周りの環境
(これから……どうしよう。絶対に、元彼のせいで男とは関わりたくないし、かと言って、このままリオを放って置くのもな……)
「……お嬢様」
一人のメイドが恐る恐るといった様子で口を開いた。
体はもちろん、声までも震えている。
(この子、震えてる……。やっぱり、リオが怖いんだわ。
……でも、魔力が強いだけで『悪魔の子』とか『呪われた子』と呼ばれるなんて──元のリオはどういう気持ちだったんだろう……)
「……もう体調は大丈夫なんですか……?」
「……」
「……リオ様…?」
そこまで言われてやっと気づく。
(あ、そうか。今はリオだったっけ)
「もう、大丈夫!」
「ならば早く下がらせて」という空気を感じながら、
部屋にいるメイド達は泣いているリオのお母さんを避けて、私に目線を送ってきた。
(……これは、想像してたよりも周りの環境がひどいかもしれないっ……)
「……だから、みんな下がっていいよ。心配かけてごめんね」
お嬢様の口調ってこんな感じよね? と思いながら、メイド達の期待に応えるように返事をする。
それなら最初から言ってよという圧を感じながらも、全員が部屋から出て行った。
部屋に残ったのは、私とリオのお母さんだけになった。
(うーん……このお母さんはリオをいじめているようには見えないのよね……。どっちかというと味方な気しかしない)
でも、メイド達の態度を考えると、あの人たちは影でリオをいじめてきたのかしら?