表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
7/7

⑦ 厨房のお手伝い

 今日もリズは大切な人形モコちゃんを抱えて城内を探検中。

 トコトコ歩いているとどこからかいい匂いがしてきた。

「⋯⋯? いい匂い、なんだろう。こっちからする!」

 匂いのする方へとタタタッと走り出したリズは、大きな扉の前で足を止めた。

「ここからだ⋯⋯なにかな?」

 少し扉を開けて中を覗き込んだ。すると中では忙しなく料理人たちが、動き回る城の大きな厨房だった。

「⋯⋯わぁー!」

 扉の隙間から覗いていたリズの口から歓喜の声が漏れる。目をキラキラ輝かせ見つめる。

「おや、アリザ王女殿下ではないですか。どうされましたか?」

「⋯⋯あ、みつかっちゃった」

 覗いていると、料理長に見つかってしまった。

 料理長は料理人達には厳しく指示を出しているけれど、リズを見つけると、目の前にしゃがみこみ優しい笑みを浮かべ問いかけた。

「お腹でも空きましたか? ⋯⋯先程焼いたクッキーありますがどうですか?」

「クッキー⋯⋯?」

 首を傾げると料理長は優しい笑みで、クッキーを差し出した。リズは1つ手に取ると口に運ぶ。

 クッキーの甘さが口いっぱいに広がり目を輝かせた。

「リズも!リズも作ってみたい! お父様とお母様にあげるの! あ、あと、リュカお兄ちゃんと、アルトお兄ちゃんと⋯⋯」

「⋯⋯いいですよ、やってみますか?」

 目を輝かせ「作りたい」と言い出したリズに優しく料理長は言った。

「うん!やる!」

 リズは嬉しくて飛び跳ねるように喜んだ。

 料理長は厨房の奥のスペースまで連れていくと、小さなエプロンと三角巾をリズに用意してくれた。モコちゃんは隅に置いてあった椅子に座らせて、エプロンをつけてもらった。

 そこから料理長とクッキーを作り始めた。

 教えてもらいながら、料理長に手伝って貰いながらリズは生地をこねる。

 夢中になりすぎて気が付けば頬に粉をつけていた。

((か⋯⋯可愛い!!))

 厨房内の料理人たちは、粉をつけながら頑張るリズに心の中で悶絶していた。そんな料理人たちに料理長は視線だけで手を動かせと指示を出す。慌てて作業に戻る料理人たちの前でせっせと生地をコネコネと楽しそうに練るリズ。

「⋯⋯アリザ王女殿下、そのくらいでいいですよ。次は型抜きしましょう。⋯⋯モコちゃん⋯⋯ひつじ型もありますよ。好きな型使ってこうして抜くと⋯⋯ほら」

「⋯⋯わぁー!すごい! リズやる!」

 リズは目を輝かせると、ひつじの型を手にとると、生地に置いてぎゅっと上から体重をかける。

「⋯⋯わぁ!みてできた!モコちゃん!」

「お見事。上手です王女殿下」

 褒められたリズは嬉しくなり、せっせと大好きな家族を思いながら型を抜いていった。

 一生懸命作業するリズの体からほんのり温かい光が漏れていることに夢中なリズも、料理長も、誰一人気が付かなかった。

 やがて、たくさんのクッキーが天板に並び、大きなオーブンに運ばれていった。

 オーブンの前でモコちゃんを抱えジッと焼き上がるのをまだかなまだかな待った。厨房の中に先程よりも香ばしく甘い匂いが広がる。

「焼き上がりましたよ、王女殿下」

 料理長の声とともにオーブンから出てきたのは綺麗にこんがりきつね色に焼けたクッキーたち。

 料理長がそれらを丁寧に冷まし、可愛らしいカゴに小分けにして詰めてくれるのをジッと眺めるリズ。

「⋯⋯どうぞ。美味しくできあがったと思いますよ」

「ありがとう! お父様とお母様に届けてくる!」

 リズへ手渡してくれた、料理長へお礼を言う。

「はい、行ってらっしゃい。きっとお喜びになりますよ」

 料理長や料理人に笑顔で見送られて大事そうにモコちゃんと一緒に胸に抱えて持つと両親の元へかけて行った。


 リズが早歩きでトコトコまず向かったのは、図書館だった。そこには『ミラローズ妃殿下』専用となっている、図書スペースがある。きっと両親はそこにいるはずである。

「おとーしゃまー、おかーしゃまー!」

 カゴを抱えて図書館へ顔を出す。

 予想通り、本を読むミラと、その横でミラの腰にてを回しながら書類をめくるノアの姿があった。

 リズに気がついたミラが優しく目を細め微笑んだ。

「あら、リズ。どこ行ってたの? お顔に白い粉がついてるわよ?」

 ミラがハンカチを取り出してリズの頬についた粉を優しく拭く。

「⋯⋯みてみて! コレ!」

 カゴのなかから小分けにされたものを1つリズは両親に差し出して見せた。

「あら、美味しそうね。⋯⋯これどうしたの?」

「リズがちゅうぼうで、お手伝いしてきたの! リズが作ったクッキー!」

「⋯⋯まぁ! リズが作ったの?」

 袋を開けると香ばしくきつね色のクッキーが出てくる。

「食べてみて!」

 嬉しそうに言うリズの言葉に2人は1つクッキーを口にする。すると口の中に広がる甘さと、なにか癒されるような感覚。

「⋯⋯これは、リズの魔法が宿っているようだな。あとはミラが食べてくれ。きっとこれならミラ魔力が満たされるはずだから」

 ノアは手に1つ取るとミラに差し出した。頬を赤く染めながらも差し出されたものを口にするミラ。

 その様子をジッと見つめながらリズは(お父様は、お母様しかもう見てないんだからー。⋯⋯まぁいっか、リュカお兄ちゃんたちにも届けなきゃ)と思いながら微笑むのだった。

「おとーしゃまとおかーしゃま、イチャイチャ。⋯⋯リュカお兄ちゃんたちにも届けてくるのー。いってきます」

 クルッとイチャイチャ始まった両親を置いてリズは他の人にもお届けするために図書館を後にした。

 その後、ルーカスとアルトの執務室へいき届け、国王と王妃の所へ届け、リズの作った癒しのクッキーでみんなが癒されて元気になったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