3人は悪いやつじゃないのは分かるし、俺も別に桜田達のことも、クラスメイトのことも嫌いではない。
ただ、避けているだけだ、俺が自分から。
勝手に寄ってくるだけなのだ、人が。
俺の恋バナはそこで終了となった。
一方、和吹サイドは。
流川日菜、代永美弥子、渡辺、和吹が部屋のメンバーだ。
こっちも恋バナになっていたのだった。
流川が切り出す。
「テーマは気になる男子! 行ってみようか!」
そうして始まった、1-5の最終人数の恋バナ。
代永がトップバッターを切る。
「先輩とかでもいいかな?」
「うん、いいよ全然。」
「男子ハンド部の海藤先輩。カッコいいし、球速いしでさ? 私の憧れかな。純粋に。」
「あー、私もたまに見るけどね、ハンド部の練習。確かに海藤先輩はかっこいいわ。……じゃあ次、沙里奈、行ってみよう!」
「えー………?? うーん、どうだろ。気になってる男子かー……」
悩んでいる渡辺に対して代永が詰めていく。
「沢城とかどうなのよ。アンタ1番話すじゃん、女子だったら。」
「沢城くん?? まー……確かに夏菜ちゃんと話すときには色々アドバイスとかくれたけど……こ、恋心とかは、ちょっとないかな……怖いし、なんか。」
流川がそれにまた、詰める。
「怖いって、何が? なんかアイツを避ける理由ある? 沙里奈がさ。」
「なんか……考えてることが全くわかんないんだよね……委員長副委員長関係ではさ、確かに一緒だし、仕事することも多いけど……友達関係なんてめちゃくちゃ達観してるし……なんだろ、付き合うってなったらギスギスはするかも。」
「あー、なんか沙里奈が言うと納得だわ。一匹狼だし、アイツ。」
「でしょ? てか日菜はどうなの? 夏菜ちゃんは最後に取っとこ? 現時点で1番気になるのそこだし。」
「えっ!?」と声を出した和吹。
どうやら、まさか振られると思っていなかったので驚いていた。
流川は少し考えた後でこう答える。
「言い出しっぺの私が言うのはアレだけどさ、相川かな。強いて言うなら。……ホントに強いて言うなら、だよ? 男子みんなクセ強じゃん。沢城にしろ、桜田にしろ。だから1番まともなの相川かなーって。」
「まー、確かにねー。でも日菜さ、それは恋心ではないっしょ。」
「い、いいべさ! ホントの事なんだし!!」
流川は代永の指摘に慌てていたのだった。
「じゃー、最後……夏菜ちゃん、行ってみよか。」
ついに来た、和吹のターン。
また、テンパっている。
「え……ええっ……と………」
渡辺達はワクワクしながら聞いていた。
その回答を。
数十秒経ち、和吹が小さい声で呟く。
「……さ……」
「「「さ?」」」
「沢……城……くん………」
頬を紅潮させながら俺の名を出した和吹。
和吹は恥ずかしさからなのか、顔を手で覆う。
「マジ!? 和吹さん、沢城が気になってるの!? え!? どこが!? どこが好きなの!?!?」
流川が食いつくように和吹ににじり寄る。
「ちょ……落ち着いてって、日菜……」
渡辺が流川を諌めようとする。
と、ここで、代永が含み笑いで渡辺を揶揄う。
「沙里奈、恋のライバルじゃん。和吹さんが沢城が好みってwwww」
「だから沢城くんは違うってば!!」
テンパる渡辺を他所に、和吹が答える。
顔を覆ったまま。
「や……優しい……ところ……」
……とだけいい、和吹は布団に包まってしまった。
よほど恥ずかしかったのだろうか。
「沙里奈……沢城に優しいところってあった??」
「……でも悪いやつじゃないし……どうなんだろ……」
流川の質問に唸り声をあげる渡辺に代永が返す。
「まあでもさ……沢城も意外と顔悪くないし背も高いし……案外、合うかもよ?? 和吹さんと。」
「けどアイツ人嫌いそうだしね。……どうなんだろ、実際。……よく話してるけどさ、和吹さんは、最近。」
「でも……そうと知ったら私らは応援するだけじゃない? 夏菜ちゃんの恋をさ?」
一方で和吹はこう思っていたとのことだ。
(……沢城くん……私のこと、どう思ってるんだろ……私が一方的だったら……どうしよう……)
俺もこう、思っていた。
(正直和吹が好きなのは事実なんだけど……俺の思い過ごしだったらハズすぎるしな……)
……両想いだったのは確かではあったのだが……お互いヤキモキしている状態だったのだった………。
翌日。
今日は登山の日だ。
俺も登山自体は初体験だったが、昼食は真空パックに詰められて用意されていたし、水も自由に飲める。
案外楽なのかもな、そう思っていた。
登山が開始すると同時に、俺はこう、思っていた。
6組のやつがうるせえ……と。
それもそのはず、背の順で俺が5組の1番後ろだったから尚更うるさく聞こえてきたのだった。
小説家人生の中で初めてネットスラングを使ってしまった件について。
次回は登山と、沙里奈の紹介です。




