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オトナのラノベの作り方  作者: ぼを
10/21

読者だってセックスしたい(第5話)

「予算ありきではあるんだけれど、まずは媒体選定ね。今回の場合、明確なペルソナ像を作ったから解りやすいわ。彼らの主な接触媒体はtwitterかyoutube、ニコニコといったところかしら」

「やっぱりtwitterで広告を出すのが近道か…」

「多分ね」僕の言葉に、堀田が言った。「twitterで広告を出した経験は?」

 僕はかぶりを振った。というか、個人で広告を出そうなんて人間がそんなにいるだろうか?

「FBなら、俺はあるぞ」金山が言った。「ロシアのウラジオストクは日本語教育が盛んだし日本のサブカルに理解がある。それで、俺のボカロ曲のダウンロード販売サイトの広告を出した。ロシア語でな」

 ウラジオストクに広告を出した? そんな事ができるのか?

「効果はどうだったの?」

 堀田が訊いた。

「お前にもデリカシーという物が備わっているのであれば、それ以上を詮索するのは淑女の行動に悖る」

 金山が言った。つまり、失敗したんだ。

「FBとttwitterでは出し方もターゲットも違うから、金山くんの経験は悪いけど役にたたない」堀田が言った。「特に、こういうデリケートな題材のコンテンツの場合、実名が原則のFBでのクリックは敬遠される可能性がある。そもそも広告は画像で目立つ事で効果を期待できるのに、FBは画像内に占めるテキストデータに非常に厳しくて、凡そ20%を超えると、そもそも広告が出せないか、出せたとしても故意に表示回数が落とされたりする。リツイート機能がないからCPMもCTあたりのコスト効率もよくない」

「ちょっと待って」僕が堀田を制した。「色々とアルファベットが並ぶけれど、意味が理解できない」

 僕の言葉に、堀田は小さく溜息をついた。

「ググレカス、と言いたい所だか」口を開いたのは金山だった。「教えてやる約束だ。解説してやる」金山は立ち上がると、ホワイトボートにマーカーを走らせた。「WEB広告の基本は、どれだけの人間に広告を表示させ、最終的にいくつ売れたか、を順に把握していく事にある。まず、どれだけ表示されたかの回数だが、これは『インプレッション数』と言う」

「それは見たことがある」僕が言った。「twitterのアナリティクスで見かける」

 金山が頷いた。

「次に、表示された回数のうち、どれだけ誘導先サイトのリンクがクリックされたか、が重要になる。クリック回数の事をCT、インプレッションに対するクリック率の事をCTRと言う。それぞれ、クリックスルー、クリックスルーレートの略だ。気取った用語に聞こえるかもしれないが、基本用語だから覚えておけ。例えば10,000回インプレッションがあり、そのうち20回クリックされたら、CTRは0.2%になる。バナー広告のCTRは大体このくらいだ。さっき堀田が言ったCPMというのはインプレッション1,000回を獲得するのに要したコストの事を指す。他にもCPCという言葉があるが、これはクリック1回あたりの費用を指す。1クリックあたりの入札額を決めて広告を出すのが一般的だ。例えば、1クリックあたり100円で入札したなら、1,000クリックに必要なコストは10万円になる」

「10万円」

 思わず呟いてしまった。そんなにコストを支払っても1,000回しかクリックされないのか? 営業企画部で実施するDMのコストが1通あたり100円程度。紙媒体だから開封率は未知数だけれど、それよりはコスト効率は良いのか…。

「twitter広告なら、うまく使えばもっと安くできるわ」堀田が言った。「それは後で教えてあげる」

「で、最も大切なのがCVRだ。コンバージョンレートと読むが、コンバージョンとはつまり最終的な目標到達の事だ。例えば売り上げ個数をCVに設定したとして、クリック1,000回に対して1個売れたのであればCVRは0.1%になる。商材にもよるが、0.1%あれば上出来な場合もある。ただし、CPC100円で入札した場合1個売るのに10万円かかる計算になる。即ち単価やライフでのランニングコストが10万円以上の商材でなければ、この時点で赤字だ」

「頭が痛くなってきた」僕が言った。「SNS広告の手段には期待していたんだけれど、コスト効率はだいぶ悪そうだ。投票件数を1増やす為に10万円も使っていたら金がいくらあっても足りない」

 僕の言葉に、堀田が小さく笑った。

「でも、こうやって計算をしていくと、その広告が現実的かどうかが判断できるでしょ? それに、広告の途中で舵切りが必要な時も、ユーザーがどの段階で離脱したのかが分析できるから、対策も施し易いの」

 少なくともDMやチラシを実施した時には考えたこともなかった概念ばかりだ。

「金山が言っていた事で気になった事があるんだけれど」僕が言った。「入札って、どういう事?」

 金山が、それは、と口を開きかけた所を、堀田が、あたしが説明するわ、と制した。

「細かく説明すると朝になっちゃうから表面的な知識だけ説明すると、WEB広告は基本的にオークションによって表示できる、できないが判断されているの」

 オークション? 意味が解らない。

「あほ面してるぞ」

 金山が言った。

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