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1 眠れぬ夜
風呂を終え、髪を乾かし、ベッドの中。闇に染まった部屋で、私の双眸はぱっちりと開かれていた。昼寝をした所為か寝付けない。何時もならあっさりと夢の中に堕ちてけるのに。
取り敢えず瞼だけでも閉ざす事にした。それでもおよそ十秒後には目が開いてしまう。参ったなぁ……。
寝返りを打ち、ただ何を考えるまでもなく溜め息をついた。頬をシーツ擦り寄せ、髪をばらまく。すると不意に扉の開く音がする。体を起こすと塊が扉を閉めようとしていた。
「まだ起きてたの?」
「寝れないの」
屍のような目で塊を見る。彼はそっと近付くとベッドの端に腰を下ろし、手を伸ばす。丸まった指先が頬に触れ、伸ばされ、残された親指が瞼を拭った。塊は笑っていた。
私が俯くと何時ものように頭を撫でられた。
「もう大丈夫。だからゆっくりお休み」
そう言って私をベッドに横たえると薄い布団をかける。前髪の下辺りに手を滑らせ額に触れる。どうやら私が寝たと認識するまでこうしているらしい。
もう一度目を閉ざす事にした。それから十秒後、瞼を開く事はなかった。




