1 揺り籠
……そんな事はどうでも良いか……。
寝室に行くとベッドと毛布に挟まれた。目を瞑る……が、眠れない。さっきまでの眠気は何処へ行ったのかと自問自答する。
丁度その時だった。胃のムカつきを覚える。胃から何かがせり上がって来るような不快感。
猛ダッシュでトイレへと駆け込み、胃液を戻す。
「うっ……あぁ………ごほっ……」
吐き気の後の激しい頭痛を感じながら、その場で横たわる。それしか出来なかった。
「……はぁ……はぁ……」
無様だなぁと思う。何故こんな状態にまでなって生きているのだろう……? とある目的の為に生きて、死体狩りという役職に就いている筈が、それさえ無意味な気がして、何をやっても無駄な気がして、物凄い倦怠感が体に巡る。まるで猛毒のように。
いや、猛毒の方がまだ良かったかもしれない。だって毒ならば──。
──何時かは死ねるもの──
私の倦怠感は毒よりも質が悪く、また抗生物質も無いようだった。
「塊……塊……。私は貴方に憎まれなくてはならない。殺されなくてはならない」
でも、それさえ出来なくさせたのは私だった。全て私が悪いのだ。なのに自分で死ぬことさえ出来ないなんて。楽に死ぬことを望んでいるなんて。
「本っ当、無様で醜くて、何で生きているだろ……」
そのまま私の意識は闇へと消えていった。
安楽椅子に座る感覚。緩やかな波を持って体を揺らす。しかし不意に弾力のあるスポンジのような所に降ろさる。私の体は団子蟲のように丸まったまま開く事をしない。眠気のあまり動かせないのだ。
「はぁ……」
誰かが溜め息をつき頬から項にかけて手を這わせる。火照った熱が誰かに移動し、指先を溶かす。
何だろう? この愛撫は。
そして首を這った指が背中へと移動し、抱き締めるような形となる。肩に首を乗せ、密着するように絡んでくる。
「今日だけは……ね……」
その声を呼び水に、意識は落ちる事となる。




