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会えなかった日数分いちゃいちゃしたいが止められた

よろしくです。

 「おかえりなさい。タカヒロさん」


 その彼女の言葉を聞けて、やはり俺は彼女が好きなのだ、と確信した。漫画やドラマでも言っていたが「会えない時間が二人の想いを強くする」というのは正しかったようだ。

 会いたかった。すごく会いたかった。城を出てから一週間以上会えなかったんだ。これはあれだよね、嬉しさのあまり抱きついてもいいよねっと思い、再び『ただいま~』と言いながらサファイアに抱きつこうとした。


 が。もうホント、抱きつく寸前であることに気付いた。

 それは、俺はこの一週間ほどのお出かけの中で風呂に入っていないことをだ。

 こんな汚れた服を着て汗まみれの臭いまみれの身体で綺麗なサファイアを汚していいだろうか。そんなの誰に聞くまでもない。誰かが『問題なくね?』と言ったとしても俺は同意できない。


 抱きつくのを止めた俺を見てサファイア(と視界に入った姫さん)が首をかしげている。そんな可愛い仕草をすると理性が砕けてしまうじゃないか。

 欲望を無理矢理押し込め姿勢を正してサファイアに風呂に入れるか聞いてみよう。


「た、ただいまサファイアと姫さん。積もる話もあるんだけど先に風呂に入ることってできる?こんな汚れたままでいたくないもんでさ」


 抱きつかなかった理由を今の言葉から察したのか、姫さんが笑顔を浮かべながら風呂の準備は出来ていますと答えた。いや、俺はサファイアの笑顔を見たいんだけどな~とサファイアを見るが、何で自分を見たのかわからないようでまたもや首を傾げていた。え、なに?襲ってほしいの?


「ところでタカヒロ様。足元で潰れている方はどなたですか?というか人、ですか?」

「ん?ああ、ザイルか。こいつは俺の部屋にでも運んでおいてくれ。鳥籠みたいなのに入れて逃げないように鍵かけてくれるとありがたいな」

「そんなペットみたいな・・・」

「こいつの事は気にしないでくれ。後からリンクたちも来るだろうから風呂に行ったと伝えておいてくれ。どうせあいつらも風呂で旅の疲れを取りたいだろうし」


 姫さんの言葉に軽く返事をし、ついでにリンクたちへの伝言も頼んだので汚れ落としの為に浴室へGO!!






 いや~無駄に広かった。召喚された日は入らなかったからこの世界に来て初めての風呂だったが、さすが王族が使っている風呂場だな。教室3個分ぐらいの広さで30人ほど一気に入っても余裕がある様な湯船だけでなく泡風呂や水風呂と様々あった。おそらく兵士や騎士とかが同時に入っても問題ないような造りにしているんだろうな。


 ・・・一応サファイアも男性ではあるんだから合法的に一緒に風呂に入れやしないだろうか・・・?

 いや、だめだ。身体的には男性でも精神的には女性だし、入れたとしても俺自身がその状況に耐えられず風呂に入る前にのぼせてしまうだろう。

 そういうのはね、おいおいってことで。


 ・・・ん?なにやら前方から赤い顔をしたリンクが迫ってきたぞ。何かやらかしただろうか?


「てめぇ。何一人だけ旅の疲れを取るために風呂に入ってんだ!!こういう時は無事帰還したことをすぐさま上に報告するのが常識だろうが」

「いや、旅から帰ってきたときのマニュアルなんて知らないよ。というか言葉遣い荒くね?」

「お前にはこんなもんで十分だろ。ほらさっさと帰還報告に行くぞ。お前がいないから勇者たちも国王様に会いに行けてないんだから」


 めんどくさいから行きたくないという表情を浮かべたのを見られてしまい、襟首を掴まれズルズルと無理矢理連れてかれた。ちょ、お前汚れた手でピカピカになった俺に触るなよ。


 まあ、無事に帰ってきたことを伝えるのは大事よ。でも、サファイアに帰還報告するのはいいけど、他のやつらに知らせるとかどうでもいいわ。勇者を助けたことで俺の役目は終わったんだから、俺だけ放っといて勇者たちだけで終わらせればいいものを。

 あ、じゃあ勇者たちが報告しているときにサファイアとイチャイチャしてればいいのか。リンクとしては体裁として俺がいた方が良いだけだろう。国王や宰相とかは俺の顔なんて見たくない、俺の声なんて聴きたくないと思ってるはずだ。

