第883話 キツツキ戦法
柳生宗矩が出してきた戦術は単純だった。
キツツキ戦法。
武田信玄と上杉謙信の川中島の戦いの中で一番大きな戦いとなった戦いで、武田信玄の軍師、山本勘助が上杉謙信軍を動かすのに使ったとされる戦術。
柳生宗矩が率いる潜水艦隊でケルチ占領を目的に見せかけ、艦隊は黒海の中心で待機、上から敵の艦隊が動き出すのを見張り、海上に出たところで爆撃。
そして、戦艦艦隊と潜水艦艦隊で挟み撃ちで一気に砲撃を加えるという、数と技術の差で圧倒的に勝つと言うものだ。
敵の突撃潜水艦に数隻の小型艦はやられたものの大きな被害は出ず、主力艦隊が消えると海は静かに戻っていた。
「常陸、戦艦や潜水艦を作り出したときに戦いが変わったが、この飛行機の登場で戦い方がさらに変わったな」
と、織田信長が敵の船の藻屑を見て言っていた。
「えぇ、未来でも、戦艦は飛行機に弱いものだと見せつけてしまう戦いを日本が行いましたから。逆に、それが自分たちの首を絞める結果になりましたけどね」
大日本帝国が行った、アメリカのハワイの真珠湾攻撃。
これは戦艦対戦艦の戦いを一変させてしまうという結果になる。
その為、物量で圧倒的有利だったアメリカの、空母と飛行機の大量生産により日本は大敗した。
だが、今なら飛行機はうちにしかなく、早々に真似されることはない。
今だからこそ、そして、俺だからこそ出来る戦いだ。
「前田様から電信、西の砦も砲撃で陥落とのこと」
「よし、わかった。前田慶次にはそのまま西の砦を占領せよと。そして、俺が渡した太刀を地に刺せと指示せよ。確か、あの太刀を石田三成から貰った島左近も乗船中のはず。北に移動して太刀を地に刺せと指示を。同じく、ケルチを占領した柳生宗矩にも、俺が渡した太刀を地に刺せと指示を」
「はっ、言われたとおりに電信いたします」
謎の指示でも疑問を抱かないのが、うちの家臣の良いところだ。
「ねぇねぇ、マコ~私はこの南の岬にマコがくれた刀刺せば良いんだよね?」
「あぁ、お江頼んだぞ」
と、お江にも頼むと、お初は
「私は良いの?」
と、聞いてきた。
「お初も頼む」
と、地図を指し示し頼んだ。




