第71話 ジョッキ烏龍茶
案内された個室には、大きな円卓があった。
凄い、初めて見た!
「こはるちゃんどうしたの?」
「これ、実在したんですね」
映画の小道具だと思ってた。
「とりあえず何品か頼むね」
熊さんがメニューを見ながら注文していく。
こういう時、自然と熊さんがまとめてくれるのよね。
……あっ!
当たり前のように熊さんの隣に座っちゃったけど、お義父さんの隣にも座ってみたかったな。
お兄ちゃんは――猫の隣でメニューを見ていた。
「北京ダックと、海老のチリソース、青椒肉絲、油淋鶏、フカヒレスープ……あと炒飯も頼もうか」
「僕は杏仁豆腐」
怒涛の勢いで注文をする熊さん。
デザートを最初から注文する猫。
「こはるは何食べるー?」
「胡麻団子」
「こはるちゃん、それはデザートだよ」
「じゃああれ食べたいです、ほら包んであって、ハフハフ食べる……」
「小籠包だね」
さすが熊さん、今ので分かってくれた。
「何を飲む?」
「紹興酒にしようかな」
キラキラ王子が答えると、黒い人も同じものを頼んだ。
さすが大人、選ぶお酒の名前が優雅ね。
「こはるちゃんは飲み物どうする?」
「黒烏龍茶で」
「僕コーラ!」
猫は迷いがなかった。
それにしても田中が静かね。
ちらりと見たらちゃんといた。
ただ……店の高級さにガチガチになっている。
あと普通にスタッフは別部屋だった。
逃げた感が凄い。
注文を終えてしばらくすると、最初に飲み物が運ばれてきた。
私の前には黒烏龍茶、猫にはコーラ。
熊さんは……なんだろう、あれ、ジョッキだけどビールじゃないわよね?
「熊さん、それは?」
「烏龍茶だよ」
飲み物も規格外だった。
その隣ではキラキラ王子と黒い人が、優雅に紹興酒を飲んでいる。
同じテーブルなのに差が凄い。




