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私、見る目がありますから!〜癖強クランで愛され異世界ライフ〜  作者: 阿井りいあ


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50 褒めちぎられて照れちゃいます!


 女子三人にぐいぐい背中を押され、私はクランの広間へと送り出された。

 そこにはなぜかクランのメンバーほぼ全員が待ち構えていて、急激に顔が熱くなってしまう。


 な、な、なんでみんな勢ぞろいなの!? いないのはギャスパーさんとラスロくらいだ。


 でも今さら部屋に逃げ帰ることも出来ず、腹を括って声を出す。


「お、お、お待たせしました!」


 みんなの視線が刺さる~! せめてなんか言って! 馬子にも衣裳とかそういうの!


「ルリちゃぁん! 可愛すぎるぜ~っ!!」

「いよっ、世界一の美女ぉ! プリンセス、ルリちゃぁん!」

「ふふっ、なんですかそれ。もう、やめてくださいよ、ウォンさん、テッドさんっ」


 真っ先に駆け寄って声をかけてくれたのはこのお二人。大げさに褒められてすっごく恥ずかしいけど、逆にこのノリのおかげでちょっと笑っちゃった。


 と、肩の力が抜けたのも束の間、さらに誉め言葉を叫び出しかけたお二人を元気で可愛い双子が体当たりで押しのけ、私の前にやってきた。


「ルリ~! すっごく綺麗~っ!」

「うんうん、世界一可愛いっ!」


 悪気があったのかないのかはわからないけど、メディもサンディもウォンさんテッドさんには一切目を向けず、私だけを見つめながら目を輝かせている。


 だ、大丈夫かな? 飛ばされたお二人……。


 心配をよそに、双子はドレスや髪飾りの「ここが良い」ポイントをたくさん見つけてキャッキャしている。可愛い。


「え、えへへ。でも世界一可愛いのは二人でしょ?」

「今日だけはルリに譲る~」

「そそ、今日はルリが世界!」

「ふふっ、ありがとう」


 二人も大げさに褒めてくれるから、緊張がどこかに飛んでいったかも。ありがたいな。


 双子に手を引かれ、広い場所に出ると、他の人たちも集まって来て口々に誉め言葉をかけてくれた。


「似合うじゃねぇか。もともと貴族の娘だと言われても不思議じゃないな」

「えっ!?」

「冗談だよ。そんなすぐ顔に出るヤツが貴族を渡っていけるか?」

「あ、あはは! そうですよね!」


 モルガンさんに図星を刺されて思わず挙動不審になっちゃった。いつの間に知られてたの!? とか思っちゃったよ。つくづく、私って隠しごとに向いてない……!


 でも、今回の話し合いが終わったらクランのメンバーにも打ち明けたいと思ってる。もう少しだけ待っていてください!


「綺麗なドレスを着るのは楽しいですけど、やっぱりいつも通りが楽です」

「違いねぇ」


 モルガンさんはそう言ってフッと笑った後、いつも通り肩に手を置きかけて止まった。

 せっかく綺麗に着飾っているのに崩したらまずい、と笑うのにつられて私も苦笑する。


「本当にお似合いですよ、ルリさん。仕事柄たくさんの貴族と関わる機会がありますが、その僕の目から見ても違和感ありません」

「スィさん! 本当ですか?」

「僕はくだらない嘘なんてつきませんよ。自信を持ってください」

「あ、ありがとうございます」


 にこやかに微笑みながらスマートな誉め言葉をくれたのはスィさん……なんだけど、なんとなくこの人は事情を察してそうなんだよね。

 言われたわけでもないのに、ヨハンさんが来たことから推測して答えを導き出していそう。


 それでいて、あえて何も言わないでいる、って感じがする。

 ありがたいけど本当に敵に回しちゃいけないタイプだなって改めて思っちゃった。


「ル、ルリさん綺麗!」

「いつもと違う人みたい……本当に綺麗、ルリ姉」

「ルリ姉、おひめさまみたいーっ!」

「えへへ、ありがとう、トンくん、テンくん、カンくん!」


 そんなスィさんの後に見る子どもたちは癒されるなぁ。恥ずかしそうに褒めてくれるのも本当に可愛い。浄化されそう。


「緊張してるかぁ? ルリ」

「ハマーさん! そ、そうですね。ドキドキしてます」

「そりゃそうだよなぁ。貴族の家なんか、俺だったら物を壊しそうでヒヤヒヤするぜ」


 物理的な意味で!? 予想外の話に吹き出して笑っちゃう。ハマーさんらしいなぁ、もう。


 最後に、トウルさんが近付いてきてふっと笑った。

 その目がとても優しくて、なぜか心臓が跳ねる。


「気を付けて行ってこい。屋敷内に着きゃ大丈夫だろうが、道中なら何かあってもセルジュが必ずここまで連れ帰ってくれる」

「はい、気を付けて行ってきますね。ありがとうございます」

「……本当は、俺が守ってやりたかったがな」

「え?」


 何かを小声で言ったみたいだけど、聞き取れなかったな。


 トウルさんはそっと私の手を取ると、そのまま玄関で待っているセルジュの下までエスコートしてくれた。

 いつもよりゆっくり歩いてくれるの、助かります。ヒールって慣れてないから……!

 その辺の配慮が出来るってところが、高貴な家の出なんだなぁって感じるよ。


 玄関ドアの前で待っていたセルジュの下につき、改めて挨拶。今日はお世話になるからね!


「では、よろしくお願いしますね、セルジュ」

「……」

「セルジュ?」

「あ、いや、すまない」


 でもセルジュったら様子がおかしい。どうしたんだろう?


「その、よく似合っている」

「えっ! あ、ありがとうございます。セルジュのほうこそ、似合っていますね」

「まぁ、私はこういう服装だった期間のほうが長いからな」


 それはそうなのかもしれないけど、似合う似合わないは別の話だと思うけどなぁ。


「くくっ、ルリ。セルジュはお前に見惚れてたんだよ」

「なっ、トウル!」

「事実だろ」

「ま、まぁそうだが……」


 ええっ、そんなことある!? えっと、あれだよね、きっと。珍しい恰好をしているから驚いたとか、そういうあれだよね?

 ふぅ、言い方が紛らわしいんだよ、トウルさんは! もう!


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― 新着の感想 ―
捉え方がズレてるんだよ、ルリは!もぅ!
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