記憶
頭の中に、いくつもの映像が一気に流れ込んできた。
──テストは問題がなく、白紙になっていて、何も書けずにいたリオ。
返された時には、何も書いてないことにされていた。
──そろばんは持っていたのに、席を外したほんの数分で、何故か壊れていたこと。
──『失敗したわ〜』と言って、魔法を使っていじめてくる人。
魔法を使おうとしても、お母さんを困らせるのが怖くてできなかったリオ。
それをいいことに、知らんぷりする人。面白がる人。
(これは……リオの記憶? ひどい……これじゃ、リオがどれほど追い詰められていたか……)
リオの記憶を見たのは、この世界に転生してから、初めてだった。
そして……テストをわざと入れ替えたのは、この先生だろうね。リオが0点と言って、テストを返した時も、完全にバカにしていたから。
「おい! いい加減にしろ!」
影が差したと思ったら、いつの間にか、先生は教卓から私が座っていた机に来ていた。
(そう、そっちがそういうつもりなら……こっちも、態度を変えることにしましょう)
今まで反抗しなかったのが、立ち向かったら、どういう反応をするのかしら?
「……なんでしょう?」
「ふざけてんのか?! そういうつもりなら、0点じゃなくて100点取れよ!」
生徒にそんな口調で話していいのかしら。
と思いつつ、何かを言おうとした、その時──
「ねえ〜、先生やめなよ〜。完全に何にも話せなくなっているじゃない〜」
「かわいそう〜」
とくすくす笑いながら、話す声が耳に届いた。お嬢様口調はどうした? と一瞬思ったものの、違うことに意識が持った。
(わざと聞こえるようにして話しているわね……。それなら、先生も聞こえているはずなんだけど……)
そう思って、先生を見ると、そこには薄く口の端を上げながら、勝ちを確信しているかのような顔で立っていた。
聞こえないフリね……。
じゃあ、私も何かいうのはやめたほうがいいわ。こういう時、先生は絶対に、あっちのほうの肩を持つから。




