彼女との関係
――数日後、今日は日曜日で仕事は休みだったが、昼時になると病院の近くにあるコンビニに車でやって来ると、いつものようにおむすびとパンを買っていた。休日なので彼女がいる保証はどこにもないが、家でジッとしていられなくなり、気付くと自然と公園に足が向いていた。公園に着くと時計の針は13時を回っていた。いつもより1時間近く遅くなってしまったので、時計を気にしながら歩いていると、いつものベンチに先客がいるのが見えてきた。
「こんにちは。誰かをお待ちですか?」
「しっ、真一――」
「私では、ご不満だと思いますが、座ってもいいですか?」
「真一じゃ物足りないけど、仕方ないから座ってもいいわよ」
彼女は気付いていないが、嘘をつく時、鼻の穴が少し膨らむという癖があった。今もそれを気付かずやっていた。
「ありがとうございます。どなたをお待ちですか?」
「真一には関係ないでしょ」
彼女は顔を赤くしてムキになっていた。
「そうかもしれませんが、気になるので仕方ないんですよ」
「気になる? もしかして私にホの字?」
「そうかもしれません」
「―――」
私の意外な言葉に、彼女は只々黙り込んでしまった。
「それより昼食にしませんか? もしかしてお済みですか?」
「まだだけど、私お昼持ってきてないからいいよ」
「大丈夫です。あなたの分も用意してきましたから」
私は買い物袋の中から、おむすびとパンを取り出して彼女に渡した。
「ありがとう」
「塩おむすびと梅干のおむすび好きですよね?」
「まぁね」
「そのパンは今女性に人気のあるパンなんですよ」
3種類のチーズを使って作られた惣菜パンだった。
「私、今このパンにハマってるの」
「それは良かったです」
「もしかして、そのこともわかっていたとか?」
「どうでしょう?」
彼女が毎日食べていたのは、いつも彼女の足元に置いてあったゴミ袋を見ていたからわかっていた。
「真一、あなた一体何者なの?」
「私ですか? 私は佐伯さんと同様に、槇村先生の本の愛読者であり、心理学に魅了された人間の1人ですよ」
「―――。だから私の好きなおむすびを言い当てられたってこと?」
「その通りです」
それから私たちは、他愛のない話をしながら昼食をとった。




