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異世界の歴史



燃え盛る和風の大きな屋敷。逃げ惑う人。聞こえてくる叫び声。



俺はその屋敷の庭らしきところで立っていて、その光景を見ている。



えーと?ここは…どこだ?俺は何をしてたんだっけ?



――いたぞぉ!こっちだ!



何か知らんが、おっさんが俺に向かって指を指して叫んでいる。



俺って有名人だったっけ?



――大人しくするんだ!さっさとこっちに来い!



――嫌です!



…俺は叫んでいない。後ろから聞こえてきた。振り向いてみる。そこには和服を着た黒髪ロングの可愛い女の子がいた。



――いいからこっちに来るんだ!



おっさんは俺なんかに目もくれず女の子の腕をひっぱる。



――きゃッ、やめて!離して!



「やめろボケぇ!」



俺はおっさんを蹴り飛ばした。



――がはっ、何をする貴様!それにどこから現れた!



もう1回蹴り飛ばす。



――がっ………



どうやら気を失ったみたいだ。



「お嬢さん、しっかりつかまってろよ!」



――え、あなたは?きゃっ



1回お姫様抱っこして走ってみたかったんだよね。俺は屋敷を抜け出し、裏の山へ走って行く。俺たちは風になった。



「ここまでくれば大丈夫だな。ケガはないか?」



俺は女の子を下ろして優しく訪ねた。やっぱり第一印象って大事だからな!優しく見せるのが1番1番!



――はい!助けていただき、ありがとうございます!あの…お名前は?



「俺はさすらいの旅人、謎の天才児ミスターXだ。趣味は玉ねぎの微塵切り」



――え、…えーと?あの、命を助けていただいたのは本当に感謝しているのですが、何も返せるすものがなくて……。



「じゃあ唇を奪ってもよいかな?」



男はな、行くときはガツンと行かなければならないんだぜ!さもないと後悔ち○ぽ立たずなんだぜ?さぁはやく俺と合体しようじゃないか!



――そ、そんなので良ければ、いくらでもあげます!この身体も差し上げます!無茶苦茶にしてください!



ななななんとアツい展開なんだ!自分の願望通りになるではないか!




……自分の願望通り?



……ん?




……夢?





「ああああぁあぁあぁ!!」



ガバッと身体を起こす。



「いっ!………つぅうう。いてぇ、……て、なんだこのケガ!」



俺はベッドから勢い良く起き上がったものの、身体中に激痛が走って悶えた。よく見ると、身体中に包帯が巻かれてミイラみたいになっている。どうやらまたギルドの医療室に運ばれてたみたいだった。



「急に起きるからだ。まだ安静にしておかなければダメだ」



横からレイラの声が聞こえた。



「いやだって、もう少しで黒髪ロングの可愛い女の子の唇奪えたんだよ?」



「寝ている時も、お前の頭にはそれしかないのか」



「それが俺だ」



そう言ってニカッと笑ってみせる。



「……あははははははっ、くくっ、ほんとそうだな。あはは。お腹痛ぁい、くくっくっ」



ヤバい、レイたんがまた壊れたよぉ怖いよぉ助けてぇ。



「あー、可笑し、ふふっ」



「人の顔を見て笑うとか失礼な奴だぷんすか」




「……………」



えぇぇぇぇ!今度は黙りだしたよおおお!そんなに俺の顔変なのぉおおお!?




「……その……すまなかった」



「へ?」



まさか、コイツが謝ってくるとは……。何か裏があるのか?



