プロローグ:果たして想像できただろうか
1年まえの、俺に聞きたい。
果たして想像できただろうか、自分が家を、出るなどと。
家を出るまえの俺に聞きたい。
果たして想像できただろうか、自分の腕を、食うなどと。
1ヶ月まえの、俺に聞きたい。
果たして想像できただろうか、他人に不幸と、絶望以外を求めるなどと。
1週間まえの、俺に聞きたい。
果たして想像できただろうか、殺した相手に救われるなどと。
6日まえの、俺に聞きたい。
果たして想像できただろうか、刃物を持って殺しあうなどと。
5日まえの、俺に聞きたい。
果たして想像できただろうか、他人と腹から笑い合う日が来るなどと。
4日まえの、俺に聞きたい。
果たして想像できただろうか、恩と情に、腰を上げると。
3日まえの、俺に聞きたい。
果たして想像できただろうか、徒歩3日の旅を完遂すると。
2日まえの、俺に聞きたい。
果たして想像できただろうか、俺が再び回復薬を飲むなどと。
昨日の俺に、聞いてみたい。
果たして想像できただろうか、他人に支配を求めるなどと。
改めて振り返ると、旅立ちの日からはまだひと月半も経ってないんだと思ってしまう。
自由を求めた旅だった。それがまさか、従属を望む日が来るとはな。
「選択する自由のなかで、従属を自らの意志で選んだ」
っていえば、これもまた自由の形になるのかな。




