主要キャラクター紹介
## 主要キャラクター紹介
ネタバレ注意
### エリシア・ノワール=ヴェル
本作の主人公。五歳の人間の少女。
アルディア王国北西部の国境を守る名門貴族、ヴァレンシュタイン辺境伯家の三女として生まれる。
誕生した時は、父に愛され、母に抱きしめられ、兄や姉たちにも可愛がられながら、たくさんの愛情に包まれて育った。
しかし、魔法を恐れる祖国で魔法の力に目覚めたことから、その運命は大きく変わってしまう。
かつて自分を愛してくれた家族から拒絶され、ついには居場所を失ったエリシア。
そんな彼女を救ったのは、人間が恐れる最強の存在――黒竜王ゼノンだった。
黒竜王家の養女となったエリシアは、新しい父と母、兄と姉の愛情に触れながら、少しずつ本来の五歳の少女らしさを取り戻していく。
そして、人間には見えない妖精を見たいという純粋な願いから、クロノスと共に研究を開始。
数え切れないほどの失敗を乗り越え、世界初となる「妖精眼鏡」を完成させる。
その技術はやがて失明治療へと発展し、何百年もの間、光を失っていた人々へ再び視界をもたらした。
かつて人間であることを不安視された少女は、いつしか黒竜国の人々から敬意と親愛を込めて――「竜姫」と呼ばれるようになる。
## ヴァレンシュタイン辺境伯家――かつての家族
### アルフレッド・ヴァレンシュタイン
ヴァレンシュタイン辺境伯家当主。
エリシアの実父。
王国北西部の国境を代々守り続けてきた名門武門の当主であり、領民からも厚い信頼を寄せられている。
エリシアが生まれた日には、自らその小さな身体を抱き上げた。
「……ようこそ」
「今日から、お前は我が家の大切な娘だ」
その言葉に嘘はなかった。
確かに彼は、生まれたばかりの娘を心から愛していた。
しかし、エリシアが魔法の力に目覚めたことで、その関係は大きく変わってしまう。
かつて確かに娘を愛していたからこそ、その後の拒絶は、エリシアの幼い心へ深い傷を残すことになる。
### エレオノーラ・ヴァレンシュタイン
アルフレッドの妻。
エリシアの実母。
優しく穏やかな女性で、生まれたばかりのエリシアを腕に抱き、
「とても可愛い女の子ですよ」
と幸せそうに微笑んでいた。
幼い頃のエリシアへ惜しみない愛情を注ぎ、優しく抱きしめながら育てた母親。
しかし、娘が魔法の力に目覚めたことで、幸せだった家族の日々は崩れ始める。
エリシアにとって、かつては誰よりも安心して甘えることのできた「お母様」だった。
### ジークハルト・ヴァレンシュタイン
ヴァレンシュタイン辺境伯家の長男。
エリシアの実兄。
妹が生まれたと聞き、真っ先に部屋へ駆け込んできた。
父親の腕に抱かれた小さな赤ん坊を恐る恐る覗き込み、
「わぁ……」
「ちっちゃい」
と思わず声を漏らした。
幼い頃はエリシアの頭を撫で、兄として可愛がっていた。
しかし、魔法を巡る出来事によって、かつて仲睦まじかった兄妹の関係も変わってしまう。
### セレスティア・ヴァレンシュタイン
ヴァレンシュタイン辺境伯家の長女。
エリシアの実姉。
生まれたばかりのエリシアを見て、
「お人形さんみたい……」
と目を輝かせた。
幼い妹を可愛がり、家族として共に幸せな時間を過ごしていた姉。
しかし、エリシアが魔法の力に目覚めたことで、その関係にも大きな変化が訪れる。
### リリアーナ・ヴァレンシュタイン
ヴァレンシュタイン辺境伯家の次女。
エリシアの実姉。
妹が誕生した時には、
「私、お姉ちゃんになったの!」
と満面の笑みを浮かべ、誰よりも無邪気に喜んだ。
