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プロローグ

プロローグ


目の前に見える群衆。

これだけの人数が城下に集まっているのは祭りでもない限りなかったこと。

だが今日に限ってはたった一人の為に集まったといっても過言ではない。


「これより悪しき魔女『・・・』の処刑を始める!」


私の隣に立っている男の声に集まった群衆の視線が一か所に集まる。

金属の十字架に張り付けられている私に。

一応の為に言っておくが、私は何も悪事を働いた覚えはない。

鬼畜まがいの人体実験とか、考えなしの自然破壊とか。

ハッキリ言って身に覚え無いのない罪で私は死刑となっている。


(「何となく想像は付いているんだけどね」)


戦争があった。何処にでもある人間と魔族との戦い。

魔族は魔物を従えて大陸全土を襲い、人間はそれに抗い幾多の屍を作りながら勝利した。

その中でも私の活躍は群を抜いていた。だからこそ魔女と呼ばれる。


「この魔女はかの戦争で魔族と結託し、自分自身の勝利を作り出していた!」


(「そんな訳ない。というかどう考えても魔族にとって下策でしょうに」)


何処の世界に好き好んで負ける道筋を自分で作ろうとするバカがいるのだか。

簡単な話、この国は私の力を恐れたんでしょうね。

魔族を圧倒した力が次は自分の国に向けられるんじゃないかと。

私自身がそんなことを全く考えていないといっても、人の思考は千差万別。

特に王様がそう思ったのなら歯止めなんか聞くはずもない。

戦争で何処の国も疲弊しているし、幹部達もさっさと戦争のことは忘れたいのだろう。

何よりその幹部達も私の力に畏怖を覚えているはず。

私自身、あの戦争ではやりすぎたと思っている。

早期終結の為に出し惜しみなしで魔法を使いすぎた。


(「戦場が荒野だったから良かったけど、森林とかだったら大変なことになっていたかなぁ」)


確実に環境破壊で訴えられるだろうね、主にエルフとかに。

人間だけでなく他の種族からも嫌われてしまったら、どうにもならないだろう。

今の状況もどうにもならないけど。


(「魔法封じの猿轡に思考ジャミングの首輪か」)


一流の魔法使いでもこうなっては何もできない。

詠唱を封じられ、無詠唱も思考能力も低下されているんだから上手く発動しない。


(「化け物扱いされている私には関係ないけど」)


こんな状態でも私は魔法を使える。少し精度が落ちるかもしれないけど。

どうも魔法に関していえば才能が異常らしい。

師匠曰く常識が裸足で逃げ出すレベルだとか。否定できないのが悔しい。

だったら何故この場から逃げようとしないか、何故捕まっているのか。


(「教えを守るのも大変だな。それに誓いを立てている私もどうかと思うけど」)


『魔法は人々の為に役立てる為のもの』というのが師匠との誓い。

命を懸けてでも守らねばいけない契約といっても過言ではない。

だからこそ魔法で人を傷つけない、人々の為に私は死のうとしている。

裏の事情も知っているからこそ。


(「だからといって恨みが全くないわけではないのだけど」)


殺されるのに誰が晴れやかな気持ちになれるというのだ。

陰鬱となるし、ストレスだって凄まじい勢いで溜まり続けている。

ということを考えている間に口上が終わって、刑が執行されるようだ。


「これより魔女を火刑と処す!」


火炙りですか、そうですか、予想はしていたよ畜生。

十字架の下に藁をかなり敷き詰めていたからそんな気はしていたよ。

今更逃げ出すのも格好悪いし、何より金属に杭で両手両足を打たれているから逃げるのも面倒くさい。


(「事前に痛覚遮断の魔法を使っておいて良かった」)


全身燃やされるのに何の対策もしていないわけではない。

最後の意地だけど悲鳴上げず、苦しむ顔を見せないくらいの気構えじゃないと。

一層のこと笑顔でも向けてあげようかな。


「あの炎の中で笑うなんて正気か!?」

「やっぱり化け物なのよ!」

「実は魔族なんじゃないか?」


色々と失礼ないことをいっているな、この市民達は。

というか何が面白くてここに集まったのやら。焼死体がそんなに見たいのか。

臭いわ、グロイわで、いいこと何もないのに。

むぅ、意識が遠のいてきた。

痛覚遮断しているからといって無敵でもない。

生命維持に必要な組織が軒並み焼けて行っているのだから仕方ない。


(「短い生涯だったなぁ。輪廻転生って本当にあるのかなぁ」)


仮に次に生まれる時は平々凡々とした人生を歩んでみたいものだ。

魔法を習って、戦場に放り出されるとか、もう勘弁。

でもある程度の力はやっぱり必要だよね。


(「来世に幸あれ」)


思考が途切れ。私の身体はその数分後に焼け落ちた。

のちに語られる『惨劇の魔女の最後』というのが歴史に残される。

真実か偽りかは議論されるはずもなく、ある一国で起こったされるだけ。

歴史は埋もれ消えていくもの。だからこそ戦争にどうやって勝利したのかも適当に綴られているだろう。

魔女の活躍が無ければ勝利などなかったということも、虚言で塗りつくされる。


さぁ次の歴史へと話を進めよう。


かなり久しぶりに書きます。

拙い文章ですがよろしくお願いします。

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