狩人の話
「今日もいい天気です。」
少年は竹箒で道に転がる小石と枯れ葉を脇に寄せながら呟く。
彼の言う通り、空は高く快晴だ。
時折、木々を風が揺らす音が辺りに満ちる。
平穏である。
金具の軋む音と共に背後の扉が開く。
金属同士が擦れる音に少年は振り返り笑った。
「……あ、おはようございます。
騎士さん。」
「おはようございます、ルドさん。…隊の皆さんはまだ寝ていますか?」
「いえ…起きてはいると思います。夜通し呻き声が部屋から聞こえていましたから。」
「おや?全員気絶しなくなりましたか。
それでは、そろそろもう一ステップ訓練を進めますか…。」
「や、やり過ぎないようにしてあげてくださいね………?」
「無法共には、まず体に順列を叩き込まないと…。
もう一週間後には座学も始めますので、それまではマナーが悪いのは見逃してあげてください……申し訳、ないですが。」
「いえいえ、とんでもない。
今日も訓練頑張ってください。」
「勿論です……さて、皆を回収しにいきますか。」
道の先。
警備隊の駐屯地へ向かう騎士をルドは一礼して見送る。
太陽の位置を確認すると、手早く掃除道具をしまい騎士が出てきた建物ーー実家であり宿屋と雑貨店を兼業する店ーーの扉をあけ。
「姉さん~森に行ってきます~!」
中にそう呼び掛けると、村を囲む柵を近くに生えた木を足場に飛び越える。
「ルド坊、柵を飛び越えるなと何度いやわかる!」
「ごめんなさ~い!!」
村人の声に背中越しに答えつつ、少年は村を囲むように広がる森へと駆け出す。
その足取りはとても軽く。
その向かう先は余りにも鬱蒼とした不気味な森で。
鼻唄混じりに死地と呼ばれる場所に踏み込む少年を止めるものはいない。
彼の名はルドルフ。
とてもあり触れた名前だが、この小さな村では被る心配もない。
容姿は少々珍しく
薄い緑の髪は太陽の光を受け、黄緑色に光を反射し瞳も髪と同じ緑。
ただ、瞳の色は深く青い緑だ。
この不気味な森と同じ色の瞳。
彼の職は狩人兼案内係。
この章の主人公である。




