第17話 エピローグ・終わって始まる
――戦闘が終わり、ソバーシュへと帰還した。
「京ちゃん!」
コクピットから出ると、陽ちゃんが無重力の中を勢いよく飛んでくる。
「危ないって」
そう言って彼女の手を取る。
「絶対ね、絶対来てくれると思ってた」
「お、おう」
俺は彼女の視線から逃げた。
「……どうしたの?」
それは、彼女が助けようとしたスナッピーの姿が頭をよぎったから。
「ごめんな」
「なにが?」
「知らなかったんだ……あの機体にあの人が乗ってたなんて」
「……そっか。うん。私もね、なんで?って考えたんだ」
「……」
「あ、京ちゃんを恨むとかないよ?だって仕方なかったんだもん」
「仕方が、ない?」
「だって泣いたって叫んだって起こったことは変えられないでしょ」
「うん」
「だから泣きながら考えたの。これからは京ちゃんと一緒に、誰も失わないように強くなろうって」
「俺と?」
「あ、今はケンちゃんもいるから三人で!」
――「よっ!チーター」
下から飛んでくるケンちゃん。
「誰がチーターだ誰が」
「いやいや、たぶんお前に面と向かって言う人も少ないだろうから言っとくけど。アレはヤバイから」
「わかってるつーの」
「きょ、京ちゃん?」
「なに?」
「その三人で強くなろうって言ったのはその……あんな力を強くするって意味じゃないからね?心、心の話だよ!?」
「わかってるよ!あんな力そーそーぽんぽん使わないって」
「ん?なんか使用に制限とかあるのか?」
「いや、まぁあるちゃーある」
「あれだけの力だしな。まさか……」
「きょ、京ちゃんの……寿命?」
「いやいやいやいや、寿命は縮まらないから!」
「え、じゃ身長か!」
「お前だったらそれで丁度いいかもな!14歳でデカすぎんだろ」
「ひっでーなぁ」
「京ちゃん言っちゃいけない事があると思うの」
「なんなんだお前らは!」
「「「あははははははっ」」」
――そんな三人を見つめる白銀の司祭。
「なんだ。私の出番は必要なかったか」
「ちょっと寂しかったりしてます?」
「ふん、多少はな。それよりキャロ」
「はい」
「貴様、今回の戦闘中どこに居た。いや、どこに行っていた」
「……」
「あまり母様に関わるな」
「ですが!」
「いや、いいのだ。その行動を私が咎めることは無い。ただ、もう少し。もう少しだけ彼の成長を見届けてやって欲しい」
「私も……私も気持ちは同じですよ」
「だろうな、ありがとう。――じゃ次の話をしようか」
「次、ですか?」
氷上は強襲艇へ視線を向ける。
「あのおじさん達をどうするか決めないと」
「あぁ~たしかに」
そこには騒がしく強襲艇からゾロゾロ降りてくるゼムとその仲間の姿があった。
「よう!司祭!仲間も積んでくれてありがとうな!」
ぶんぶんと大きく手を振るゼム。
「氷上様、あれは氷上様のお連れした方々ですので私の管轄外です」
「おまっ!なんだ仕返しか!ちょっと意地悪っぽく言った仕返しか!」
――――
――
その頃、CICから上がったフェルミナが海賊帽をかぶる。
――ポン
「フェル。今回は大変だったみたいね」
「ほんそれ。ダンジョン調査と試作機のテストだけだって言うからコレ被って楽しもうと思ったのに、ぜんぜんみっちゃんが言ったような楽な仕事じゃなかったわよ、まったく」
「ふふっ、ごめんて。でも本当に良くやってくれた――」
「……はぁ。みっちゃん、言いたい事、あるんでしょ?」
「……」
「軍人としては超強くて優秀なのに人間としてはほんと弱いよね昔っから。戦争でしょ?」
「なっ!」
「いや普通にわかるでしょ」
「……フェルの言うとおりだ。数日後、シュナイダー皇帝の名で理不尽な宣戦布告がなされるとの情報を受けた」
「神の核なんて興味ないと思ってたんだけどねぇ」
「どうやら狙いはそれだけでは無いようだがな」
「ま、どちらにしろシュナイダーも馬鹿だね。あの力を目の当たりにしたら、私なら絶対戦いたくないけど?」
「そうか、お前も見たんだな。私も彼が6歳の時に、その船。まさにその場所から見たよ」
「そうだったわね、私はあの時彼の家族と食堂に居たから見てなかったんだけど。生で見ると半端ないわ」
「そうね、あの力を間違いなくなめてるわね。それより、例のデータ聞かせてもらったわ」
「京平君の戦闘ログだな」
「ええ。彼はコクピットでいったい誰と会話をしていたのかしら……」
「それが分からないから、みっちゃんに送ったんだけど?」
「はぁ……戦争に勇者に神の核にダンジョン。次から次と身体が足りないわ」
「ん?ダンジョン?」
「あ、これは報告がまだだったわね。エリシス王国内のダンジョンからモンスターが溢れてるのよ」
「まぁダンジョンだからモンスターは居るだろって、え?はい?溢れたってなんだ!?」
――ソバーシュ展望デッキ。
そこで俺はベンチに腰掛け宇宙を眺める。
光速の何パーセントって速さだというのに、見える宇宙の景色は大して変わらない。
「(お主、疲れとるが寝なくてよいのか?)」
「(なんか気が立って収まらないんだ。それになんかお前からもそんな気配するけど?)」
「(ふむ、まぁそうじゃな。あの戦闘でお主が力を使ってからなんかおかしいのじゃ)」
「(なんかじゃ分からないけど、なに?)」
「(こーなんと言うかじゃな、心の隙間……ちがうな、スペースが広がったみたいな?妙な感じじゃ)」
「(なんだその圧縮したらストレージに空きが出来ました!みたいなノリ)」
「(それじゃ!まさしくそれじゃ!)」
「(ストレージ、か。それと、俺たちが聞いたあのシステム音とは何か繋がりがあるのかもな)」
「(それもあるじゃろうが……一番ビンビン感じるのはあっちじゃ)」
脳内でアマテラスが船の進行方向を指さす。
――「(ダンジョンじゃ)」
「……あ、あれ?そのセリフ8年前に同じこと言ってなかった?」
「(……そんな昔のことなんぞ忘れたのじゃ)」
ここまでお読み頂きまして有難うございます。
次回第一章の登場人物説明回はありますが、これにて本当に第一章は終わりです。
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それでは第二章でお会いできるのを楽しみにしております。




