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リバース・ジョーカー  作者: ぱんどら
第四章 黒き嘲笑の真実

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その日、世界は暴かれる

 Orpheus本部、最上階。

 世界の最果てまで一望できるその場所に、二人は立っていた。

 Orpheus総帥、立華陽彩たちばなひいろ

 禁忌部隊『ファムファタル』隊長、流転妃縁るてんひより


「あなた、今、どんな気持ちでここに立っているの?」


「ふん。当ててみろ、言葉使い」


「お断りするわ。どうせ、大したこと考えてないんでしょ? だって、この計画が失敗すると思ってないから」


「まあ、大方正解だ」


「失礼します。総帥、準備が出来ました」


 二人の会話を遮るように、部下からの通信が入る。


「ああ、分かった。──始めろ、妃縁」


「はいはい。仰せのままに、総帥」


 妃縁は、屋上から落ちそうなギリギリの場所に立ち、世界を視界に収め、その口を開いた。


「──世界の秘め事は、全て暴かれる」


 天霊・流転妃縁の能力である『言想掌握ワーズ・アドミニストレーション』は、彼女の言葉を現実にする能力である。

 天霊にダウングレードしているとはいえ、元は神霊。

 能力範囲と効果も、通常の天霊とは比べ物にならない。

 妃縁の放った言葉は、概念すら書き換えて、世界を変える。

 今この時をもって、全ての秘め事は暴かれた。

 誰もが秘密を隠せなくなり、隠れ住んでいた天霊たちはその姿を露わにする。


「……秘め事は暴かれる、か。確かに暴かれたらしいな。ふざけたことをしてくれたものだな」


「それ、誰に言ってるの?」


 変わりゆく世界を見つめながら、陽彩は誰に向けたのか分からない言葉をつぶやいた。


「気にするな。ただの独り言だ。……霊力の反応が強いのは三か所か。全員、手筈通りに動け」


 露骨に話を逸らしながら、陽彩は部下に作戦開始を命じる。


「さあ、天霊殲滅計画の始まりだ」



「それで、私に何の用だ?」


「あなたに聞きたいことがあるの。私はそのためについてきたから」


 甘音と直輝が激突している頃。

 セブンス本拠地の奥にある研究室で、沙織と千咲が睨みあっていた。


「ふん。お前、目的のためなら平気で噓をつけるタイプか」


「それが必要なことならね。そうでもしないと、違和感なく抜け出せなかったから」


 沙織は、璃空たちの目を盗んで抜け出すため、一つの嘘をついた。

 それは、「Orpheusが天霊を利用している」という事実にショックを受けたということである。


「多少の驚きはあったけど、納得してる部分もある。上層部はそういうことを平気でする人たちだから」


 第零部隊として、組織の中枢の近くにいた彼女には、上層部のロクでもなさをなんとなく理解していた。

 それ故に、ショックを受けることもなかった。

 しかし、千咲に接触するための体のいい嘘として、明かされた事実を利用したのだった。


「それで、私に何の用だ? 言っておくが、お前の天霊化はもう戻らないぞ」


 沙織の嘘も、目的も見抜いていた千咲は、単刀直入に彼女の望みを切り捨てた。


「……!?」


「当たり前だろ。天霊化は病気じゃない。一種の成長だ。成長は不可逆。当然のことだろ? 今の人類に、類人猿に戻れって言ってるようなものだ。それでも何かしたいというなら……まあ、精々延命措置ぐらいだろうな」


「延命措置?」


「ああ。お前ら第零部隊の霊装には天霊の霊力を吸い取って、プールする機能があるな? それを使えば、天霊化の進行を一時的に抑止することができる。それか、白蓮鏡夜のように霊力の大半を別の用途に使用するか、だな。まあ、どれもその場しのぎでしかないがな」


