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異世界狩猟物語  作者: 田島久護
新領域を目指して~荒れ地区域~
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自宅建築、始まる

「なるほどそうしましょう」

「なら早速場所を探して買わないと」


「それには及ばないわ。町から土地を提供するって言ってるわ」

「え、マジですか?」


「税金は前より払わなきゃならないから、家を誰でも持てるわけじゃないのよ。だから皆借家だったり宿を根城にしたりしているんだから。それに勝手に開墾されても困るのもあって、キチンと町が区画整理した場所に建てて欲しいって。……まぁそれは建前で。ヴァンパイアの件と放牧地の件、今回の荒れ地の件の三つでかなり低い賃金で貴方達を使ったのが他の冒険者にも評判が悪くてね。町としては仕事に対してしっかり厚遇するぞ、っていうのを見せたいらしいのよ」


 まったく面倒な話だ。それって他の冒険者が何も言わなければスルーされてたって話だし、手放しに喜べない。


「まぁどうあれ仕事の対価として頂けるというのでしたら頂きますわ。ただこんなに大きな建築となると予算や工賃などが分かりませんし」

「良かったらうちの建築研究室を使って。勿論料金は掛かるけど彼らは専門に研究しているから頼りになるわ」


 その後直ぐに三階へ行き、建築研究室に案内され紹介してもらった。皆大きな眼鏡に白衣を着て木の模型を弄りながら本とにらめっこして机に座っていた。皆さんに同行してもらい、ミレーユさんと共にその場所を見学。ギルドへとんぼ返りして見積もりを出してもらう。


「大体金十五ってところでしょうかねぇ」


 主任研究員のアンガスさんが大きな丸眼鏡のフレームを持ち上げながら言う。黒髪に黒髭切れ長な目が特徴的な、年は見た感じ五十代くらいのイケメンオジさんだ。


「うぅ……やはりそれくらい掛かりますか」

「一応初年度の税金とかも入れての数字ですが、家を建てたり工賃がほぼですのでこれくらいですね。税金は貴方たちの貢献度があればそう高額にはなりません。他の町の人間で居住していないなら高く取られるでしょうが」


 貢献度によって減額されてるんじゃなくて、その分タダ働きさせられてるだけだけどね……。その他にも優遇措置が無かったら誰もやらないだろうと思ってしまう。町からの依頼じゃなかったらレッドカード出されて出入り禁止レベルの物もある。だけどそれをやらないと町が危なかったりするから、高いランクになるとやらないとならなくなっていた。


この辺の事情はキチンと公開されているけど、見ない人にとっては高ランク冒険者は羨望の眼差しらしい。なれば良いのに。


「仕方ありませんわね。それで依頼を出してみましょうか」

「あ、それでこれは相談なんだが」


 アンガスさんは眼鏡を外し、白衣のポケットからハンカチを取り出して吹きつつ言い辛そうに言った。


「何でしょう」

「この仕事、我々に手伝わせてもらえないだろうか」


「それはどう言う話でしょう」

「最近建築も少なくて現場に出ていなくてね。今後建築ラッシュになると追いつかなくなる。そうなれば近隣のギルドや首都からも応援が来る。現場の勘を取り戻したくて」


「肩慣らしに付き合えと? 私たちのメリットは?」

「まぁ任せてくれたまえ。そこは最近出ていなくても経験があるから期日の短縮も出来るし結果的に工賃を抑えられる。もし要望があればその浮いた分で強度を上げるのも可能だし、ギルドにも我々に協力してくれたという報告も上げる」


 これは有り難い話だ。新技術とかを用いて実験台にされたりしたら、幾ら安くしても後々見物客とか来そうで嫌だったけど、勘を取り戻す為に今までの経験を使って工事してくれるなら願ったりかなったりだ。


「料金は変わらず、短縮した期間は強度補強に回すというので是非お願いしたいですわ」

「おぉそうか! 庁舎より頑強に建てるから見ててくれ!」


 早速そのままギルドに依頼を出し、建築研究室主動で次の日から早速作業員の募集が大々的に始まった。危険の少ない仕事だけど実入りが良いだけあって応募者は殺到した。僕たちは家が出来るまではギルドに住み、完成後直ぐに退寮する。建物に欠陥などがあった場合はギルド持ちになるのも有り難い。


 町よりも財源があるので保障も手厚い。ただ国ではないので全員を救ったりもしないし、その責任も無い。バランスを取りつつ国に根を張っていた。


「さ、お兄様行きますわよ」

「はーい」


 建築は専門家に任せ、僕らは稼ぎに出る。荒れ地では密猟者だけでなく輸送中の馬車を襲う盗賊も居るので見回りは大事だ。



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