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リバース・ジョーカー  作者: ぱんどら
第四章 黒き嘲笑の真実

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新生

 世界中の秘め事が暴かれた数分後。

 陽彩の指示を受けたOrpheusの面々が、各地に出撃していく。

 その雑踏の中を、一人歩く少年がいた。

 彼の名前は、明星輝夜あけほしかぐや

 英雄を父に持ち、第零部隊の隊長を務めている。

 だが、彼の後ろに続くものはいない。

 篝灯魔かがりとうまは死に、篠宮沙織しのみやさおりは天霊となり、玖遠玲那くおんれいなは消息不明。

 今の彼には、肩を並べて戦うものも、背中を任せられるものはいなかった。

 雑踏から抜け、廊下には輝夜以外の人影は無くなった。


「おう。ここにいたのか、輝夜」


「白夜さん。どうしました?」


 そんな輝夜を引き止めたのは、Orpheus全部隊統括大隊長を務める明星白夜あけほしはくやだった。


「周りに誰もいない時くらい、父さんって呼べよ」


 白夜は微笑みながら軽口を叩くが、それに応じる余裕は、今の輝夜にはなかった。


「それで、何の用ですか?」


「……まあいいか。神崎から頼まれたものを渡しに来ただけだ。ほらよ」


 白夜は持っていた包みを、輝夜に手渡す。

 受け取った瞬間に、それが何なのか理解できた。


「ありがとうございます」


 短く感謝を伝え、輝夜は任務へと向かおうとする。


「おい、輝夜。その……大丈夫か?」


 思い詰めた暗い表情を浮かべる輝夜を、白夜は引き留めた。

 彼を心配する言葉は父親と責任者、どちらの立場としての言葉だったのか。

 どちらであっても、輝夜にあっては大した問題ではない。


「はい。特に問題はありません」


「……そうか。お前がそう言うなら、これ以上は何も言わん。任務に励めよ」


 すれ違う輝夜の肩を叩き、白夜は彼に激励の言葉を贈る。

 輝夜は、そのまま振り向きもせず、任務に向かおうと思っていた。

 だが、久方振りに上司と部下ではなく、父と子として言葉を交わしたことが、輝夜の足を止めさせた。


「父さんは、どうして英雄になったの?」


「なんだ、唐突に」


 輝夜の急な質問に、白夜は笑ってしまった。


「そうだな。別に、英雄になろうとしてなったわけじゃねえよ。きっかけだって、事故みたいなもんだしな」


 しかし、その真剣な瞳に見据えられ、白夜は真剣に答えを返す。


「天霊にあいつを奪われたことが許せなかっただけで、英雄になりたかったからやったわけじゃなかった。今だって、過去の後悔を忘れたくてやってるだけだ。結局、英雄なんてのはな、周りが好き勝手言ってるだけのお飾りの称号だ」


 白夜は、輝夜の頭をぐしゃぐしゃと乱雑に撫でて、笑いながら言った。


「本当に大事なのは、お前が誰のために何をしたいかだ。そこに肩書きも役職も関係ねえ。自分の心に正直になることが一番大事なんだよ。だから、うだうだ考えずに、やりたいようにやってこい」


 輝夜の背中を思い切り叩き、白夜は、輝夜の元から去っていく。


「──ありがとう、父さん」


 鈍い痛みを背中に感じながら、遠く離れていく背中に、輝夜は感謝を伝えた。



 Orpheus本部の外に出た輝夜は、目を閉じ、深呼吸をする。


「輝夜さん。向かって欲しい場所をマップに送信しておきました」


「ああ。ありがとう」


 輝夜の装着する通信機に、司令室からの連絡が入る。

 短く感謝を伝え、目を開けた輝夜はマップを確認し、位置を把握した。

 そして、輝夜は、白夜から受け取った包みを解き放つ。


「神崎さんには感謝しかないな。大きな戦いが起きる前に完成させてくれて」


 天霊都市での戦いの後、輝夜は神崎の元を訪れていた。

 その理由は、自身の霊装を完成させてもらうため。

 今までは、試作品の霊装「ベータ・レムナント」を使用し続けていた。

 しかし、それではこの先の戦いを生き残ってはいけない。

 誰も守れない。

 そう考えた輝夜は、霊装を完成させることを依頼した。


「さあ。初陣だ」


 ここに来る道中で、霊装の説明には全て目を通し、使用方法は全て理解していた。¥


「君の力を見せてくれ、デーヴァ・レムナント」


 そして、輝夜は生まれ変わった自身の霊装「デーヴァ・レムナント」を掲げる。

 霊装は主人の声に応じるように、その姿を銃へと形を変えた。

 デーヴァ・レムナントは、試作品同様、十二の形態への変化を可能としている。

 いくつかの形態は試作品から使いやすいように性能が調整された。

 そして、試作品にはなかった機能として、武装の併用が追加されている。


「──帝釈毘沙門天(たいしゃくびしゃもんてん)崩雷武曲陣ほうらいぶきょくじん


 今回、輝夜が併用した武装は、毘沙門天びしゃもんてん武曲陣ぶきょくじん

 仲間たちに勝利をもたらすべく、陣を刻んだ場所に瞬時に現れることができる。

 そして、天を穿つ雷撃を、銃身から放つ武装であり、十二の武装の中でも最も攻撃範囲が広い帝釈天たいしゃくてん崩雷銃ほうらいじゅう

 この二種を組み合わせることで、輝夜は雷撃に陣を載せ、雷撃が直撃した場所に陣を刻み込むことを可能にした。

 これにより、敵を殲滅しながら、敵陣に強襲することができる。

 陣からから放たれた雷撃は、標的に向かい飛来し、輝夜を今回の標的の元へと導いた。


「さあ、始めようか」



 輝夜は、生まれ変わった霊装を携え、雷光と共に、ゾディアック本拠地を強襲した。

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