本と動き出す歯車
本の力に目覚めたアルト
しかし、その力はまだ不完全なものだった。
そこのに、本の存在を知るものが現れる。
アルトと本の物語が少しずつ動き出す。
アルトが目を覚ました時、最初に視界に入ったのは
見知らぬ少女の顔だった
「……よかった……気がついた」
ほっとしたように、少女は小さく息をつく。
「君は…?」
その言葉に、少女は少し戸惑った。
「あ……えっと、私はミラ。あなたもしかして、
1人でゴブリン退治に向かったていう新人冒険者?」
不安げな顔で、こちらを伺う。
「そうだ……名前はアルトだ」
名前を言いながら、アルトは体をゆっくり起こす。
まだ、体は重いが意識はしっかりしていた。
「アルト、あなたには聞きたい事がたくさんあるの
ただ今は、早く街へ戻りましょう。」
その時だった、遠くから聞き慣れない声が響く。
「ギルドの調査員だ!」
3人組の男女がそこに立っていた。
装備も立ち振る舞いも、いかにもギルドの人間
といった風だ。
他の冒険者が、問い掛ける。
「調査員?……聞いてないぞ?」
3人のうち、1人が答える。
「この辺で、高濃度の魔力が観測された。
確認させてもらう。」
3人組は、そお言い放ちアルトの方へと近づく。
アルトは、近づく3人組に妙な違和感を抱く。
視線が、不自然に鋭い。
そして。
(……本を見ている?)
3人のうちの1人の視線が、一瞬だけアルトの懐へと向いた。
違和感が確信に変わる。
アルトは立ち上がり、前に出る。
「……あんたら、どこのギルドの配属だ?」
空気が張り詰める。
「なんのことだ?」
「調査員なら答えられるはずだろ」
アルトの視線は鋭い。
「それとも、ギルドの所属ではないと?」
周囲の冒険者も、アルトの言葉で3人組に不信感を抱く。
沈黙。
そしてーー
「……チッ」
その瞬間、3人の空気が変わった。
禍々しい魔力が溢れ出す。
「その本、回収させてもらう。」
魔族ーー。
その言葉と同時に、アルトは動いていた。
「フレイムドラゴン……!」
本が光を放つ。
溢れ出す炎。
「はぁぁぁぁっ……!」
一気に距離を詰め、魔族を炎で吹き飛ばす。
だが。
「……ほう。」
余裕の声。
アルトは攻撃を重ねる。
確かに通っている。だがーー
「粗いな」
リーダー格の魔族が呟く。
次の瞬間。
「っ……!?」
身体が、重くなる。
呼吸が乱れ、膝から崩れ落ちる。
(まだ……!)
動こうとする。
だが、もう限界だった。
その時ーー
「やめて!!」
ミラが飛び出した。
アルトの前に立ち、剣を構える。
「これ以上は……!」
魔族が手をかざす。
狙いはミラ。
「ーーやめておけ」
リーダーの一声で、動きが止まる。
「目的は確認だ。回収は次でいい。」
「……チッ」
魔力が消える。
「面白い物が見れた、報告のしがいがある。」
魔族はアルトを見下ろす。
「次会う時は、必ず回収する。」
そう言い残し、3人は姿を消した。
静寂。
ミラはその場に崩れ、アルトを抱き起こす。
「アルト……!」
返事はない。
周囲の冒険者たちが駆け寄る。
「まずいな……街に戻るぞ!」
アルトの身体が持ち上げられる。
その手を、ミラは無意識に強く握った。
自分でもどうしてか分からなかった。
風が、静かに吹き抜けた。
ここまで読んでいただきありがとうございます!
第3話では、アルトの力の不完全さがよく分かる回だったと
思います。
敵である魔族たちも、まだ本気を出していない状態です。
今後、アルトがどう成長し力と向き合っていくのか。
ミラとの関係にも注目しつつお楽しみください!
次回もよろしくお願いします!




