↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
19/22

第19話 ボスとの対面

 生きるために仕方なく魔鬼王に従い、空を飛ぶ魔女として登場したエレンは、ルウ達との戦闘後に改心した。

 そして病気の両親と一緒にビダの町にやってきた彼女は、現地に住むことを許可してもらえた。

「本当にありがとうございます。これからはみなさんのために頑張ります。」

 エレンはこれまでのことに関する自責の念を抱えながらも、自分と両親を救ってくれたことに心から感謝をした。

マドリガル「どうか、ここで幸せに過ごしてくださいね。」

「はい。きっと両親ともども幸せに暮らします。それから、お礼にこれを持っていってください。」

求司「これはどういうアイテムですか?」

「魔法のお守りと言います。これがあれば、相手が放つ魔法の威力を大幅に弱めることが出来ます。」

安奈「それは本当に役に立ちそうね。」

「はい。きっと役に立つはずです。」

「では、ありがたくいただいていきます。」

 アリアは両手を伸ばし、そのアイテムを受け取った。

 そしてエレンに感謝をした後、5人はマドリガルのテレポートで移動をしていった。


 一行が降り立った場所では、カブキがその場にバタリと倒れていた。

「一体どうしたんですか?何があったんですか?」

「これはすぐに体力を回復される必要があるわね。」

 ルウは即座に回復魔法を繰り返し使い、マドリガルは回復アイテムを使った。

 その甲斐あって彼の体は徐々に回復し、会話が成立するようになった。

 カブキの話によると、彼はアリアと同様に敵に捕まって装備を没収され、牢屋に連行をされてしまった。

 そこでは食事も与えてもらえなかったために徐々に体が衰弱していった。

(もはやここまでなのか…。ここで力尽きてしまうのか…。)

 絶望のような雰囲気が漂う中、ふとある敵が彼の処遇を伝えにきた。

 そして拷問部屋に連れていくために牢屋の扉を開けた時、最後の力を振り絞るようにして催眠術をかけた。

 結果は見事に成功し、彼は何とかアジトから抜け出したものの、体力が限界でその場に倒れ込んでしまったということだった。

「そう。あんたも大変だったのね。」

「はい。でもお互い無事で良かったです。」

 アリアは自身も捕まりながら脱走をしてきただけに、心からほっとしていた。

「でも、その体では到底戦闘には耐えられない。しばらく休んでいてください。」

「ルウさん…、そんな…。私も一緒に…。」

「心配いりません。マドリガルが戻ってきてくれましたし、新たな仲間もいます。きっと僕達で何とかします。」

 彼はそう言うと、求司と安奈を紹介した。

 そして求司はバンビーノを上回る攻撃力の持ち主であることや、安奈が空を飛べる上に杖で魔法が使えることを伝えた。

「後のことは僕達に任せてください。」

「私達が仲間を助け出してみせます。」

 2人は緊張をしながらも、胸を張って言い切った。


 カブキをビダの町に連れていって治療をお願いした後、4人は再び目的の場所である敵のアジトへと足を踏み入れた。

 入ってすぐの場所にはカブキを逃がしてしまったために魔鬼王の逆鱗に触れ、彼を連れ戻すように命令された敵がいた。

 相手はいかにも力の強そうな者もいれば、魔法が得意な者、そして回復や補助に特化した者がいた。

(見た感じ、いかにも強そうだ。まともに戦ったら相当なダメージを覚悟することになるだろう。何とか仲間を守らなければ。)

 ルウが何かいいアイデアが無いか考えていると、安奈はスマートフォンを取り出して構えた。

 そして彼女はあらかじめ録画しておいたQZXのリハーサルシーンを大音量で流した。

「な、何だこれは!」

「どういう作戦だ!」

「もしかして援軍か?」

「敵は大勢の様ね。」

 意表を突くやり方に敵は一斉に驚き、思わずすくんでしまった。

 それはルウとアリアも同じで、彼らも驚くばかりだったが、冷静だったマドリガルは間髪入れずにハイパーボム唱えて敵全員に大ダメージを与え、求司は自身もスマートフォンを取り出した。

 そして動画を再生すると、「2番、レフト、野星君。」というアナウンスに続いて高校球児だった頃の求司が左バッターボックスに入る映像が流れ、さらにブラスバンドによる彼の応援歌が流れ出した。


『走れ 走れ 野星求司 風よりも速く

 君なら きっと出来る ここで打ってくれ

 勝利を つかみ取れ

 走れ 走れ 野星求司 誰よりも速く

 どんな時も 前を向いていこうぜ

 未来を つかみ取れ


 ララララ…

 ララララ… 求司!』


 それを聞いた彼は気持ちの面で俄然弾みがつき、攻撃力や守備力がさらに上昇した。

「間違いない!敵は強いぞ!

