クエストの受け方
「それよりも、レイラちゃん、学校の方はいいの?」
ふと、ナミさんは話の腰を折るようにレイラに問いかけた。
「ああ!私としたことが!今すぐ行かなければ!」
「え? 学校行ってんの?」
「そうなんだよ!3日間お前に付きっきりだったからちょっとヤバい!」
どうやら学校を休んでまで俺に付き添ってくれていたらしい。怒りっぽいんだか人情深いんだかなんだか分からなくなってきたな。
「今から行くのか?」
「ああ!また週末にここに来るから、それまで大人しくしてろよ!じゃあ!」
そう言い残してレイラは走り去って行ってしまった。
「……学校って、魔法学校的な感じですか?」
「ええ、そうよ。この町一番大きな学校なの。入学するのだって難しいのだから」
学校という単語が出てから、俺は胸を弾ませていた。このファンタジー世界での学校。可愛い奴しか絶対にいねえだろ。あと制服にも興味がある。
「それは一度見てみたいかも!」
「ふふ、学校に寮もあるのよ。レイラちゃんは平日は寮に泊まっているからね~、無断外泊とかついてしまったら困るんじゃないかなっ」
「まじすか…。俺、ちょっと悪い事したんじゃ?」
「ううん、あの子が決めた事だからね。それより、週末までどうするの?」
「ん~、そうだなぁ…。ナミさん、依頼ってどうやって受けるんだ?」
やりたい事がなかった訳では無い。ここまで色んなものを見聞きし、この世界を探検したくなっていた。丁度ここはギルドでクエストもあり、うってつけの場所だ。
「あら、さっそくやる気満々ね。よし、今日はユウのために色々と教える事にするわっ。ついてきて!」
「まじすか!あざっす!」
俺はナミさんに連いて行き、ついさっき行った休憩所に向かった。
「あ、マスター。それにさっきの子も。こんなとこでどうしたの?」
休憩所に入ると、さっきカウンターにいたボィンな姉ちゃんが話しかけてきた。
「えっと…」
「この子、ユウって名前なんだけど、今日からこのギルドに入ることになったの。それで今色々と説明しようとしているところなの」
俺が返答に困っているとナミさんが代わりに答えてくれた。空気を読むのもピカイチだぜこのマスター。
「へぇ、そうなんだ!あたし、リリィ・ヴァルミリア。リリィって呼んでね!ちなみに21歳だよ!これからよろしくね、ユウくん」
そう言って、ニッコリ微笑んでくるリリィ。そんな顔で微笑まれたら好きになっちまうだろうが。
「へぇ、そうなんだ!俺、ユウ。玉ねぎ白菜って呼んでね!ちなみに永遠の22歳だよ!これからよろしくね、ボィンなお姉さん!」
「こら、またボィンて言って!それにタマネギハクサイって何なの!もぅ、からわないで!」
ちょっとからかってみたら、意外と可愛らしい答えが帰ってきた。その口を膨らました顔も可愛らしいぜまったく。
「ふふ、リリィはこのギルドの看板娘なのよ。手は出したらダメだよ?」
「えー」
あらためてリリィを見てみる。金と茶色が混ざったような色の髪をリボンで結んで上げている。白色のカッターシャツに紺色のスカート。ラインがくっきりして魅力的である。
……エロすぎぱねぇ。つかこの世界、可愛い奴多すぎだろ!この2000年の内に不細工な奴は全員淘汰されたんじゃねえの?
