パンダと一緒!
本編とは関係ありませんのでご注意を!
「やあ」
はて?
「どちら様でしょうか?」
見覚えのない男性。
いや、あるのかもしれないが、覚えてはいない。
「酷いなぁ。僕だよ、僕」
これは新手のオレオレ詐欺なのか?
「えぇぇ!本当に覚えてないの!?僕だよ!神様だよ!!」
………あぁぁぁ!!
なんだ、神様か。
「せっかく、頑張っているご褒美あげようと思ってきたのに…」
神様がご褒美だとっ!?
怪しい!実に怪しい!!
きっと何かを企んで……。
「向こうではやってたから、こっちにも欲しいなぁって思って」
神様の腕の中には、パンダが!!
抱っこが嫌なのか、神様が嫌なのか、とにかく嫌そうにバタバタもがいている。
見るからにふわっふわな毛並み。
小さな口を開けて、んきゅーと可愛らしく威嚇している。
「赤ちゃんパンダだぁぁーーー」
神様の腕から、赤ちゃんパンダを奪うと、思ったよりも重たくて、落としそうになる。
「あっぶなー」
なんとか持ちこたえ、赤ちゃんパンダを覗き込むと、円らなお目めとこんにちはした。
ーんきゃー!
まるで、お礼でも言っているかのように、右前脚をあげる。
「可愛いなぁ!!」
もっふもふな体に、顔をグリグリすると、ちょっとくすぐったかった。
それにしても、このちょこんと申し訳程度にある尻尾がたまらん!
ーんきゅぅ
グリグリが嫌だったのか、私の腕から脱出しようとして、そのままコロンと転がってしまった。
それが楽しかったのか、私によじ登ろうとして、再び後ろにコロンといってしまう。
ーぎゃうー!
パンダって、なんか幼児みたいだよね。
しょうもないことを面白がって、飽きるまで永遠と続けるところがさ。
追いかけっこをすると、すぐに疲れてしまうのか、ぺたんと寝そべってしまう。
そして、しばらくすると、再び追いかけてくる。
ふむ。パンダって、母親のリスクを減らすために、未熟児で生まれてくるんだっけ?
それにしても、パンダは凄くゆっくりと進化しているんだよね。
氷河期に食べ物が少なかったから、笹を食べるようにしたけど、内臓は肉食のときのまま。
いまだに進化の途中らしい。
野生動物にしては、いろいろとのんびり屋さんだ。
心ゆくまで赤ちゃんパンダと遊び倒すと、お腹が空いたのか、それとも母親が恋しいのか、きゅーきゅーと鳴き始めた。
「あー、そろそろ時間か…。じゃあ、ここまでだね」
そう言って、神様に赤ちゃんパンダを取られた。
「えー」
可愛い仕草をもっと見たかったのにぃ。
「駄目だよ。それに、君の方も時間切れだよ」
ん?
どういうこと??
「またねー」
神様が赤ちゃんパンダの前脚でバイバイをする。
「パンダーーー!!」
「ネマお嬢様、朝ですよ」
「パンダ!!」
勢いよく起き上がり、周りを見回すと自分の部屋だった。
「ぱんだ?」
パウルが聞いたこともない言葉を不思議そうに口にするが……。
「まさかの夢オチかよっ!!」
「ネマお嬢様、どんな夢をご覧になっていたかはわかりませんが、言葉遣いが乱れておりますよ。あまり酷いようですと…奥様に報告しなければなりませんね」
ちょっと待ってぇぇぇ!!
それだけはやめてくれ!!
「ごめんね、パウル。すっごく変な夢を見て、こんらんしてるの」
「どのような夢かお聞きしても?」
「うーんとね、パンダっていう白と黒のもようの生き物がいてね。すごくかわいくて、いっしょに遊んでたの。でも、変なおじさんが連れてちゃった」
口で説明すると、パンダの可愛らしさは伝わりにくいな。
やっぱり、あのパンダの可愛さは、実際に見せないとわからないだろう。
「それは…不思議な夢ですね」
うん。パウルも理解できないって顔してる。
いや、表情は変わってないけど、視線がそう訴えている!
「さぁ、朝食の時間が迫っていますので、準備をいたしましょう」
おっと。朝ご飯を食いっぱぐれるとか冗談じゃない!
今日の朝ご飯は何かなぁ。
おまけ
「いててて…。君、噛みすぎだから」
腕に抱えた赤ちゃんパンダは、容赦なく神様の腕にかじりつく。
歯が生え始めた頃によくあるアレだ。
「もっと大人しいと思ってたんだけどなぁ。君って結構凶暴なんだねぇ」
ーあぐぅぅ
自分と遊び、甘やかしてくれる存在から引き離した極悪人として、神様を認識した赤ちゃんパンダ。
「うーん、今回は諦めるか」
神様のその一言で、腕の中から赤ちゃんパンダが消える。
パチリと目を開けた赤ちゃんパンダは、自分がどこにいるのか一瞬わからなかった。
しかし、大好きな母親の匂いに気づくと、よたよたしながらも母親の方へ歩く。
母親に舐められ、たっぷりと甘えるうちに、不思議な夢のことを忘れる。
赤ちゃんパンダは、んきゅーと上機嫌に鳴いた。
パンダの赤ちゃんって、仕草がめっちゃ可愛いですよね〜。
そして、結構やんちゃ(笑)
大人になると、まったりしてますが。
作中にあるパンダの進化は、まぁ諸説あります。
手のひらには、竹が掴みやすいように、指のようなこぶが二つあるそうです。
私も、七本目の指の存在は知りませんでした。
とりあえず、パンダを書けて満足した!