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⑭小さな騎士の特訓

 ルーカスの元で隣国の王子が泣きながら帰ったことを知り、お菓子ももらって満足したリズとテオドール。

「⋯⋯まだ、時間ありそう。僕、訓練所に行きたい。お迎えが来るまで、剣の練習したいんだ」

「いいよー! 行こう! リュカお兄ちゃん、バイバイありがとー」

「あ、ありがとうございました」

 二人はルーカスにお礼を言うと部屋を後にして、訓練所へ向かった。


 訓練所に到着すると、リズは端にあるモコちゃん専用の椅子に腰掛け、モコちゃんを膝の上で抱きしめて見守ることに。

「あれ、アリザ王女は今日やらないんですか?」

「うん。今日はテオを見守りに来たの! テオはリズの騎士様(ナイトさま)なんだから」

 いつも突撃してくるリズが椅子にちょこんと座ったのを見て騎士が声をかけた。

 リズは今日の目的を自慢げにお話した。珍しいものを見るように驚いた顔をする騎士たち。

 その横には、木刀を手にリズの言葉に少し照れたようにしながらもキリッとした表情でテオは構えている。

「お願いします! 僕、特訓したいです!」

 真剣な眼差しで訴えに騎士たちはテオの特訓に付き合ってくれた。「お、筋がいいな」「将来が楽しみだな」など現役騎士たちも絶賛する腕前を披露する。

「テオ頑張ってー」

 リズの応援に少し顔を赤くしながらも真剣に戦う様子には騎士たちも答えてくれた。

 ――楽しい時間も終わりを告げる。

 テオドールのお母様が訓練所へ迎えにきた。その横にはルーカスの姿があった。ここに居ると知っていたルーカスがお母様を連れてきたらしい。

「テオドール、帰るわよ。アリザ王女とたくさん遊べた?」

「うん! 遊べたよ! リズちゃんありがとう。また遊ぼうね」

「うん、また遊ぼうね! バイバイ!」

 テオは笑顔で手を振ってお母様と手を繋ぎ帰っていった。

その後ろ姿を見送ったリズはモコちゃんを抱き直して、ルーカスの方へ手を差し出した。その手を取ると、彼は言った。

「⋯⋯さぁ、リズも戻ろうか。ミラが心配してるよ」

「リュカお兄ちゃんがお母様の様子見たいんでしょー? 知ってるんだからー」

「⋯⋯リズ。はぁ〜⋯⋯その通りだけど、そろそろ戻らないと本当にミラが心配するだろ?」

 リズの確信的なツッコミはお父様のノアだけでなく、ルーカスにもだった。この2人がお母様のミラローズを心配することはわかっている。ルーカスも心配しているが、影の傍観者というか、体調の良さそうなミラを見て密かに安心して頷いている。

「はーい」

 リズはニコニコ笑いながら返事をするとルーカスに連れられて両親の元へ帰っていくのだった。

 ルーカスにも、今日のことを話しながら向かったのは図書館ではなく、両親のいる部屋に戻ると、ソファに座り本を見るお母様とその横でがっちりとミラの腰に手を回しているお父様の姿が。

「⋯⋯あら、リズ。おかえりなさい。リュカもありがとう、連れてきてくれて」

「うん。元気そうで良かった。俺は帰るね、ノアも子どもの前くらいは程々にしてくれよー」

 ルーカスはそう言って帰っていった。リズも笑顔で手を振って見送った。

「おとーしゃま、おかーしゃま聞いてー! 今日はね、失礼王子が、モコちゃんのことバカにしてきたの! リズ悔しくて⋯⋯でもね、テオが追い払ってくれたのー!」

「⋯⋯失礼王子?」

「隣国の王子だよ、リズの宝物をバカにしたらしい。泣いて怒ってたところにテオドールに助けてもらったんだよね?」

 お母様の疑問にお父様が付け足すように話してくれた。お父様はテオに助けられた後に王子を探していた時にリズに会って経緯を聞いたので知っていたからだ。

「そうなの! それでね、その後テオと探検したんだよー!それから、テオがリズの騎士になるって、訓練所に行って特訓したんだよー!すごくかっこよかった!」

「まぁ⋯⋯!テオドールくんがリズの騎士に? 良かったわね、リズ」

 ミラはふわりと微笑みながら話を優しく受け止めた。

 一方でリズの話を聞きつつも、ノアは視線はミラへ向けたままに、先程と変わらず腰の辺りに手を回したまま、「ふーん、テオドールの方がいい子だな、あの王子よりも」とボソッと呟いた。

(そっか、リュカお兄ちゃんの言ってた、リズのことを心配しているって、こういうことなのか)昼間にお父様が結構心配してくれていることをルーカスに聞いて知ったリズは、こういう何気ない一言も実はリズのことを気にしての言葉なんだなーと答えが一致した。

「⋯⋯おとーしゃまもありがとー。あの失礼王子を追っ払ってくれたんでしょー?」

 リズの確信的な問いかけにノアの視線がようやくリズへ向く。

 確信犯な笑みを向ける愛娘に一つためノアはため息を吐いた。

「⋯⋯リズ、部屋に戻りな」

 感謝されてそんなふうにリズを追い払おうとするノアに、リズも、ミラローズも声に出さずに笑う。これが照れ隠しなんだろうなと思いつつ、リズは両親から離れていく。ミラもそんな夫の様子に、愛おしそうに微笑んで寄り添うのだった。

 今日はテオに守って貰えた満足感と、お父様の隠れた優しさに触れて大満足な1日を終えて自分の部屋に戻るとクロエが出迎えてくれた。リズは嬉しそうに駆け寄ると、今日1日の楽しい時間をたくさんお話するのだった。

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