龍と虎はそう語る
異常が日常を改変……というか、中略を書き足しました。
その内出てきそうなので。
「成る程、私が魔を使うと世界に悪影響が出るのか。」
『龍の魔術は過剰に魔力を消費するにゃ。否、消費と言うよりは放出かもにゃ?過剰分は世界に帰ることなく魔素として宙を漂う……のにゃ。
濃すぎる魔素はこの世界にとって毒だにゃ。理性を蝕み魔物を生む、それも強力にゃ。』
「理性を蝕む?それだけならば、生物のいない場所で使えばいい。」
『残念だが魔素が有効なのは生物だけでなく無機物にもだ……にゃ。……………この語尾恥ずかしいんだがまだ続ける…のにゃ?』
ようは、錬金術の思想におけるコードのようなものが過剰な魔素で歪むのか?
無機物に過剰に魔力を注いだところで割れるのが落ちだと思うが…コードその物が歪んでしまうなら………いや、それだけでは説明はつかないか。
理が同じとも限らないからな…。
「なんとなくは、理解した。」
『聞いてないなら普通にもど………さないにゃ。諦めるにゃ………理解したなら、これからは魔術を使うのを抑えていただければありが「だが断る。」…………なに?』
一度、言ってみたかった。
無論理由はそれだけではないが。
「私の目的のためには魔は必要不可欠だ。
だから、魔を使うことは止めない。……それと、語尾だけでなく『な』行もすべて『にゃ』行に変換だ。」
「……突然、言われても難しいにゃ。」
「まぁ、あと二三百年やっていれば嫌でもなれるだろ。」
「そんなに長くやるのにゃ?! …それは流石にいやだにゃ。」
…この様子だと私が見ていないところで元の口調に戻そうとするか。
しかたない。
体の奥底。
水を汲み出すように、魔力を集中させ放つ。
世界に干渉した私の魔力がおどろおどろしい黒い煙となって神獣を包み込む。
神獣が逃げるまもなく煙は彼女の体へと解けるように消える。
「…なにしたにゃ?」
「自然に猫語になるよう呪を…自動翻訳の応用で意外といけるものだな。」
「最悪にゃっ!!というか、魔術使うなって言ってるのにゃ?!どうするにゃ、この魔素。」
「…なるほど、これが魔素か。」
第三の目で見ると確かに空中に魔力が漂っている。
特に害はなさそうなんだが………ふむ?外部からの干渉が掛かってるな。
なるほど、そういう風に動かすのか。
なら、こうすれば1つに纏まるか……?
「く、空間が歪んで……一体にゃにをして…?!」
む、外部からの干渉が予想より強いな。
遮断することも出来るがこれ以上魔素が増えるのもな…よし、後は圧縮して。
魔素を無理やり1つに纏めるも外部からの干渉は止まらない。
纏めた魔素が歪められ魔力が分解され別の物へと再構成される。
その間も私は元魔力を無理やり圧縮し続け 第一の目でも可視化するほどになると魔素の周囲の空間が陽炎のように揺らぐ。
揺らぎが原型が分からないほどになると唐突に手ごたえが無くなった。
確認すると揺らぎと魔素も消えている。
代わりに黒い…輪郭がつかめず平面のようにも見えるほど、あるいは塗り絵を黒いクレヨンで塗りつぶしたような。
そんな、不気味な色合いをした一匹の大型犬…いや狼か?がこちらに真っ赤な目を向けていた。
「なんにゃ?なんにゃあれ?!なにが起こったにゃ?!」
「…捕まえてみるか。」
平面にも見えるからか、距離が分かりにくい。
目を細め慎重に距離を測る…。
「だから魔術はやめるにゃっ!!」
意識を狼へ向けていたからか、後ろからの神獣の動きに反応できず背中から押しつぶされてしまう。
痛くは無いがざらついた砂の感触を不快に思っている隙に、狼が森の茂みへと駆けていってしまう。
目で追うもすぐに森の闇に紛れて分からなくなってしまう。
……早く退かして追いかけ無いと流石にまずいか。




