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「おーそうか。じゃあ相楽、宜しく」
「はいよ。軽いのにしてね☆」
「元々二人掛かりで運ぶ機材を軽く出来たら、そりゃ魔法だ」
軽い会話に教室が沸く。
私は適当に聞き流し、少しだけ息を着く。今日という日もまだ長いのだから。
午前の授業を真面目に聴く振りをして、大半を聞き流す。つまり聞いているのだ。聞いてはいるが、聴いてはいない。
それでもノートにシャーペンを走らせて、後から見直しが利くようする。当てられるような授業も無く、気が楽だ。
そんなこんなでお昼。何時ものように椅子と弁当を両方の手に持ち、群青と雫の元へ。雫と目が合うと、ゆるゆると手を振ってくれる。群青の席に着くと、彼女の机の上で弁当を開く。
「ん? 今日ベーグル?」
ベーグルを口にくわえたまま顎を引く。そのまま食い千切り、租借した後に口を開く。
「なんか開発中で味見して欲しいって」
「へー……。あっ、もしかして“ブッシュ・ド・ノエル”の?」
雫が問う。私は黙って頷いてまた租借する。食べ物が口の中に入ったまま話すのは、二人に失礼だと思っての配慮である。
私は噛み千切れなかったベーコンをそのまま引き抜き、口の中に収めていく。口元にソースが付いてしまった為、中指で拭い、口の中へ。
「あれ? 今日紅葉バイト?」
「ううん。明日」
首を横に振ると『そっか』と頷く。私はその後も黙々と食べ続け、弁当箱を畳んだ。
群青は食べ終わっていたが、雫はまだゆっくりと箸を動かしている。その様子を黙って見る私と群青……。
「あっ、ごめんね。あと少し」
何故か慌てられてしまったが、残りの米粒を口に入れると満足そうに口を動かす。何処か栗鼠を連想させる。
「はー……。最近面白い話ないかなー……」
「あったら皆食い付いていんでしょ?」
雫が退屈そうに窓を見て、群青が呆れたように返す。長い髪を指で払いのけ、群青もなんだか退屈そうだ。
私は内心、『面白い話は無いけれど、危険な毎日なら過ごしている』と愚痴った。しかしそれを口に出す訳にもいかないので、心中に留めるだけになる。
「あっ、もうすぐ授業だね。席に戻らないと……」
雫が弁当箱と椅子を持って、『じゃ、また』と端的に挨拶した。私も戻らねば。椅子を引きずって元の席へ。席に戻ると此方を見ている相楽と目があった。
「不知火は反応ねぇよなー……」
「“出さないようにしている”だけ。あと紅葉で良い」
「そりゃどーも。綺麗な子に名前で呼ばれる権利ゲットー!!」
と無駄にはっちゃけた返事を返す。御丁寧に、にかっと笑いながらガッツポーズまで決めてくる。彼はふんぞり返ると欠伸をした。それから何処か企みがちに口角をにやりと吊り上げた。何か面白い事でも起こるのだろうか?
「楽しそうだね」
「あぁ、そりゃ勿論。今まできっかけが無かったからなー。逃がさねぇ」
そのあくどくも魅惑的な微笑みを残したまま前に向き直った。
あぁ……相楽……折角出て来たのに、此から出番が無いという……(;´Д`)
相楽の言うチャンスと言うのは恋愛方面のベクトルです(*´∀`)
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