おでっかけー
七柱とアイが創った世界へのんびり旅立ちます。
へりくだりすぎる"薮氏"と口の悪い"アイ様"。
クライアントから提出された要望を窓口のアイ様と、一つずつ吟味して、幾つかのプロジェクトに分けエィと名付けた人工痴能を介して専門の職人達へ発注し終わった。
『『『『『『『『いってらっしゃーい 』』』』』』』』
形だけ7柱に見送られ、おれは『視察』と言う名の旅に出た。
「でもですね、どおして自転車にリアカーなんですか」
『車の免許無いんだよね』
「はい、持ってませんが神様の威光とかでナントカなるものじゃないんですか」
『これから向かうのは、現代日本と同じ価値観の環境ですよ。無免許で逮捕されますよ』
「そこまで忠実にやんなくても・・・・」
『なんちゃって世界でも、ダメです。NPCといえど社会ルールに則りちゃんと生活してるんですから』
「そかんもんっすかねぇ」
『そんなもんです』
「自転車ですよ」
『アシスト自転車です』
「アイ様は乗っているだけじゃないですか」
『だって未成年ですから』
「ええーっ」
これまでも声だけで、今回自転車に引かれるリヤカーに乗せられた家型の箱から出てこない相手を口調とか声の感じだけで想像していたのだが、箱から出てきたのは1歳児ぐらいの乳児だった。
「よろちくね、パパ」『人目に晒されるの好きじゃないんですがね』
「あははは、パパはないでしょ」
「じゃあ、おぢちゃん?」
首を傾けた表情はかわいいんですけどね。とくにおむつでぷっくりふくれたカボチャパンツみたいなのとかね。
「まだ若いんで・・・・」
「おぢちゃんは、おぢちゃんぢゃないおぢちゃんなの?」『おとなしく、姉の娘で姪って設定で手を打てよ』
地声のかわいさに乗せ、念話でガラの悪くなった玉音を頂きました。
「・・・・・・」
「のっけてー」『今回の改造費は、給料から天引きな』
自転車が児載せママチャリに変化しました。リアカーが消えて変形したけどアシスト付きなのは変わっていないので少し楽になったと思います。たぶん。
「はいはい」
おれは、ヘルメットを被ったアイ様を変形したハンドルの間にあるかごへと乗せベルトをさせて頂きました。
「おっでかけー、おでっかけー」『おら。とっとと漕げよ』
「はい、はーい」
引き籠もり空間から、日の当たる屋外へ出るとどこかの田舎道を進んでいました。全体的に眩しい。
『おいっ、お前えしゃべり方急に変えんなよ』
心の声が聞こえてましたか。
『ああっ、ばっちりな』
どっひゃー。
アイ様の機嫌が悪いのは、屋外は乳児の肌に直射日光が有害であると力説されました。アイ様はカゴに取り付けられているメッシュの日よけフードをたてると少し機嫌が戻った様子です。
おれには、麦わらにサングラスを頂き装着完了です。
今の季節はこれから夏に向かっているのでしょうね。
「おぃちゃまぁー、あえウンコー?」
「違うよアイちゃん。あれはソフトクリームを売ってますって看板だよ」
「しょふとくぃいむ? あーしゅくぃいむぢゃないのな」
「あははは、白いトコロがアイスなんだよ」
「へぇえー」
念話で指示はこなかったけど、欲しいなオーラがだだ漏れですね。乳児なのにいいのかと判断に迷いました。
自転車を止めスタンドを立てて安全ベルトを外し、アイ様をカゴから降ろして手を引きながら店に入ると雑貨店でカメノコたわしなど置いてありました。
地元のおばさん達が噺をしてましたが、おれ達に気がついてくれて、アイ様にあめ玉を差し出され、しゃがむような動作で「あぃがとぉ」を連発しています。
ソフトクリームとミネラル水を購入し、外にあるベンチに並んで腰掛けました。
木のスプーンで一口分すくってアイ様の口に運びます。とても小さな口なのでなかなか減りません。
「もやしてー」
燃やす? 両手を差し出してきたので、"持たして"なのだと推測して補助をして口元に移動させると、かぷっと口からかぶりつくと、予想通り口の周りと鼻の頭がクリームで真っ白になりました。
だんだん溶けてくのが分かりますね。地面にたれ始めました。
「あとは、おじちゃんがもらっていいかな」
「うん」
満足したのか、こくんと頷いてくれましたので、コーン近くまで一口で頂き、コーンを少し砕いてアイ様の口へ運びました。
あーんと大きく口を開けるお顔は年相応にとてもかわゆくて癒されるのですがね。
コーン内のクリームを飲みほし、コーンのカケラを幾つか口へと運ぶと、ゲップと空気の漏れる音がいたしました。
もう頃合いでしょう。小さくなったコーンの端っこを口に運ぼうとすると、首を横に振りました。
後始末をさせて頂きました。ボリバリとかみ砕きながら、ハンカチを取り出して、水を含ませて、アイ様のお顔を拭かさせて頂きました。
ベトベとしたままでは、気持ち悪いですからね。十分とれてから、店でもらったストローを挿して、水を飲むように進めます。
チューチュー吸っていたのが止まり、ぷはーっと息を吐かれました。
「じゃあ、行こうか」
「うん」
かわいく頷くアイ様を抱き上げ、自転車に乗せ直すと先へ進みます。
「あえとあえーとあっちぃ」『このまままっすぐ行くと「恋愛系」の都会、上に上がって隧道を抜ければ「異能バトル」の街、下に下がって川沿いを進めば「妖怪・伝奇」の町じゃが、どうする。なんなら引き返してバスに乗ると「宇宙」へ行ける村じゃがの』
お読みいただき、感謝します。
丁寧語と敬語など入り交じっていますが、仕様です。(^_^;)
どことなくエピ3とネタ被りしそうな感じで始めて見たかったのですが。うまく纏まらずに失敗です。
行先が決まりません。行先のリクエストは[恋愛]以外で、話し聞きます。w