幼いエリシアを可愛がり、一緒に笑い合った大切な姉の一人。
まだ何も知らなかった頃。
二人は確かに家族であり、幸せな日々を共に過ごしていた。
## 黒竜王家――新しい家族
### ゼノン・ノワール=ヴェル
黒竜国を治める黒竜王。
黒髪金眼。
圧倒的な力と威厳を持つ最強の黒竜であり、エリシアの新しい父親。
家族から拒絶され、居場所を失ったエリシアを救い、黒竜王家の養女として迎え入れる。
「ならば、お前は今日から私の娘だ」
その言葉通り、エリシアを「人間の養女」として特別視することなく、最初から自分の大切な娘として愛する。
やがてエリシアが、
「お父様、抱っこ」
と甘えられるようになった時には、喜んでその小さな身体を抱き上げた。
エリシアが最後に、
「お父様」
「ありがとう」
と伝えた時。
ゼノンは娘の頭を優しく撫でながら、
「こちらこそだ」
と答えた。
エリシアにもう一度、父親へ甘える幸せを教えた、新しいお父様。
### セレーネ・ノワール=ヴェル
黒竜王妃。
黒髪金眼。
気品と慈愛に満ちた、エリシアの新しい母親。
家族へ甘えることを恐れるようになってしまったエリシアを優しく抱きしめ、
「あなたは、まだ五歳の女の子なんですもの」
「たくさん甘えていいのよ」
と教えた。
エリシアが、
「お母様」
「今日も一緒に寝てもいいですか?」
と願えば、
「もちろんよ」
「何日でも一緒に眠りましょうね」
と笑顔で受け入れる。
エリシアが再び心から「お母様」と呼び、安心して甘えられるようになった大切な存在。
### ノクス・ノワール=ヴェル
黒竜国第一王子。
黒髪金眼。
王族としての風格を持ちながら、穏やかで優しい青年。
エリシアの新しい兄。
突然できた人間の妹にも戸惑うことなく、
「はじめまして、エリシア」
「今日から君の兄だ」
と自然に受け入れた。
エリシアから、
「お兄様、遊んでください!」
と頼まれれば、手にしていた木剣を置き、一緒にかくれんぼをするほどの妹思い。
エリシアにとって、もう一度「お兄様」と呼び、遠慮することなく「遊んで」と甘えられるようになった大切な家族。
### アステリア・ノワール=ヴェル
黒竜国第一王女。
黒髪金眼。
明るく元気な、エリシアの新しい姉。
以前から妹が欲しかったため、エリシアが家族になったことを誰よりも喜び、
「今日からあなたのお姉様よ!」
と満面の笑顔で迎え入れた。
一緒に遊び。
髪を結び。
妖精の話をする。
エリシアが、
「お姉様」
「髪を結んでください」
と甘えてくれることを、心から喜んでいる。
エリシアに初めて、姉妹で過ごす何気ない時間の幸せを教えた存在。
## クロノス
黒竜国宮廷魔導研究所所長。
長い年月を生きる老竜人にして、優れた魔導研究者。
エリシアの、
「妖精さんを見てみたい」
という五歳の少女の小さな願いを笑うことなく、真正面から受け止めた。
人間と有身精霊の身体構造。
精霊眼。
水晶体。
視神経。
魔力伝達。
二人は共に仮説を立て、何度も実験を繰り返した。
何度失敗しても。
何度行き詰まっても。
共に考え続けた。
そして、ついに世界初となる「妖精眼鏡」を完成させる。
さらに、その技術は失明治療へと発展。
何百年もの間、光を失っていた人々へ再び視界をもたらした。
エリシアが自分の功績ではないと表彰を辞退しようとした時には、
「これは、わし一人の研究ではない」
「わしとお前」
「二人で始めた研究じゃ」
と、その背中を押した。
エリシアにとっては師であり。
研究仲間であり。
共に失敗し、共に悩み、共に大発明を成し遂げた大切な存在。




