表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私、見る目がありますから!〜癖強クランで愛され異世界ライフ〜  作者: 阿井りいあ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
70/70

70 疑いたくないけれど、そうも言っていられない


 私が青ざめて黙っているのを、小包の狙いが私だったことにショックを受けているらしいと受け取ってくれたようで、セルジュもトウルさんも気遣わしげな目を向けるだけで黙っていてくれた。


 それももちろんショックなんだけど……人を疑ってしまうのが辛くて仕方ない。

 違っていてほしいと願ってしまうし、事実だとして自分の中で受け止められるかも自信がなかった。


 だって……もしマリーさんがそうなら、ミルメちゃんが彼女を調べられなかったことにも説明がついてしまう。


「少しいいか」


 そんな時、どこからともなくラスロが現れた。

 いつも黙って背後に立つので、いちいち私が驚いていたらこうして先に声をかけてくれるようになったんだね。

 急に声が聞こえるからどちらにしても驚いちゃうんだけど。


「ラスロか。ちょうどいい」


 トウルさんはすぐにラスロを呼ぶと、真っ先に報告を聞いた。

 たしかラスロは私と一緒に教会に行った日からずっとマリーさんを見張ってた、んだっけ。複雑な心境だけど、ここでもし何かラスロが見聞きしていたら……。


「聖女に妙な動きはなかったか」

「……たぶん、ある」


 ドキッと心臓が鳴る。嫌な音だ。

 疑いが確信に変わるんじゃないかと思うと、恐怖以上に悲しくなる。私って本当に甘ったれだな……。

 たとえそうだとしても、同情じゃなくてきちんと受け止めないといけないのに。


「聖女は基本的に誰かしらの監視下にある。だが毎日ほんの小一時間だけ、一人きりになる時間が設けられているみたいだ」

「ほう。その間は何をしてる?」

「わからない。どうしても追跡できない」

「ラスロでも無理なのか」


 誰にも見られず、知られない時間がある、か。


 え、ちょっと待って。

 それって、普通のことだよね? マリーさんって普段から監視され続ける生活を送っているの?


 それは、とんでもなくストレスなんじゃない……? 毎日小一時間くらい、誰にも邪魔されない時間があるくらい当たり前のことなのに。むしろ少ないくらいだよ。

 ずっと見張られて育って、マリーさんはどんな気持ちなの? それが当たり前になっちゃってるのかな……。


 いろいろと調べるためとはいえ、ラスロがマリーさんを見張りに行ったことも申し訳なく思えてくる。こ、心が痛いっ!


「何かしらのスキルを使ってるんじゃないかと思ってる。俺の暗躍よりも高度な」


 ラスロの言葉にさっきよりもドキッとなる。

 それはまさしく私も考えていたようなことだったから。


「隠蔽か何か、か? さすがは聖女というところか。世界を渡ると高度なスキルをもらえるルールでもあるのか?」

「っ!」

「ルリ? ……おい、まじか」


 うぅ、そこまで推測しちゃうなんてさすがすぎるよ。

 今何かを聞かれたら、隠しきれる自信がない。顔に出ちゃう気がする。


 トウルさんとラスロが揃って私に顔を向けた。加えてセルジュも。

 うぅぅ……っ!


「大丈夫か、ルリ。話せるか?」

「は、い……」

「あんま大丈夫そうじゃねぇな……顔色が悪い」


 動揺したまま返事をすると、トウルさんに心配されてしまった。そんなに青褪めてたのかな、私。


「ハグ、する?」

「あ、ありがとう……でも、平気」


 ラスロが首を傾げながら両手を広げてくれたけど、今はたぶんそれどころじゃない。

 でも、そう言ってもらえたことで少しだけ肩の力が抜けたかも。ありがとうね。


 しっかりしなきゃ。怯えてばっかりいられないんだから。

 ギュッと手を握りしめていると、トウルさんが真剣な顔で私の肩に片手を載せる。


「ルリ。今後はこの中の誰かが必ずお前の側にいるようにする。犯人が誰であれ、ルリが狙われているのは間違いねぇみたいだからな」

「で、でも」

「遠慮なんかしないでくれ。私たちはみな、ルリの身が心配なのだから」

「仲間を守るのは当然。ルリは甘えるべき」

「セルジュ、ラスロも……ありがとう、ございます」


 うん、ここはおっしゃる通り甘えたほうがいいよね。

 私に身を守る術はないわけだし、怪我をして迷惑をかけるくらいならここは頼るしかない。私だって怪我はしたくないもん。


 私も、知っていることを伝えるべきだよね。

 私は一度キュッと唇を噛んでから顔を上げた。


「……神様が、特別なスキルを与えてくれたのは事実だと思います。私もそう思いましたから」

「それは……ルリもそうだからか?」


 トウルさんからの質問に、私はしっかり頷く。

 彼らにはすでにいろんなことを打ち明けてあるから。そして、信じてくれるってわかっているから怖くもなかった。


「もしかすると、情報をルリのスキルで見られなかったのも、聖女のスキルによるものなのかもしれないんだな」

「……同意見です。でも、それだけで彼女を疑うのはっ」

「ああ、わかっている。だが今はあらゆる可能性を疑ってかからなければならない」


 セルジュの推測に思わずといった形で口を挟むと、やんわりと諭されちゃった。

 そ、そうだよね。疑いたくて疑うわけじゃない。私はもっと冷静にならないと!


「たとえば聖女のスキルが全てのものから隠せるようなものだったとして、ルリのは全てを見通すものだったな? もしそうなら、聖女のスキルのほうが強力ってことにならねぇか?」

「二人はいわばこの国の犠牲者だろう。神がそれぞれの能力に優劣などつけるだろうか」

「そこなんだよな」


 すごい、トウルさんとセルジュがどんどん推測を語り合ってる。

 うん。やっぱり打ち明けてよかった。私一人じゃうじうじして終わってたもん。


 とはいえ、二人もここで考えが止まってしまったみたい。

 そりゃあ神様がくださったスキルがどんなものかなんて、知りようがないもんね……。

 私も含め、黙って考え込んでいたらラスロがぽつりと呟いた。


「聖女のスキルが、そもそも隠蔽とは全く異なる、とか」


 隠蔽では、ない……? でも、発想の転換というか、それはあり得るかも。

 トウルさんとセルジュも、一度そっちの方向で考えてみようと頷いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