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はじめて好きになった相手に告白したらその他大勢に笑われた。

 ん~このままだと、俺の希望が叶えられないまま城から出ていくことになりそうだ。でもさ、異世界に呼び出された上に何の褒美もないのに願いを聞くって嫌だし。でもリンクが困っているから助けてあげたい気はあるし、半目メイドと接点を無くしたくはない。友人の話や漫画から得た知識だが、恋をすると身体が熱くなるらしいので、おそらくこれが俺の初恋なんだろう。しゃーない、ちょっと攻め方を変えてみるか。


 「では、今から俺の希望を言っていくので、それらを叶えて下さるなら喜んで勇者を助ける依頼を受けますが、どうでしょうか。」

 「そうだね。さっきはああ言ったがこのままでは君が城から去る確率が高すぎる。それはこちらとしても有益ではない。召喚儀式も万能ではないんだから。で、どんな褒美が欲しいんだい?簡単に叶えられる内容で勇者を助けてくれるなら願ったり叶ったりなんだけど。」

 「では、勇者を助けた後、現在空き家となっている家を住居として欲しいです。問題ないなら後で現物を見て選んでも宜しいでしょうか。それと、この服では目立ってしまうのでこちらの世界の服を用意していただきたい。あと、その、何分、この世界のことを何も知らないので。出来ればで良いんですが、身の回りの、お、お世話をしてくれるメイドを一人で良いので、俺専属として欲しくt」

 「はいはいはい、大丈夫、大丈夫だから。くくっ、なるほどなるほど。君はこの世界で暮らして行きたいんだね。うん、問題ないよ、君の希望通りのモノ全てを用意しようじゃないか。それで?メイドに関しては希望はあるかい?可愛い系、美人系、料理上手、床上手、寡黙、喋り好き、若年、熟年といった具合に。さすがに複数の良い所が揃ったメイドは用意できないかもしれないけどね。」

 「あ、ありがとうございます。今日会ったばかりの俺の『希望通りのモノ全てを用意』してくれるなんて懐が広く器も大きい!さすが王族、さすがこの国で最も偉いお方だ!!」


 国王、超笑顔だな~。今まで俺が言った願いなんてそりゃ簡単に実現できるだろう。でも、超笑顔なのはメイドを欲しいと言ったからだろう。若い男性がメイドを欲しいと頼むということは、日々のお世話をしてほしいという理由よりも、メイドと身体の関係を持ちたいという理由が一番だろう。俺がメイドを欲する理由もそうだと判断したから国王はどんなメイドを希望するかの中に『床上手』を入れてきたんだろう。

 ざ~んね~んでした~。お前にそう思わせる様にメイドに関しての希望の部分では言い方を変えたんだよ。女性に慣れていなさそうな奴が、言い辛そうに照れながらキモく喋りながらメイドを欲しいと言ったら、ねぇ。・・・まあ、その所為で女性たちの俺に対する死線が現在進行形で辛いけどね。ゴミや虫を見るような目で俺を見ているこの場にいる女性たち。国王である男性が分かったんだから話の対象になった女性、特にメイドたちが分からないはずがないな。だが、リンク、お前までそんな風に俺を見るな!俺だってお前寄りの感性の持ち主だよ。メイドを性の捌け口にする奴なんて死んじゃえばいいのにって思っているよ!!俺じゃなくてお前が引いてんじゃないか、くそっ!!

 まあいい。後で誤解だと説明すればいいだけの話だ。そんなことよりも俺の思惑通りに進んでいるのが気分いいな。こいつは自分の失敗に気づいていないんだろう。俺が褒美として欲しいものを一つずつ発言している最中に話の腰を折っていることに。


 「俺の希望するメイドですが、クリーム色の髪のメイドを希望します。彼女を俺専属のメイドとして雇用条件を変更してください。」

 「・・・そのメイドを希望する理由を聞いてもいいかな?」

 「一言で言えば一目惚れです。俺は今まで誰かを好きになったことがないから、この気持ちが本当に人を好きなったときの気持ちかは分かりません。でも、この気持ちが恋ではなくとも、彼女の傍にいたい、彼女と話したい、彼女と仲良くなりたいという想いは俺の本心です。それが、彼女を希望する理由です。」


 告白までしたのに、違うメイドにしろと言われたら先程まで言った褒美はどうでもよくなるんだよな。二人で暮らす家が欲しいってだけなんだし。ま、そうなったらそうなったで、そのメイドに家事をしてもらって、彼女の仕事の邪魔をしない様に仲良くなる為に城に来るかな。

 ん?なんだろう。俺の発言後から誰も喋らなくなってしまったぞ。それに誰もがハトが豆鉄砲を食らったような顔をして俺と半目メイドを交互に見ている・・・。と思いきや、あちこちから小さな笑い声?みたいのが聞こえてきた。


 「・・・っふ、あは、あははははははははは」

 「はははははははっ、ははっ、はははははっは」

 「あはははっははははははっはははhっははははっ」

 「あはははははははははっはーはー。・・・っぷ、あはははははは」

 「・・・」

 

 ・・・俺の言葉に対して笑っているのか?今、何か変なこと言ったか?メイドを希望する理由として『一目惚れ』発言とか愛の告白はちょっとおかしいかもしれない。でも仕方ないじゃないか。それが彼女を希望する理由なんだから。半目メイドは自分の話なのに無表情のままだけど溜息を付き、姫さんとリンクは笑っていないけど俺と目を合わせない様に下を向いている。つか、いくらなんでも笑いすぎだろ他の奴ら。そろそろ止めないと喧嘩したことない俺でもぶん殴るぞ。


 「っはぁー。笑った笑った。他人がいる前でこんなに笑うなんていつぶりだろう。ねぇ女王。」

 「・・・っふ、ふー。そうですね。すみません、いくら知らない事とはいえ貴方がおかしなことを仰ったので笑いを我慢できませんでした。」

 「そうだね、無知は罪ってもんだよ。タカヒロ君、だったよね?君が専属メイドにしたいと希望するメイド、性はなく名をサイファー言う。仕事面では問題ないから雇っているんだが、君が望むメイドとしては欠陥品だけど本当にいいのかね?」


 欠陥品?おやおや、人に対して使う言葉ではないと知らないのかね。王族でも言葉はきちんと使わないといい大人にはなれないよ。おそらく欠点とか弱点とかそういう意味を表現したかったんだろう。

 しかし、サイファーってのは女性の名前としては適切じゃないと思うんだけど。もしかしたら『生まれる子はどちらにしろサイファーと名付ける。強い子になるぞ~』というバカ親だったのかもしれないな。昨今はキラキラネームを付ける親もいるし、名前で性別を判断してはいけないな。




 「ん~ピンと来てなさそうだからもう少し判断材料を与えようじゃないか。君が求めるメイドはね、メイド服を着ているけど男だよ。正確に言うと身体は男性だけど精神は女性なんだよ。」


ヒロインの設定が合わないという方がいましたら、すみません。読んでくださってありがとうございます。


設定を変えるつもりはありませんのでご了承ください。


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