第345話 帰国
1592年10月3日
大坂城港に入港するが俺は補給だけをし、急ぎ常陸国鹿島港を目指した。
半年でオーストラリア大陸を日本にする初手を打った俺は次の準備を開始しなければならない。
そのために急ぐと言うか、それだけでなく船に乗せてきた動物が限界にきている。
狭い船内に閉じこめられたストレス。
オジサンみたいな動物は寝転がってばかりはいない。
跳ね暴れてる。
「なぁ、お初、無理に連れてこなくても良かっただろ?カンガルー5匹にウォンバット7匹も」
「姉上様達にも見せたいじゃないですか、本当はコアラを連れてきたかったのに、食べ物があの木の葉しか食べないって偏食過ぎて」
コアラは数種類あるユーカリの葉しか食べない。
確かに偏食過ぎる生き物だ。
「私は捌いて食べたほうが」
と、桜子が言う。
「うん、食べるのは弱ってからにしような」
今回、カンガルーとウォンバットと陸ガメがお土産だ。
一応ペットの予定、食料の予定ではない。
鹿島港を出発したときは三隻だったが一隻のみの帰還。
沈没したわけではなく、一隻はオーストラリア大陸西側に行った柳生宗矩、一隻はケアンズ城留守居役に任命した佐々木小次郎に任せてある。
他には信長直轄艦隊がその下に付いて残っている。
もし俺が不在時に南蛮の国の船が来たとしても一戦は交えることは出来るだろう。
織田信長も大坂城港で造らせている船を急がせて俺に配備してくれると言っている。
次の出航に合わせていろいろ準備をしなければならない。
アボリジニと約束してある常陸萌陶器、伊達政宗への同行命令、丸太からちゃんとした城にするための建築資材、大工の手配、ケアンズ城に補充する武器弾薬、などなど大仕事だ。
そんなことのメモを取りながら進む船は3日後、無事に鹿島港に帰還した。




