2話
「藤吉郎よ、して貴様は我らにとって何か出来るのか?」
木下藤吉郎「はっ!まず城下を賑わさせ財を増やさせます!」
松下之綱「財を増やす?我らのか?」
藤吉郎「松下様と共にこの地をも富をもたらします!」
松下之綱『なんだらこの者……試しに拾うか……』
藤吉郎「雑用ばかりでなーんも出来んのう」
同僚「腹減っても飯食えるで、こんままでもええだら、あはは」
藤吉郎「わしは飯食いにこんなとこ来たんでねえて……」
同僚「ほんなら又元のひもじい生き方するか?」
藤吉郎「殿はわしら飼い殺しする気か」
同僚「飼い殺してもなーんもわしらはこんなもんだら、大して働かんとも飯だけはくれる優しい殿だ」
藤吉郎『優しいだけでええんかのう……』
松下之綱「藤吉郎、どうしましたか?」
木下藤吉郎(16)「殿様!まことに勝手ながらこの藤吉郎にお暇下さりませんでしょうか!」
松下之綱「……なぜ?」
藤吉郎「はっ!この藤吉郎まだこの歳にして世の事まともに知りもしませぬ!このまま殿の元におったとて、何の役にも立ちませぬ!」
松下之綱「そのような事はないぞ、そなたはようやっておると聞いておる」
藤吉郎「…………隠しましたる事お詫び申し上げます、じつは故郷の母が病にかかりすぐにも母元へと向かいとう御座りまする!!」
松下之綱「うーん……」
藤吉郎「……」
松下之綱「暇はゆるさぬ、ならば今川家との事、わしの事断ち切りて帰るがよい」
藤吉郎「…………はっ!!」
松下之綱「………………藤吉郎、そなたならばどこであろうとも芽が出ると思う、達者で」
藤吉郎「はっ!!!!有り難きお言葉に御座ります!!」