脳内お花畑な回路、だけじゃなかった
俺は驚きの表情を浮かべている自称王様に話しかけた。
「お前がやったことは色々あるけど俺が聞きたいのはとりあえずひとつだけだ。お前も転移者なのか?」
「お前…も?君も転移してきたのか!ならなんでゴブリンなんかの手伝いをしてるんだ!ゴブリンなんて知能の低い人外の化物に手を貸す!」
明らかにゴブリンを見下している発言に、翻訳機を付けているブーロさんの顔が歪んだ。まぁここまであからさまに言われちゃ気持ちはわかるけど。とりあえず勘違いは解かないとな。
「ゴブリンが低脳?何を勘違いしてるんだ?この世界じゃ人間よりよっぽど優れてるぜ?アニメや漫画の見すぎじゃないのか?」
「ぼ、僕をバカにするなぁ!僕は選ばれたんだ!僕たちが今までいた世界が間違いなんだ!僕はこの世界の人間を率いて世界を支配するのさ!それをお前なんかが邪魔するから!」
「は?バカにするな?いいやお前はバカだね。異世界補正で強くなれるとでも考えてるのか?お前はゴブリンを過小評価しすぎだ。俺が居なくてもお前はゴブリン達に負けていただろうさ。」
「なんだと!僕の立てた作戦は完璧だ!お前さえ居なければ最初に殺したゴブリン達のように、この森で一網打尽だったさ!」
頭のなかがおめでた過ぎるな…現実を突きつけてやるか。
「1%未満だ」
「は?なんのことだ?」
「お前が最初に森に誘き寄せたゴブリンの割合だよ。血気にはやったゴブリンの若者30人。お前、その100倍以上の数のゴブリンを同じ作戦で殺せると思うのか?」
「そ、それはまた別の作戦を練れば…」
「その前に全ゴブリンが特攻してきたら?こちらの被害も大きくなるから今回はやらなかったけどな。」
「う…」
「2つ目、お前、自分が大将だって自覚があるのか?作戦の要になる森の中でテントを張って寝る大将?ここは戦場になる場所だ。寝るなとは言わないがせめてヒューマンの村付近までは下がるべきだったな」
「僕が指揮をしなければ誰がやるというんだ!?」
「そうか、お前人を信用できないんだろ?だから自分が近くにいなきゃいけないと思ってる。自分が少し離れたら命令守らないと思ってるんだな?」
「当たり前だ!人間なんて裏で何やってるかわかったもんじゃない!表で良い子ぶって裏で人を貶める!そんな奴等を信用出来るわけ無いだろ!」
あー、ただの浮かれ野郎だと思ったら人間不信者だったわー
「独り善がりで全てをこなそうとしたのが、お前の最大の敗因だよ、お前の処分はこれから決まる。とりあえずそれまでは自由はないと思え」
そう言って俺は自称王様に背を向けゴブリンの町へと帰った。