「だから、その、…悪かったって!いくらムカついたとはいえやりすぎてしまった…。大ケガもさせてしまったし……。本当に…申し訳ない!」



そう言ってレイラは頭を下げてきた。



「レイたん……」




「……………」




「レイたんってば……」



「……なんだ?」



レイラは顔をあげて俺を見てくる。少し目が赤い…。



「また生理がきたのか?」



「ばかぁッ!」



レイラは俺に怒鳴って出ていった。



珍しく殴られなかった。



「あらあら、目覚めた早々に…」



医療室の入り口からナミさんが入ってきた。



「ははは。見られちゃいましたか。…アイツ、結構責任感じてそうでしたからね、ちょっと軽くしてやりました。てへ」



「ふふ、優しいのね」



「いやいやいやぁ。って、それより、俺何日寝てました?」



「あら、そんなこともわかるのね?」



「まあ、アイツのあの顔と態度を見ての推測ですけど…」



「ふふ、3日よ。身体の方は…だいぶ回復したみたいだね!」



「えっ!? これでっすか!?」



「えぇ、ここに運び込まれた時はもっと凄かったわよ。腕が潰れてたり、お腹が切れてて内臓が飛びで」



「ちょ、ちょちょちょちょ~!ストップ、ストップ!もう結構ですありがとうございました!」



「ふふ。……あの子ね、ずっとユウに付きっぱなしだったのよ。最初は『コイツが死んだら私も死ぬ!だから絶対に治せ!』とか言ってたんだから」



「あらら…」



ナミさんには悪いが全く想像できねぇ!



「ご推察通り、結構責任も感じてたわ…。だからユウからもちゃんと謝るのよ?」



「はい、わかりました。今から追っかけて行きます!」



この人にここまで言われたらやるしかないじゃいか。



「後で二人にマスタールームに来てもらおうと思っていたところなんだけど…、丁度いいわ、合流したら部屋に来てもらってもいいかしら?」



「あー、例の件っすね。俺も聞きたいことが色々あるんで全然OKですよ」



「OK、レイラちゃんは多分闘技場にいると思うわ」



「闘技場ね……了解。…よいしょっと…いつつ」



俺はベッドから降りて歩き出した。



「まだ完治してないんだから無理しちゃダメよ~?」



「はいは~い、わかってます。それじゃぁ待っててくださいね~」




さて………。返事良く医療室から飛び出したはいいものの、闘技場の場所は正確にわかっていなかった。前回はナミさんに連いて行ったから意識して道順を覚えていなかったしな。確かこの廊下を真っ直ぐ行ったような……?医療室を出て、ひとまず真っ直ぐ歩いてみる。



つーか広すぎだろここ。ギルドってどんだけ儲かってんだ。こんだけボコボコにされて、慰謝料100万ぐらい請求してやってもいいんじゃなか。



ギルドの建物の大きさに感心しながら適当に廊下を歩いていた。少し先の部屋から人が集まっている気配がする。がやがやと賑わっているようだ。



俺はその部屋に入って行く。中は休憩所みたいで、机や椅子がいっぱいあった。。カウンターもあり、お酒や食べ物もある。現にこの真昼間からお酒を飲んでいる人がいるし、皆騒いでいる。



誰に話しかけようか悩んだ結果、俺はカウンターに立っているお姉さんに話しかける事にした。



可愛かったので。



「すいませ~ん、闘技場ってどこですか?」



「あら? この前レイラにこてんぱんにされていた人じゃない。もうケガは大丈夫なの?」



「歩けるぐらいには何とか…。って見てたんすか。たはは」



「ええ勿論。なかなか格好良かったわよ!」



「まじすか!今度お茶しましょう!」



「オィオィ、病み上がりそうそうナンパか? ゲラゲラ」



デートの約束を取り付けようとしていた時、すぐ後ろで飲んでいた酔っ払いが絡んできた。



「へっ、こんな可愛い子を目の前にしてソッコーで口説かない方がどうかしてるぜ!」



「ゲラゲラゲラ、お前面白い奴だな!俺はナビィってもんだ。よろしくしてくれ」



「俺はユウだ!よろしく!」



俺はこの世界で初めて友達ができた。おっさんだけど…。



「あぁ、知ってる。ここ数日はお前さんの話で持ちきりだ、ゲラゲラ」



「え? まじで? 俺有名人じゃん!」



「ゲラゲラゲラ、それよりいいのか? 闘技場に行くんじゃなかったのか?」



「あ!いけね!お姉さん、闘技場ってどうやって行けばいいんだ?」



「えーと、そこの扉を出て右に曲がって、ずっと真っ直ぐ行ったら着くよ」



「サンキュー!じゃ、また後で話そうぜボィンな姉ちゃん!それにナビィも!」



「ボィン言うな!」



「ゲラゲラ。若えこった」



俺は扉をでて闘技場へ向かった。闘技場の真ん中では、レイラが膝に顔を埋めて三角座りしていた。



…ちょっとやりすぎたかな?



