転生先は
確か……『悪魔の子は恋の檻に囚われる』──そんなタイトルの、人気な乙女小説だった気がする。
この世界にない髪色というだけで、周囲から「悪魔の子」とか「呪われた子」と呼ばれ、ずっと恐れられて、いじめられていたヒロイン──リオ・エラディア。
だけど、彼女はやがて六人の男たちに惚れられ、そして、その中の一人と結ばれる……。すると、彼女のダークブラウンの髪は銀色の髪に変わった。
それは、彼女の魔力が多かったせいなのだが、変わるまでは誰も気付いてないのよね……もちろんリオも。
皮肉なことに、 銀髪になったリオは、「聖女」だの「女神」だのと、勝手に持ち上げられた。
そんな物語だった、はず。
(でも、……勝手に「悪魔の子」や「呪われた子」と呼ぶくせに、変わったら「聖女」とか「女神」とかよく言えるよね……!)
と当時は思ったっけ? 今も思うけど……っ!
(その人たち、自己中すぎるっ!!)
その、リオの中にいるのが私。
……あの時の痛み、まだお腹に残ってる気がする。
──って、おかしいよね。違う体なのに。
でも、感覚は確かにあって……やっぱりあの時私は死んでしまっただろうか。
……じゃあ、本来のリオはどこにいるんだろう……?
こんなときでも、自分で驚くほど冷静で。
それが少し、怖かった。
ん? あれ? 小説の中ではハッピーエンドだったけど──
……でも、これ、ちゃんと動いている。
ってことは──私の行動次第で、バットエンドもあり得るってこと……?
読んでくださりありがとうございました。
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