直己と謎のおっさん
なんて理不尽な世の中だ。直己はそう思った。
直己がこれまでに掲げた夢。100マイルの速球を投げ込むメジャーリーグのエース、10万人の観衆を一つにするミュージシャン、生涯無配のチャンピオン。けど結局はそれらに打ち込む財力が家庭にはなく、野球は中学生まで、ミュージシャンもファイターもテレビの中の人達だった。
そんな直己も大学4年生。まじめにやれば就職できないことはない2流大学の理学部に通い、なんとなく就職活動をしていた。ただ、なんとなくなので、どこの会社の目にも留まらない。「ああ、ここかな」と思った唯一最終選考まで残った会社も、当たり障りのない面接の末敗退。結局自分は何がしたいのか分からないまま、またなんとなく就職活動と学校生活の往復を繰り返す毎日だった。
そんなぼんやりした直己の直感が言っているのは
「俺は、たぶん、サラリーマンではない気がする。」
という言ってしまえば現実逃避。じゃあ何がしたいのって親に聞かれても
「んー、わからない。」
としか言いようがない。だって日々なんとなくすごしてるんだもん。そんな直己の口癖は
「刺激が欲しい。」
何事も受身になっているのにそんなこと言ってどうするのか。
ある日の帰り道、好きなラーメン屋さんで濃ゆい豚骨魚介系のラーメンを食べ終え、歩いていると見知らぬおっさんが行く手を阻むべく立ちはだかっている。でも、直己の家はそこを通らねば帰れない。邪魔だ。果てしなく邪魔なのだ。
「すみません、どいてくれませんか。」
直己が言うと、
「君、私が誰だか聞かないのかね。」
とおっさんが言うもんだから、
「いや、知らないおっさんに興味はないっす。」
と直己は言った。するとそのおっさんは
「君、毎日なんとなくすごして、何がしたいのか分からない、うーん、例えて言うなら駄目な大学4年生な顔してるよ。」
というので、
「なんなんすか、別にいいじゃないですか。いいからどいてくださいよ。」
と直己が言うと、おっさんは、
「質問ターイム!」
と威勢良く始めたのである。
「第一問、君の今一番好きなスポーツ選手は?」
聞かれた直己はうんざりしながらも、答えればさっさと終わるだろうと思い、
「マニー・パッキャオ」
と答えるとおっさんはメモを取りながら、
「第二問、君の好きなラーメン屋さんは?」
「中華そば田み戸。」
「第三問、一億円持ってます。どうする。」
「子供3人育てるために貯金します。」
一連の会話の後、おっさんは言った。
「君は5階級制覇したい上に、ネット上でも一番と噂されるラーメン屋をこよなく愛し、結婚できるか分かりもしないくせに、子供3人つくっちゃってる、うん、いわば最強幻想を抱いてやまないロマンチストですね。」
思わず直己は、
「ドラクエⅢの性格決めるやつかよ・・・。」
とつぶやき、
「もういいっすよね。」
とおっさんを突破しようとしたその瞬間、
「イーッッツショウターイム!」
とおっさんが叫びだした。その瞬間、直己の目の前は真っ暗になり、
「ポケモンで全滅したときかよ・・・。」
とつぶやきながら気を失ったのだった。
よかったらひどいですけど感想ください。




