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戦争へ19

「文治さん。私の意見を言います。」

「はい。スバスさん。何でしょう。」

スバスは、印国の指導者を育てるために、文治の元を訪れて、その考え方を学んでいる。

「清国も隷属している国の一つですよね。清国の指導者を育てる教育者を招かないのですか。」

「スバスさん。もちろん、声は掛けましたよ。でもね、自らが指導者となる、と言われる人は居ましたが、指導者を育てる役目を担うという方が出てこなかったのです。私の人脈の無さなのでしょう。」

「そうですか。それは残念ですね。それで、自らが指導者に成ると言ってた人は、どうなったのですか。」

「はい。どうぞ頑張ってください、と申し上げただけです。」

「それだけですか。」

「それだけです。その方は、指導者に成る事が目的で、指導者として何をするのかという事に考えが及んでいませんでした。指導者に成れば、周りに人が集まってくるから、その人達が国の運営をするだろうと言われます。

そうした方の周りには、同じ様な方々であったり、甘い汁を吸う為の人達しか集まりません。

その様な考え方をされている方に、考えを改めてもらう事は難しいのです。」

「難しいのですか。」

「はい。日本でも、そうした方が居まして、取り巻きが、その方に報告するのは、上手くいっている事だけとなっていたり、時間が掛かっているとか、苦情が寄せられている時には、無理矢理の対処をしてしまって、収めてしまいます。」

スバスは、無理矢理については、何度も経験しているので、それ以上の事は聞かなかった。


「スバス君。君は、印国へ戻るのか。」

隣に座って、二人の話を聞いていたチャウが訊いた。

「うーん。今、印国では不服従非暴力のガンジー師が活動を繰り広げていて、そちらへ傾いている。私が戻っても、対立する事になるからなぁ。

そう言う、チャウ君は、どうするつもりなんだい。」

「僕は、勿論帰るよ。文治さん達が、国を運営するというのが、どう言う事なのかを教えてくれるから、僕達だけじゃなくて、多くの同胞に学んでもらうという様に、皆を誘うのさ。

僕は、指導者にはなれないかも知れないけれど、同朋達が同じ様に学べば、指導者の才能を発揮できる人が現れる。または、学んだ人達の子供達が、そうなるかも知れない。

僕が生まれ育った国が、誰にも支配されずに、自分達の国を運営できる様になって欲しいからね。」


「そうか。それも良いかも知れない。仏国の支配から解放される事を祈るよ。」

そう言ったのは、高だった。

「高君。君の国は、既に動き始めているんだよな。君は、どうやって指導者を育てるつもりなんだい。」

「私も、チャウと同じ様に、同朋を招くつもりだよ。」

「招くのかい。戻ってから、有望な者達を送り込むのでは無く。」

「うん。隣国だから、直ぐに来られれる。わざわざ戻る事も無いと思うからね。」

「そうか。でも、指導者に適さない人々が来てしまうのではないのかい。」

「その可能性は、高いかも知れないね。まあ、そんな人達には工場の下働きでもしてもらって、日本が朝鮮国を支援してくれるための下支えにでも、なってもらえば良い。

私は、間違いなく、次の朝鮮国を主導する人達を送り込んでもらう様に、依頼していますので。」

そう言って、高は胸を張った。


「チャウ。君の所は、仏国の支配だけじゃなくて、羅国からの支配も有るのだろう。羅国は、仏国の支援を取って、君の国を共同で支配している事になっていると聞いているよ。」

「そうだよ。内陸部は羅国、沿岸部は仏国という具合さ。だけど、どちらも軍隊は単独で、共同という訳ではない。だから、対抗する事は無理では無いと思っているんだ。両者への対応方法は同じでは無いけどね。」

「そうか。やはり軍事対抗という事になってしまうのだね。」

スバスは、自分と同じ考え方だと、チャウに言った。


「文治さんは、戦闘になれば、国民が被害者になるので、戦闘は避けるべきだと言ってましたよね。」

黙って聞いている文治に向かって、チャウが問い掛けた。

「はい。私は今でも、そう思っています。スバスさんの国で、ムハマドさんが身をもって示されている姿が、私にも賛同できます。

印国の民間の方々が、手に武器を持てない状況で、如何に自らの意思を示す事ができるのかを考えての行動だと思っています。そうした対応で、支配者が諦める迄、続けられる事ができれば良いのでしょう。

ただ、世界は凄い勢いで回り始めてしまいました。この勢いは、誰も止められません。

支配されている国々を解放するための切っ掛けとなる、主要な国々を巻き込んだ戦争が始まります。

チャウさん。スバスさん。高さん。そして、この話に加わっている皆さん。

できる限りで結構ですが、自国の国民の命を救う様に指導してください。そして、何より、あなた方の国々の子供達に学ぶ機会を与えられる様にしてあげてください。

子供達は、あなた方の国を次に担っていきます。その子達が、自分の生まれ育った国を住みやすい暮らしやすい国にするためには、学んでもらうことが欠かせません。

その事を忘れる事無く、指導者を育てていただきたいと思います。

それだけです。」

同席している者達は皆、それぞれの考えに入り込んで、黙ってしまった。


シナリオで準備したエピソード内容をかなり省略して書いてきましたので、分かりにくい箇所も少なからず出てしまいました。

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