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第1話 十二のダンジョン

――ポン。


《勇者と英雄の統合作業を開始します》


《エラー》


《エラーを検知。要因を特定》


《アマテラス記憶領域への干渉を確認》


《干渉源を特定》


《対象:十二のダンジョン》


《攻略を推奨します》


「(…………)」




 あの戦闘のあと、ソバーシュは一路エリシス本星へ進路をとる。

 

 戦闘後、シュナイダー帝国のシュナイゼル領から領主の独断でスパイ活動を行っていた特殊艦8隻は宇宙の藻屑と消え、ゲートを単独で通過可能なドラゴンフライが数機、この戦闘のデータをシュナイダー帝国軍へと持ち帰る事に成功していた。

 なぜシュナイゼルの領軍であるにも関わらず、自領ではなく帝国軍なのか。


――「シュナイゼル辺境伯やってくれましたな。特殊艦をエリシス王国領内へ潜入させるなど常軌を逸しておられますな」


 シュナイゼルの前に映るのは帝国宰相ヘレス。

 一瞬なぜ神の核を確保するためにした特殊艦の派遣がバレているのかと思い焦りはしたが、気持ちを落ち着かせ話を少しずらす。


「いや、あの聖女は元は我が領内の人間。我々が聖女を確保するために全力を尽くして何が悪いと申されるのか」


「いえいえ、責めてはおりませんよ?皇帝陛下はよくやったと申しておられます」


 褒められる?

 その事に躊躇するも、自分のしている事が評価されている事には違いない。


「そうでしょうとも!我がシュナイゼル家は長きにわたり帝国の辺境を守る忠臣ですからな!はははははっ」


「ええ、ええ、存じておりますとも。まぁ貴方がエリシスに派遣した特殊艦8隻は既にこの世には存在しておりませんがね」


「は?」


「そのようなこと……あり得るはずがない!!宰相殿と言えど言ってよい冗談も分かりませぬか!」


「うむ。ではその情報を元に既に皇帝がエリシスに宣戦布告した事も知らぬのですか?」


「はぁあ!?」


「はははっ、これは失礼。我が帝国の辺境までは遠いですからな、情報がまだ届いておらぬのでしょう」


「ぐぬぬっ」


 暗に田舎者と揶揄され怒りがこみ上げるも、情報が少な過ぎてシュナイゼルは唸る事しか出来なかった。





「おはよー京ちゃん」


「おう、おはよう。誘拐されてた割には元気だな」


「だって久しぶりに三人で朝ごはんなんだもん。楽しいよ、なんか凄い夢も見たし」


 夢ねぇ~……。


「そうだぜ京平。てかどんだけ寝るつもりだよ」


 エリシス本星に向かうソバーシュの兵員食堂で二人と向かい合って座る。


「朝食って言ってもこれじゃーなぁ」


 俺はパンを一切れひらひらと振る。

 するとそのパンを通りかかった一人の赤毛の女性が取り上げる。


 その姿を確認した食堂の面々は食事を中断し起立し敬礼する。


「あ~いいよ、食事続けて」


 フェルミナは手を振り俺たちと同じ席に着くと。


「仕方ないだろ、そもそもアイリーンでバカンスしてる時に補給もすませるはずが本星へとんぼ返りなんだ。だいたい補給をたのんだナリミアの野郎「そんな時間があるならとっととこの宙域から離れてください」ときたもんだ」――ぱくっ


 あ、俺のパン。


「ま、安全最速でエリシス女王に会わせてやるから、それまでゆっくりしてな。少年少女諸君」


「フェル姉。帰ったら俺の機体なんとかしてよ」


「そうだなぁ、あの試験機はちょっと取らないといけないデータが多いみたいでとうぶん使えんから帰ったら考えとく」


「了解。おねがいなフェル姉」


「ああ。と、そんな事よりひかるんとこ顔出さなきゃだったわ」


「ひかる姉に?なんかあったんですか?」


「いや、大した事じゃないんだがちょっと変な夢見たからコーヒー付き合えって言われててな」


「(…………)」


「なんだ、そんな事か。じゃ俺も後で顔出しますよ」


「私も!」


「そうだな、後でみんなで来たらいいさ。じゃごゆっくり船の旅を楽しみな」


 ひらひらと手を振りフェルミナさんは立ち去って行った。


「(…………)」


「(おいアマテラス。さっきからなんだよ)」


「(あぁ、そうじゃな。黙っとってもしかたないな)」


「(なんだよ)」


「(京平、ちょっとこの場から離れてくれんか?)」


「(……ながくなりそうなのか?)」


「(そうじゃ)」


「……わりい二人とも。ちょっと腹の調子がわるくてさ、食べ終わったら先にひかる姉の所いっててくれる?」


「何喰ったんだよ」

「京ちゃん大丈夫?治そうか?」


「あーいや、出した方がはやいから」


「まだ食ってるんだが?」


「すまんすまん、じゃそゆことで」


「もーっ京ちゃん!」



 展望デッキまで来た俺はアマテラスに話を促す。


「(お主、レム睡眠とノンレム睡眠ってのは知っとるな?)」


「(あぁ、知ってるけど?)」


「(実は昨夜の、お主の意識が深層に達した頃またあのシステム音声が流れだしたんじゃ)」


「(は?なんて言ってたか覚えてるか?)」


「(あぁ一語一句覚えとるよ。それを話そうと思っての)」


「(確か前回は戦闘後だよな。なんだっけ、たしか英雄素養の倍加で試練のレベルがあがるとかなんとか)」


「(それとダンジョンのランクが上がるとも言うておった)」


「(そう、それ)」


「(まぁ光の力を使えばその分闇の力も増す、これは世界の節理じゃ気にする事もない。じゃが問題は昨夜のシステム音声じゃ。やつは『干渉源を特定。対象、十二のダンジョン。攻略を推奨します』と言うておったのじゃ)」


「(……え……)」


「(いや、そんなに心配はせんでよいのじゃ。確かに帝国に力を吸われ今の小さな存在にはなっておるがの)」


「(え。いや…そうじゃなくて)」


「(ダンジョンじゃろ?十二あるダンジョンで惑星エリシオンなんぞは帝国領じゃ、なかなか行けるものでもないしの)」


「(いや、え?そうじゃなくてな)」


「(なんじゃ、誰かも分からぬ我の記憶領域の干渉をそんなに心配してくれるのか)」


「(だから!ちがうっつってんだろ!)」


「(にゃっ!)」


「(そもそもお前の記憶領域とか干渉とか今のままで問題あるのかって事!なんか問題あんのかよ)」


「(……あれ?かんがえてみると……ないのじゃ)」


「(そーだろな。逆にお前が急に天才とかになったら引くぞ?超引くぞ?)」


「(そないに引かんでもいいじゃろ!なんじゃ、折角なんか重要そうな話じゃからしてやったと言うに)」


「(そんなの全然重要に感じないですアマテラスさん)」


「(京平が何気にひどいのじゃ)」


「(いやぁ~そんな事だったら昨日俺が見た夢の方が凄いぞ?)」


「(夢の話は結構じゃ!どうせロボとかダンジョンとかドラゴンしか出んのじゃろ!)」


「(お前!エスパーか!)」


「(我は神じゃ!……でもお主の夢、きょ、興味ない事もないぞ?)」


「(……めちゃくちゃロボとダンジョン好きじゃねーか)」


――そんな穏やかな日常の裏で。

俺たちは、この世界の真実へ少しずつ近づいていることを、この時はまだ知らなかった。





本日より第二章スタートです。

相変わらず投稿時間がバラバラではございますが、毎日投稿頑張ります!

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