「レイたん?」



「……………」



「ほんと悪かったって」



「……………」



「俺も悪かった。色々言い過ぎた。ごめん」



「……………」



「だから機嫌直してくれよ」



「……………うっ」



「レイラ!?」



泣いているのかと思って俺はレイラに近づいた。レイラのすぐ後ろに行った瞬間、



俺は落ちた。



「うびゃああ゛あぁあ゛」



急に地面が無くなった感覚になり、ケツから真っ逆さまに落ちる。1mぐらいか、地面に激突した。



「……いてぇ」



「あははははははは!ばっかで~あはははは!うびゃあああだってぇ、あはははは!」



痛みを我慢していると、レイラの笑う声が聞こえてきた。



「いってぇ!ばかか!俺は怪我人なんだぞ!」



「くくくっ、これでおあいこだ!」



「はぁ……まぁいいか、よし、ちょっと引き上げてくれよ。つかこんな深く掘るなよまったく」



「ふっ、仕方ないな。このレイラ様が直々に引き上げてあげようではないか」



レイラはどや顔で手を伸ばしてくる。俺はここぞとばかりにその手を引っ張った。



「きゃっ」



「うぉっ」



いてて…。レイたんを落として俺が上がるつもりだったけど、俺まで一緒に落ちてしまうとは。



「いたた…。こら無茶ばっかすっ………」



「あーん?どうした………っ」



目を開けると、レイラの顔が目の前にあった。思わず息を飲み込んでしまう。レイラの透き通るような蒼い目に吸い込まれそうになる。



やべぇ、めっちゃドキドキしてきた。こんな綺麗な顔した奴が目の前にいて理性を保てる奴がいるか。いや、いない。俺の思考が停止した。



一方、レイラの方はというと…



だ、ダメダメダメダメダメダメ!ちょ、ちょ、ちょっと!いきなりこういうのは無しだろ!ダメだダメだ!まぁ、確かにコイツが目を覚ました時は嬉しかったが…………ぁぁ…何か、良い匂いがする…すごく落ち着く匂いだ。……て、何を考えているのだ私は!コイツは女たらしだ!悪党だ!海賊だ!騙されるな!騙されるな!あああああ!



こちらも壊れていた。



「おーい、今物音がしたけど誰かいるのかぁ?」



「「………っ……」」



闘技場のドアが空き、誰かの声が聞こえてきた。



やべ!今レイたんと抱き合ってる格好みたいだし、こんな姿を見られたらまずい!どんな噂がたつか!



「…レイたん、悪いけどアイツがどっか行くまで、このままじっとしてやり過ごしてくれ」



俺は耳元でそっと囁く臨場感。



「ひっ。わ、わかった」



……ん?……まさか?



ふーっとレイラの耳に息を吹きかけてみた。



「ひぁっ、ちょ、ユウ、やめろ!」



どうやらレイたんは耳が御弱いらしい。これは面白い。



「ふっ、ふっー」



「ひっ、やめ、こら、やっ、」



「んー?何か聞こえたような?」



男は闘技場の中へと入ってくる。




「ほら、ユウ!バレるだろ」




…………………よし、





「……………………ぺろっ」




「ひああああああああああ!」



バチバチバチバチッッ!



「ぎゃぁあ゛ぁぁあぁあ゛ぁ!」



レイラは、あまりのくすぐったさに思わず電気を放出した。ゼロ距離で電撃を喰らった俺はまじで死ぬかと思った。



「うぉおお!おっかねえ!」



闘技場に入ってきた男は逃げていった。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーー

ーーーーーーー




俺は黒焦げになりながらも何とか意識を保ち、レイラに引きずられてマスタールームに行った。



「あらあら、安静にしてなきゃダメでしょ? ふふふ」



部屋に入るとナミさんが話しかけてきた。ナミさんは部屋の真ん中にある大きなソファーみたいなのに座っている。



「そこに座ってちょうだい」



俺達はソファーに座るように勧められた。ナミさんと対面するように座る。



「さてと、どこから話そうかしらね」



「えーと?」



「ユウ、貴方はある日、目覚めたらこの世界来ていたと聞いたけど、間違いないわね?」



「はい、そーすね。魔法なんて俺の世界には無かったし」



「なるほどね…。あと、ニッポン、この言葉に聞き覚えは無い?」



「聞き覚えも何も、元の世界の俺の国の名前ですけど…。つかナミさんこそ何で知っているんすか?」



「…それはね、この大陸の昔の名前だからなの」



え……、ちょ……?