「ふふ、そしたら依頼の事について説明するからついてきてね?」
「了解っす!」
そうして俺はカウンターの隣にある大きなクエストボードの前に案内された。
「おぉ、結構いっぱいあるんすね!」
クエストボードには大量に依頼書が貼ってあった。
「そうよ、このギルドはこの町で一番大きいからね。町のほとんどの依頼はこのギルドに集まってくるの。依頼がいっぱいで溜まる一方だけどね」
「…いったいナミさんって何歳なんだ?」
「こらこら、女の人に年齢を聞くのはルール違反だよ?」
「俺とあんまり変わらないくらいに見えるし、その若さでこんな大きなギルドのマスターとか、ナミさんってどんだけ凄いんすか?」
「ふふ、それはまた今度ね。今は依頼について説明するわ!」
「ういーす」
スルーされたので余計気になった。後でリリィに聞いてみよう。
「基本、このに貼ってある依頼、クエストとも呼ぶけど、一応全部受けれるのよ」
「えっ!まじすか!?」
しかし、ナミさんを改めて見ると本当に綺麗だよな。レイラも美人だがまだどこか可愛い雰囲気があるが、ナミさんは最早美術品だろ。美しすぎる。
「えぇ。行きたいクエストが見つかったら、リリィのとこに持っていってね。そしたらもうOKよ!」
「えっ!そんだけ!?」
ああ、ナミさんが吐く息だけでこの空間が浄化される気がする。もっとくれ。
「その後に依頼主に話を聞きに行ったりしなきゃいけないけどね」
「えっ!めんどくせっ!?」
「いてっ」
ナミさんに見惚れて適当に返事しているとコンツと小さく頭を叩かれた。
「もぅ、真面目に聞かないと教えないよ?」
「はい!ごめんなさい!真面目に聞きます!」
そんなこと言われちゃ仕方ないな!真面目に聞いてあげよう!てかふざけても何かナミさんのペースに戻されてしまう。何でだろうね!やっぱ天使なのかな?
「ふふ、いい子ね。リリィが受注とか報酬の受け渡しとか全部やってくれているのよ」
「へぇ、俺より年下なのに大したもんだな」
「ユウもそんなに変わらないでしょ。もう依頼の事はOKね?次は貴方の部屋に行きましょうか」
「え……ま、まだ心の準備が!」
「ふふ、ちゃんとついてきてね?」
「うっす」
華麗にスルーされちまったが、この天使のような笑顔を見ているとどうでもよくなる。くるっと方向転換し、ナミさんはギルドの廊下を進んでいった。すぐ後ろを歩く俺に届くいい香りは、男の欲望をかきたてていく。
煩悩退散煩悩退散!!
「ここがユウが使っていい部屋になるわ。荷物は寝ている間にこの部屋に置いといから」
そう言ってナミさんはドアを開けた。中は割りと広く、ベッドや机、本棚、クローゼット、さらにユニットバスまであった。
「何から何までほんとありがとうございます。てか、こんなにしてもらっちゃっていいんすかね? ははは」
「いいのいいの。気にしないで。それに私、ユウに少し興味があるのよ?」
「ふぇ!そ、それは!?」
いきなり何を言い出すんだこのおねいさんは!まさかのナミさんフラグきたのか!?
「どうやってこの世界に来たのかとか、それにユウの能力についてだけどね!」
「そ、そうっすよね……はは。……ん? 俺の能力?」
「えぇ、この前レイラちゃんと戦っていた時ね、ユウから魔力が少し感じられたの」
「ちょ!まじすか!俺魔法使いじゃん!きたこれ!」
「でも今は魔力は感じられないわ」
「なんでやねんゴラァ!しっかりしろ俺!」
「ふふ。部屋にあるものは好きに使ってくれて構わないわ。荷物はそれで全部?」
部屋に置かれていた荷物を見てみる。
ナミさんにもらった日本刀、包丁二本。それに竹刀袋と防具袋、エナメルバッグ。
「…はい、確かにこれで全部です」
「良かった。それじゃぁ、今日はまだ時間があるしこれから町を案内してあげるね!」
「まじっすか!デートじゃないっすか!」
俺は荷物を漁り、すぐに準備に取り掛かった。
「ふふ、ほんと面白い子ね」
「え?…何か言いましたぁ?」
「いいえ、何も。部屋の外でまっとくね。準備ができたら出てきてね」
「りょーかぁい!」
俺は急いで準備した。準備といっても着替えと刀と包丁の帯刀だけど。だってこんな美人とデートできるんだぜ?ちゃんとした服を着なきゃな。




