勇者の資格 4
「……背伸びをしたい年頃なのは分かるが、いくらなんでも背伸びしすぎだ。
どうみても、未成年だろう君は。」
「何歳に見えますか。」
「……できる限り、上にみても十二が良いところだろう。」
「それじゃぁ、マリーよりも年下じゃないですか!!」
マリーは今年、十四になる。
怒りを通り越して唖然とした様子でルドルフはクランを見る。
「最初、仲の良い姉弟だと、思ったんだが………。」
「確かに、まだ背が低いですが……酷すぎます。」
「………こう見えても、年当てをはずしたこと無いんだけどなぁ。
やっぱり、嘘だったりしないかい?」
「本当です。」
ルドルフは黒パンサンドに齧りつきながら言う。
口の中でぼろぼろと崩れる黒パンが、唾液で丸くなる前に無理やり飲み込む。
八つ当たり気味に食事を済ませると、こぼれたパン粉を叩き落とす。
「僕、もう行って良いですか。」
「……あぁ、引き止めて済まなかったね。」
「いえ、別に。」
ルドルフは籠をしっかりと両手で持って、ベンチから立ち上がる。
宿に帰ったら、薪割りが待っている。
それに、マリーもクランとの話しの内容を聞きたがってしばらく騒がしいだろうし。
「……ご飯、ご馳走様でした。」
「いや、こっちこそ宿の主人に無理を言ったんだ。
何事も無くてよかったよ。」
「………はい。」
一礼だけして、クランに背を向けて広場を後にする。
ルドルフが去り、残されたクランは空を見上げる。
どんよりと、曇った灰色の空。
黒に近い雲が遠くから迫ってきていて、雨を予感させる。
「良い、天気だ。」




