表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アンデッド ─undead─ 一部  作者: 秋暁秋季
第一体 怠惰少女 
32/178

4

 私は溜め息を吐き出すと頬杖を着く。首をさすり、わざと嫌そうな顔を見せ付けてやる。そんな態度に二人は苦笑いして顔を見合わせる。

 そんな物分かりの悪い奴を見るような目で見ないで欲しい。本心から思っている事なのだから。“高嶺の花”なんて言われてもぴんと来ないし、第一自覚が無い。そんな奴に幾ら言ったって無駄である。

「興味無さそうだね」

 群青に言われ、黙って頷いた。でも出来れば放って置いて欲しい。目立ちたくないし、注目なんかされたくもない。私は日陰に佇む花のようにひっそりと、目立たない存在でありたいのだから。

 しかし雫は少しだけ不快そうに口をへの字に曲げている。反応が想像以上に薄いため、呆れているのだろう。

「皆の憧れの的なのに嬉しくないの?」

「全然。寧ろ目立つと厄介事に巻き込まれ易くなるから、ひっそりとしてたい」

 未だ納得しておらず、怪訝な表情の雫に私は少しだけ笑う。恐らく笑っているか分からない程度の薄い笑みだが。

 不服な理由も分からなくはない。他人は皆にもてはやされたら、さぞかし気分が良いのだろう。だが私にはそれが鬱陶しく、喧しいと感じてしまうだけである。

 人の感性は人それぞれで、全てを理解するのは不可能だ。けれどほんの少しでも混じり合っていれば人間関係は潤滑に進む。私は何時だってそうでありたい。つかず離れず、僅かな感情さえ共有出来れば。

「お前らー、席付けー!!」

 私達が話し込んでいるうちに担任が入ってきた。年齢の割に若く、女子生徒に人気がある……らしい……? バレンタインデーに沢山のチョコを貰ってると耳にしたから、モテる事は間違いないのだが。

 彼は眼鏡のブリッジを指で押し上げると、教室をざっと見回し教卓の前に立つ。黙って誰かに目配せし、頷くと係の生徒が号令をかける。

「起立、礼」

 椅子の引く音と立ち上がる音が揃い、妙な一体感が教室を包む。私達は黙って礼をし、席に着く。

 担任は教卓に両手を着き、体重をかけた。ドラマのワンシーンで見られる場面がリアルで行われている。まっ……そんな事はどうでも良いか。

 先生はがしがしと頭を掻くと面倒臭そうに始めた。

「えー、連絡は特に無いんだが、提出物……災害カードとかだな。がある奴は出すように。以上」 

 何時もの事だ。先生のホームルームはとても短い。必要以外の事を全く話さない為である。其処に至る経緯とか、何故やる必要があるか一切省かれている。『聞きたい奴は聞け』を遠回しに表したような言い方である。周りを巻き込まないため、非常に助かる。

 適当に話を進めていた先生が着席した生徒達に向かって目を走らせる。一瞬目が合ったかと思うと私の名を呼ぶ。

「あと不知火。ホームルーム終了後、職員室に来てくれ」

 何の話だろう? 荷物持ちだろうか? 提出物はきちんと出してあるため、概ねそんなところだろう。

 私はダルそうな目をして黙って頷いた。瞼をこすって、肘を着いていた腕を横にぶらんと落とす。正位置にあった首の力を抜くと、なんだか糸を切ったマリオネットのようだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