「今はジパングという名前だがな」



レイラが横から答えてきた。



「……えっ!?……はぁあ!?」



「そうなの。まだ憶測なんだけど、貴方は昔のこの世界からタイムスリップして来たのだと思うの。およそ2000年程前ぐらいかしらね」



「……でじま?」



「変な言葉を使うな」



「別の世界から来たって可能性もあるけど、そっちの方が可能性が高いの。その時代はまだ魔法も何も無かった時代だしね」



…なんだそりゃ。わけがわからん。



「何か、大きな出来事って無かった? 世界規模の大きな出来事。覚えてたらでいいよ」



「…世界規模の大きな出来事っつったて~。俺が生きてた時には何も起きてねえよ~」



「ふふ、別に産まれる前の出来事でもいいのよ?」



「産まれる前な~、………あ、第二次世界対戦とか?」



「第二次世界対戦ね。…少し待っててね~。………第二次世界対戦、第二次世界対戦……」



ナミさんは何か分厚い資料を手に取って調べだした。



これで本当にあったら爆笑ものだろこれ。何のために2000年の時を越えなきゃいけねーんだまったく。時をかける少女も目ん玉点にして駆け出せねーレベルだぞこれ。



「…………あった!」



うぇ!マジかよ!



「西暦1939年~1945年、ドイツ軍がポーランド軍へ攻撃を行ったのが始まりとされている…。こんな感じに記述には残っているけど、あってる?」



「………はい、多分」



へぇ、ドイツ軍がポーランド軍に仕掛けたのが始まりだったのかよ…。知らなかったぜ。



「……ほぼ確定ね。やはり、2000年程前からタイムスリップしてきている可能性が高いわ」



「ちょ、ちょっと待ってください。確かに、そこに書いてあるなら事実なんでしょうけど、俺はどうやってタイムスリップしてきたんすか?」



「そうねぇ。う~ん、そこはまだ何とも言えないわ…」



「神様にいたずらでもされたんだろうな」



「それ、マジだったら本気でへこむぞ俺…」



はぁ、マジかよ……こんな異世界転生は想像してなかったからちょっとショックだぜ…。誰か俺をペロペロして慰めてくれ…。



「…そしたら、2000年の間に何があったんだ? 今は何年なんだ?」



「西暦で言ったら、今は4300年頃になるのかな~」



「え、今は違うのか?」



「約1000年前にね、世界規模の魔法対戦があったの。その戦争でほとんどの国が滅んだらしいの。そこから新たに年を数える事にしたのよ。今年で1056年になるわ」



……今は1056年、俺のいた世界は約2000年前。俺の産まれた年は2032年。1056年前に戦争。今は西暦4300年ぐらい。



「あのぉ、頭が爆発しそうです」



「だらしないぞ、しっかりしろ」



「だってよレイたん、いきなり貴方は今2000年後の世界に来ました、てへぺろ。なんて言われたらどうするよ?」



「てへぺろて何だ?」



「レイたん可愛いってこと」



「ばっ、私は可愛くなど…可愛くなど……またこういう事を平気で……ぶつぶつ」



なんだこいつ、今日はちょれえな。



「ふふ、少し長くなるけど、貴方のいた時代から今まで、世界がどうなったのかをお話しましょうか?」



「頼みます!できるだけ分かりやすくで頼みます!」



「ふふ、了解したわ!」



それからナミさんは長時間かけて話をしてくれた。丁寧に、紙に図などを書きながら説明してくれる姿はもう天使そのもので、俺は説明そっちのけでその揺れる2つの果実に夢中になっていた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーー





「……という事になるわ。わかったかしら?」



「はい!もぅ完璧です!ほんとありがとうございました!」



「本当にわかったのか? ニヤニヤしていて気持ち悪かったぞ?」



「何を失敬な。ナミさんがたまに屈んだ時に覗かせている谷間についての感想文なら何枚でもかけるぞ!」



「あら嬉しい」



「マスター!それにお前も!またそんなことばっかり考えおって!」



「………そんなことを考えなくちゃ、馬鹿馬鹿しくて頭が爆発しそうになるんだよ。許してくれ……」



「ユウ…」



俺がいた時代から約100年後、魔法の原点となる超能力を使う人がちらほら出現する。



そのまた200年後、火や雷、水などを無から作り出す超能力者が現れ始める。この時から人々は、それを魔法と呼び始めた。



この時はもう既に、日本という国名ではなかったらしい。それから900年後、魔法と科学がとても発達していた時代。非能力者が能力者に対する無差別殺人が世界中で起こった。



これに能力者は対抗し、各地で非能力者が次々と殺される暴動が起こる。やがて国同士の戦争に発展し、世界中を巻き込み、混沌の戦乱の世の中へと堕ちていった。



そして、世界が終わる日、今から1056年前。西暦3255年。巨大魔法破壊兵器の投入により世界の国々はほぼ壊滅し、兵器を使った国もその反動で滅んだ。



その対戦で世界の人口は約1/3となり、世界の地形も大きく変わってしまった。元日本国は元の大きさの10倍以上の大陸となった。国名は無くなり、ジパングという名前の大陸に変わった。



そして元日本国にあったセントブルグという都市が今のセントブルグ国となったらしい。それに伴って大陸中の主要都市が次々と国となったり、新しく広がった大陸にも国ができていったそうだ。



また兵器の魔力が世界に降り注ぎ、動物が獰猛になったり、あるいは人間も変化することもあった。変化し狂暴になった人や動物を、魔族、魔物と人々は称した。



対戦から1056年間、魔族や魔物との小競り合いは少々あるものの、世界規模の大きな戦争は起きておらず、平和なんだそうだ。



ナミさんの話をまとめるとこうだ。



「はぁ…、魔族や魔物が、俺達人間の戦争のせいで生み出されたものだったとはな……」



「うん、ちょっと残酷なんだけどね。でも、私たちに危害を加えるような狂暴な魔族や魔物もいるの。それを退治するためにこのようなギルドが設けられたのよ」



「まぁ、仕方ないですね…」



「それでね、ユウ、一つ提案があるのだけど?」



少し考え事をしていると、ナミさんが話しかけてきた。



「な、なんすか?」



「このギルドに入ってみない? その様子じゃどこにも行く場所が無いのでしょ? このギルドには空き部屋がいくつもあるからそこを使っていいわよ」



なんと願ったり叶ったりの事を言ってきた。今俺は行く宛も生活する術もこの世界では確立していない。とにかく今を生きる場所が欲しかった。



「勿論ですよ!てかこっちからお願いしたかったぐらいです!まじ感謝します!まじ天使!」



「お前を放り出せば街の女の子が危ないからな」



「俺を変態扱いしないでくれ。女の子に対してはあくまでも紳士なんだ俺は」



「私にはただの変態にしか見えないがな」



「レイたんは何かどちらかっというと女の子って感じが…」



「ほぅ?」



そう言ってレイラは俺に剣を向けてきた。



「いいえ!何でもありません!僕は変態です!すみません!」



「ふふ、2人ともまだ出会って少ししか経っていないのに、とても仲良いのね!」



「なっ!そ、そんなことは!」



レイラは慌てて反論した。



「……………」



…確かに、レイたんと出会ってまだちょっとしか経っていないよな。



「お前も黙ってないでなんとか言え!」



「俺達、結構打ち解けてんじゃね? 俺、出会って数日でここまで仲良くなったの初めてだわ」



「な、なななななな……」



レイラは少し顔が赤くなった。



「これからもよろしくなっ!」



俺は手を差し出す。




「……………ばか」



「え?」



「ああぁ、うるさい、これからギルドに入るんだろ!私が色々と教えてやる!覚悟しろよ!」



そう言ってレイラは握り返してきた。



「望むところだ!」



そして、俺達は今日この日から仲間となった。




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