「だから、延命措置ってわけね」


「そういうことだ。理解したか?」


「ええ、おかげさまで」


 千咲の説明で、沙織は自分がもう元には戻れないことを悟った。

 天霊になった人々が救われることはないと、改めて理解してしまった。


「なら──」


「明星輝夜の件か?」


「っ!」


 天霊に関することは諦めて、もう一つの用件を口にしようとした。

 だが、その用件を先に口にしたのは千咲だった。


「どうして分かるの? それがあなたの能力?」


「いや。私が天才なだけだ。単純に」


「は?」


 あまりにも並外れた先読みに、それが千咲の能力ではないかと疑う沙織。

 しかし、実際には天才的な思考で先読みしているだけに過ぎないという事実を、千咲は淡々と告げた。

 イラっとする沙織を尻目に、千咲は立ち上がり、機材の方へと向かう。


「お前の霊装を貸せ。対処法を作ってやる。その代わり、あれをこちらに近づかせるな」


「は……? あれってな──」


 千咲の言動が理解できず、困惑する沙織は直後、全てを理解した。

 背筋を走る寒気と同時に、世界が鳴動する感覚。

 出現する多数の霊力。


「……そういうことね」


 そして、彼女の目の前に突如現れた影。


「武器が必要なら、その辺のものを適当に使え」


「ふん。別にいらない。この程度の相手、素手で十分だし」


 沙織は、千咲に向けて霊装を投げつけ、目の前の敵と相対する。



 一方その頃。

 美鶴からの報告を聞いた璃空たちは、事実を呑み込めずにいた。


「Orpheusが天霊を利用するなんて、何がどうなってんだ……」


「正直、信じられません……。どこか信用できないところはありましたけど、そこまでするなんて……」


「ああ。それなりの正義はあると思ってたんだけどな。それと、篠宮のやつ、大丈夫か? 話を聞くなり、部屋を飛び出して行ったけど……」


「沙織さんは、Orpheusの一員として真剣に働いていましたから……。大丈夫だとは思いますけど、ショックも大きいと思います」


 話を聞いた直後、部屋を飛び出した沙織のことを二人は心配していた。

 それが沙織の演技だとも知らずに。


「……おや?」


 そんな中、その場にいた星導生真は、空を見上げ呟く。

 彼の呟きが何を意味するのか。

 全員がすぐに理解した。

 背筋に走る寒気と、世界そのものの震え。

 そして、決定的な何かがひび割れ、壊れたような感覚の後、多数の霊力が出現する。


「こ、れは……!」


「天霊の霊力……でもこれだけの数、いきなり現れるなんてありえないです……!」


 動揺する璃空と玲奈。


「一体、何が起きているの、生真! さっきの様子的に、何か知ってるんでしょ?」


 何かを知っていそうな生真に詰め寄る扇霞。


「誰の仕業か分からないけど、ここを隠すための結界が砕け散った。いや、正確に言えば、世界各地の結界が消滅した。大規模な霊力が大量に発生したのはそれが原因だね」


「それって、私たちの居場所がバレバレってこと……?」


「さすが私の教え子。よく分っているね。では、私はここで失礼させていただくよ。面倒事はごめんだからね」


「はあ!? この非常事態に嘘でしょ!」


「世界に抗う星々よ。君たちの活躍に期待しているよ」


「こっの……クソ師匠!!」


 扇霞の怒りを無視し、星導生真は美鶴と共に、虚空へと姿を消した。

 そして、入れ替わるように、璃空たちの前に影が出現する。


「何だ、こいつら?」


「天霊ってことだけは間違いないね」


 影はドロリと剥がれ落ちていき、三つの人影が正体を現す。

 二丁拳銃を携えた桜の少女。

 眩い星の輝きを放つ少年。

 そして、全身を金属で覆った鉄仮面。


「……嘘。何で……!」


 その三人を見て、ただ一人、玲那だけが二人と違う反応を見せた。


「どうしたの、玲那ちゃん? 知り合いでもいた?」


「ええ。よく知ってるやつが一人。鳴神も、気がついてるでしょ?」


「……ああ。忘れるわけねえよ」


 遅れて、璃空も気が付いた。

 たった一人だけ、知っている霊力の反応があることに。


「犯罪者は......天霊は許さないって言っていたお前が、天霊になっているのは何の冗談だよ。なあ、奏城鋼真かなしろこうま!!」


 鉄仮面に覆われた天霊。

 それは、かつて路地裏で璃空の運命を変えた人物。

 Orpheus第四部隊隊長、奏城鋼真だった。

祝!100話!!ついに100話ですよ。長かったような短かったような......。というか、毎日投稿していたら3ヶ月ぐらいで到達する話数に何円かかっているのだろうか.....まあいっか!!

とにかく、ここまで来られたのも皆さんの応援のおかげです!引き続き応援をお願いいたします!!

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