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ヒロインはHAPPY ENDを阻止したい  作者: ゆきんこ
第二章
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庭師のおじさん

ルリジオンと対峙(?)する前に庭師のおじさんとお話した時の様子です。

 赤いバラの花言葉は、あなたを愛しています。熱烈な恋。

 ピンクのチューリップは、愛の芽生え、誠実な愛。


 10歳の誕生日に赤いバラをルフレ様、ピンクのチューリップをルリジオン様から頂いている。

 真っ赤なバラはプレゼントの定番だし、ピンクのチューリップは偶然畑にあったもので色が私に合うと思っただけかもしれない。

 けれど、もし私への気持ちが秘められていたら?と考えたこともあった。


 そして、赤のアネモネ。


 バルコニーで凍死しかけ床に臥していた私が復活して、城の中庭にある花を見ていた時のこと。

 様々な種類の花、とりわけバラが多く咲き誇る立派な庭。

 かつてルフレ様がくださった真っ赤なバラを見つけたので、何かヒントにならないかとアネモネも探していると庭師に遭遇したので聞いてみたのだ。


「立派なお花たちですね」

「おお、これはお姫様。わしの手入れした花を褒めてくださってどうもありがとうなあ」

「あの、こちらにアネモネはありますか?」

「アネモネはここでは育てておらんねえ。どうしたんだい?どなたかに渡すのかい?」

「いえ、そうではないのですが……」

「アネモネは可愛らしいが苦しい恋を意味する花だから、贈らない人が多いと思うがねえ」

「苦しい恋!?そんな意味があるのですね……」


 贈らない人が多い花をもらったところで、しかもそんな意味があったとは…と衝撃を受ける。


「色によっても意味が変わってくるから注意して贈ることじゃなぁ、定番のバラも色によって意味が違うでな」

「そうなんですね……詳しいのですね」

「ここの坊ちゃんたちにも、国王様にも、姫君に贈る際の注意としてお教えしてきたからの」

「王子様たちにも!?」

「ああ。書庫にもまとめた本があるでな。姫様も貰った花の意味がわからんようじゃ困るで、読んでみるとええ」


 勿論、読むよりこのおじさんに聞いた方が早いと思い私はすぐさま聞いた。


「赤いアネモネの意味を教えて頂けませんか?」

「赤は、君を愛す、じゃな」

「……!」

「勿論アネモネ自体がはかない恋とか苦しい恋を意味するで、そんでも内に秘めてる愛があるっちゅーことじゃ」

「秘めてる愛……では、ピンクのチューリップは?」

「愛の芽生えと誠実な愛じゃ」

「……赤いバラは、どのような意味ですの?」

「それは一番の熱烈な想いを伝えるのにうってつけじゃな。そのまま、熱烈な愛を伝えるんじゃ。あなたを愛してます、とな」

「熱烈な愛……」

「なんじゃお姫様、もう赤いバラをもらったことがあるのかの?まだ子供だろうに、ませとるなあ」


 そう言ってカッカッカッとおじさんは笑った。

 おじさんの話で、ソレイユ国の王族の男性が花言葉を意識して花を贈るということがわかった。

 そこで私はなんとなく気づかないようにしていたルフレ様の気持ちが見えたような気がして戸惑いを感じた。

 それから……あの日アネモネをドアの下に置いていたのはルリジオン様かもしれないと思った。

 自惚れでないなら、彼も私の事を憎からず想ってくださっていたはずだ。けれど、自分の行く先を考えた上で私との決別を決めたのなら……


(一度、確かめてみたい。どんな気持ちで贈って下さったのか。それに、本当にルリジオン様なのか)


 私はそう心に決めたのだった。


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