「それに絶対、大勢いるわね!」

 相手が動揺している中で、マドリガルはどさくさにまぎれてスティールの魔法を唱え、MPを奪い取った。

「これは一旦撤退しましょう。」

 敵の一味はとうとう気持ちが折れてしまい、一目散に撤退をしていった。

「君達、本当にやるじゃないか!」

「まいったよ。援軍を呼べるなんて。」

 アリアとルウは3人に頭が上がらなかった。


 その後も一行は敵に出くわして戦闘になったため、ルウ達は状況に合わせてメンバー4人をチョイスした。

 求司とアリアは主に敵の武器や防具、さらにはアイテムを叩き落とし、有利な状況を作り出した。

 そして敵の落としたアイテムの中にはトレイのような盾に加えて泡を発生させるものがあったため、求司はそれらを使って相手の顔を泡まみれにして、隙だらけの状態にした。

「何ですか?その攻撃は。」

「これはプロ野球のヒーローインタビューの時に…。まあ、いいか。」

 求司はアリアの質問に答えようとしたが、所詮彼女には理解出来ないことだったため、説明をやめてしまった。

 ルウは複数回攻撃を多用して単体攻撃の時には誰よりもたくさんのダメージを叩き出し、マドリガルはこまめにMPを補充しながらハイパーボムやフレイメストを使い、2人とも攻撃役として申し分ない働きをした。

 安奈は宙を舞いながらフレイマーやハイボムの魔法で攻撃をした。

 彼女はダメージを受けにくい代わりにマドリガルよりも火力が低いため、控えにまわることが多かったが、その時には移動中の回復役を担当した。


 城の奥深くまでやって来ると、そこには全身黒ずくめの鎧を身にまとい、不気味な顔をしている図体の大きい男がいた。

「勇者ルウよ。よくぞここまで来れたな。私は魔鬼王。いずれこの世界を支配する者だ。」

 魔鬼王と名乗ったモンスターはその姿だけでなく、しゃべり方だけでもその威厳を感じさせていた。

(こいつ、確かゲーム越しに見たことはある。その時でも手強い相手だったけれど、いざ直接見るとものすごい迫力だ。)

 求司は思わず圧倒されそうになりながらも、負けじとにらみ返した。

 一方、初めてその姿を見る他の4人はすでに圧倒されていた。

「さあ、ルウよ。お前の身に付けている武器と防具をこちらに差し出せ。そして私にひざまずけ。降参しろ!そうすれば命はとらんし、仲間にしてやる。どうかね?」

 魔鬼王はすぐに戦おうとはせず、意外にもルウに取引きを持ち掛けてきた。

「そんなのには乗らないぞ。これまで世界を混乱させてきた張本人の仲間になど、誰がなるものか!」

 彼は恐ろしいまでの緊張感を感じながらも、きっぱりと断った。

「分かった。なら、良かろう。こいつらと戦わせてやる。」

マドリガル「一体誰と戦うの?」

「こいつらだ。さあ、出て来い。」

 魔鬼王が指示を出すと、手下達が2人の男性を連れてやってきた。

アリア「ま、まさか。彼らは!」

 その2人は何と捕まっていたはずのバンビーノとカノンだった。

 彼らが無事に生きていたことは喜ばしいことだったが、その目つきは明らかにおかしかった、。

「どうやら、洗脳されているようだな。」

「これはゲームによくありがちな展開ね。」

 求司と安奈はこれまで話には聞いていたものの、実際にそのような展開を目の当たりにするのは初めてだった。

「さあ、これでは手が出せまい。もう一度言うぞ。お前達、降参しろ!」

 魔鬼王は最後通告とばかりに、今度は全員に問いかけてきた。

 しかし、誰一人それに同意する人はいなかった。

「そうか。ならば、無様にやられるがよい。ものども、かかれ!」

「かしこまりました。」

「おおせのままに。」

 バンビーノとカノンは素直に魔鬼王に従い、戦闘態勢に入った。

(過去にあたしを冷遇してきたとはいえ、まさか相手をすることになるなんて。でも、こうなった以上、勝つしかないわね。少し痛いとは思うけれど、何とか我慢して!)

 マドリガルは運命のいたずらのようなものを感じながらも覚悟を決めた。


 なお、これまではゲームのシステムに従って、戦闘に参加するメンバーは4人までだったが、今回は特別に5人が全員参加することになった。

 果たして勝てるのだろうか。

 そしてバンビーノとカノンの運命は…。


 今回出てきた求司の応援歌ですが、これはPCエンジンのゲームソフト「スーパースターソルジャー」のステージ4のBGM「SPACE BYWAY」に歌詞をつけたものです。

 前半の歌詞の部分は手拍子をしながら歌い、後半の「ララララ…」の部分はジャンプをしているシーンをイメージしています。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。