スキマのあいつ
幻想郷に早めにインしてみた
神子がいなくなり、俺はある意味後ろ盾を失ったといっていい。やはり永遠の命を持った奴がいると目障りだとほかの貴族は思うようになり、前のように自由に過ごせなくなってきていた。蘇我氏に至っては俺が屠自古を殺したとか言ってきた。襲われることもしばしばだったので、都に嫌気がさしてきた。
そんなことを考えながら、今は俺以外にだれも住んでいない神子の家で過ごしていた。
「どうしたもんかな」
俺が独り言をつぶやいていると、視線を感じた。だが人ではないようだ。
「見ているんだろ。出てこいよ」
そういってみると、後ろに口のようなものが開き、女の子が出てきた。
「あら、やっぱりばれちゃったわね」
金髪にこの時代には浮くフリル付のドレスを着た少女が出てきた。彼女がおそらく八雲紫であろう。
「目には見えなかったけど、気配がバレバレだったぞ。それで、一人寂しい俺に何の用かな」
「単刀直入に言うわ。私の理想のために協力しなさい!」
「その理想ってのは幻想郷のことか?」
「わかっているなら話が早いわ。形はできてて、人も妖怪も住んでるんだけど、この前よくわからない神様が結界をめちゃくちゃにしていったのよね。だからその修復と強化をしてほしいの」
たぶんひなただろう。この前言ってたみたいだし、というかそこにはまさか・・
「なあ、そっちに天狗とか鬼とかいるか?」
「いるわよ。というか天狗と鬼が結界の強化に適任とか言って紹介されたのがあなただったのよ」
やはりいるのか。これはいくしかない。
「ならいこう。お前の能力は境界を操る程度の能力だったけか?ならそれで俺も連れてってくれ」
「なんで私の能力まで知ってるのかしら。やっぱりただものじゃなさそうね」
そりゃ未来から来てるからな。紫のことも東方projectにしっかり載ってるし。
彼女の隙間に入って、そこからしばらく移動し、外に開いた口から出ると、そこは田園風景や、町が広がるところだった。
「ここが幻想郷。人間と妖怪が共存する私の箱庭よ」
そんなことはどうでもいい。とにかく文たちがいるなら会いにいかないと。
「待ちなさい、妖怪の山に行く前にさっそく仕事をしてもらうわ」
そうして俺は結界の補修・強化作業を始めるのだった。
「うわあ、これはひどい」
「でしょ、だいぶ強い神様だったけど、破られなかっただけましだわ」
俺の知ってる紫はもっと成長していた。子供の時からこれとか怖すぎる。
「とにかく補修するぞ」
紫と俺で手分けして作業をしていく。直すのは簡単なのだがこの結界をこれ以上固くするとなると、時間がかかりそうだ。
「そういえば、あなたってほかの程度の能力を使えるんでしょ」
「そうだけど、別に無条件に使えるわけじゃないぞ」
「知ってるわ、相手とキスをするんでしょ。なら私のも欲しいんじゃないの?」
境界を操る能力は確かに必要かもしれない。俺の瞬間移動は、同じ世界での移動だけど、紫なら、その壁を越えられる。
「必要かもな。でもそんな理由でお前とキスしたくない。それに俺は幼女好きじゃないしな」
俺の言葉に紫はぷくーっ、と顔を膨らませて、
「いじわるっ!」
と言ってそっぽ向いてしまった。これはまずいかもな。フォローしないと。
「べ、べつにお前のことが嫌いなわけじゃないぞ。ただ今日会ったばかりだし、子供だし、もっと成長してからなら」
紫は急に機嫌を直して、
「そうよね。わたしのことを嫌いになる殿方なんていないわよね」
紫とはいえ、子供の姿だとなんか気取っているようで、それがまたかわいい。
「とか言ってるけど、もうこっちの結界はできたぞ。そっちもやってやろうか?」
「い、いいわよこのくらい。自分でやるわ」
と強がる紫であったが、その後約4時間、結界の強化に悪戦苦闘することになるのだった。
パソコン親にとられそう。まあ、スマホがあるから、小説は書きますけど。




