3
「死体は全部で五体。俺が頭蓋を握り潰した奴が一体。でもまだ腕を掴んでくるから……」
塊は何かを引き離すように左右に引っ張った。それから左手に持ったものを後ろ向きに投げて捨て、右に掴んだものを地に叩きつける。
「紅葉ちゃん、今俺が捨てたのは此奴の左腕。今地面に叩きつけたのは此奴の本体」
「実況しないでよ!!」
「紅葉ちゃんが見えない分、想像で補うしかないんでしょ? だったら実況した方が良いかなって」
とんでもない悪趣味な発想を行っていた。殺意すら覚える。もっとマシな選択肢は無いのだろうか?
睨んでいると不意に腕に激痛が走った。見えないが、恐らく死体が噛み付いてきたのだろう。私は持っていた硝吸鎌を振るい、自分と死体を引き剥がす。涙が出るほど痛いが今は無視。
死体が転がったであろう位置に硝吸鎌の柄を突き刺す。しかし帰っていたのは地面の感触。そして右足に裂くような痛み。
「ぐっ……あぁっ!!」
歯噛みしながら足元に向かって今度こそ柄を突き刺す。ぐちゅりとした柔らかい肉の感触と、硬い石のような感触。肉を抉り、中の骨に当たるというのは酷く不快だった。悪寒さえ覚える。それでも私はもう一度引き抜いて、勢い良く振り下ろす。太くて硬いものがへし折られ、地面に到達。
「先輩!!」
氷室が叫び、棺の扉が放たれる。銀の蔦が溢れ出す。それは足元まで這い出て来て、隙間無く絡み合い棺の中へと誘っていく。
私が始末を認識した中ではこれが一体目。塊は一体目の五体をバラバラに引きちぎっているため、ある程度は始末し終えたのだろう。
過酷だった。死体狩りよりも死体の数が多いというのは楽な問題ではない。それでも私は生還せねばならない。此処で死ぬわけには決していかない。何はともあれこれで三対三に持ち込めた。あと少しの辛抱だ。
肩で呼吸しながら辺りを睨む。何も見えない癖に臭いだけは鼻を突く。
氷室が新たな標的に目を付け、棺を開口させる。中から飛び出してきたのは銀の糸ではなく、夥しい数の十字。
「氷室、そんな事出来たの?」
「糸が出るなら他も出せそうと思って……。試しに冥鬼さんに指示を出してみただけなんですけど……。効果なかったですね……」
額に玉のような汗をかき、肩で息をする。
滑空していた十字架達が前方で急停止。まるで人型のボード前面に惜しみなく針を差したようだ。しかし針ボードのような死体は倒れる事もせず、此方に向かってくる。
死体に……惜しみの無い針……。此処まで来て私はある良いことを思い付いた。これは……使えるかもしれない。
「氷室、まだ活動してる死体に向かって今の打ち込んでくれない?」
「分かりました」
氷室は汗を拭うと、残りの二体にも同じく十字を放つ。案の定空中で停止し、なんとも奇妙な針ボードを作り上げる。
よし、これで戦える……!!
氷室ちゃんの蔦を見ていると、友情出演させたいキャラが一人居ます……(´・ω・`)
(ハーレムのお兄さん……!! 早く出てきて!! 制作者側はお兄さんに飢えてるよ!!)
短編で出そうかなぁ……。゜(゜´Д`゜)゜。