 サファイアもいるのかと聞いてみたら、城で働いている奴らも全員揃わせるんだそうな。

 よし!まずはさっき出来なかったハグからだな。そして撫でて~撫でて~撫でて~・・・






「国王陛下。勇者イーリアスただ今帰還いたしました。私を助けるために召喚の儀式を行いタカヒロを送り出していただいた事、誠にありがとうございます」

「イーリアスよ。よくぞ無事に帰ってきた。そなたが五体満足であるなら何も問題ない。儀式のことも私よりもミラテリアが率先して行っていたのだ。礼を言うならミラテリアに言ってくれ」

「そうだったのか。ありがとうな、ミラ」

「そ、そんな。私は妹としてお兄様をお助けしたい一心で・・・」

「それでもだ。お前のその行動のおかげで私は無事に帰って来れたのだからな。何かしてほしいことがあったら今まで以上に言ってくれて構わないからな。」

「(今まで以上・・・!ということはもしかしたら一緒にお風呂とか一緒のベッドで寝るとかいやむしろいっそ・・・)」

「ミラ?ぶつぶつとどうかしたのか?」

「あ、いえなんでもありません。では何か考えておきますのでその時はお願いいたしますね」

「もちろんだ。私にできることならできる限り行おう」

「イーリアスに関してはここまでだ。リンクとユリウスよ。お前たちにも感謝を述べよう。お前たちがいなかったらどうなっていたか分からなかったのだからな」

「国王陛下。お言葉ありがとうございます。私としては当然のことをしたまでっと言いたいところですが、私は何もしていません。私が行ったことはタカヒロを勇者の所まで連れて行っただけです」

「そうですよ国王様。リンクや俺はただリアスに付いていっただけですよ。一番の功労者はタカヒロです」

「ユリウスの言う通りです国王陛下。タカヒロにひと声かけていただけませんか?」

「そうだな。タカヒロ君。君のおかげで・・・」


 この大広間に来てからサファイアの頭をなでるのに夢中になっていたが、今まで何も発言しなかったサファイアが『タカヒロさん、周りを見てください』と声をかけてきたのでサファイアから目を離してみると、俺の近くにいたはずの三人が数歩離れたところでこちらぽかーんと見ており、遠くでは口を開いたままの国王が立ち尽くしていた。皆なにしてんだか。

 どうでもいいけど、また椅子の上にウサギが寝ているのはあそこが定位置なのか?

 あ、先ほど同様怒り顔になったリンクが向かってきた。杖男はニヤニヤしてて勇者はなんかぶすっとした表情だ。


「おいタカヒロ。今までの話聞いてたか?つかいつまで撫でてる気だ」

「ん?勇者が『国王陛下』って言ってたのは聞いたな。いつまでだって?サファイアと時間の許す限りだな」


 俺の言葉を聞いた直後、腕の中にいたサファイアを無理矢理引っぺがし俺の頭を叩いたと思ったら胸倉を掴んで立たされた。

 こいつ何サファイアの許可無く触ってんだ。え、なんでサファイアがリンクにお礼言ってんの?あ、スキンシップ長すぎた?ごめんなさい。


 大広間に来たときと同じ様に引きずられたまま勇者たちの横に並ばされた俺を国王が確認後俺に向かって口を開いた。

 勇者近い。めっちゃ近い。なに、おしくらまんじゅうでもするの?


「コホン、そろそろいいかね。それではタカヒロ君。君にも感謝の言葉をあげよう」

「いえいえそんな、お気持ちすら結構です。以前俺が伝えた褒美をもらえればこれ以上貰いたいモノなどありませんので。ですので部屋に帰っていいですか?」


 ったく。さっきまで俺に何の反応も欲しなかったんだからそのまま終わらせればいいものを。

 互いに話したいことなんてないんだから。

 あ、そうだ。ついでだしあれについて一応聞いておくか。


「そういえば、俺たちが住む家ってどうなりました、宰相殿。良いのありましたかね~?」

「キサマその態度は何だ!それに今は国王様が話している最中だというのに、そんなことはどうでもいいだろう」

「いや、俺としては国王との話し合いよりも大事なことよ?だってこれから住む家なんだから。宰相殿だってもし今の家で住むことができなくなった場合、仕事とかよりも新居の方で頭いっぱいになるでしょ?衣食住で一番大事なのは『住』だと思うわけよ。言うまでもなく『衣食』も大事よ。でも、リラックスできる場所がないと人はダメになるんだから」


 悔しい顔をしながら国王に顔を向ける宰相。このまま話を進めていいか伺いを立てているんだろうけど、止めようとしても俺が他の話をする気ないからとまらないけどね。

 ホントにやばそうならリンクが俺の口を塞ぎに来るだろうし、

 あ、国王が顎で俺の方を指してるから続けてくれるのかな。


「そのことはキサマ専属メイドに資料を渡している。後はキサマらでなんとかしろ」

「おーまじか。よしじゃあ帰還報告やお礼話も終わったことだし。さ、サファイア。俺の部屋に行っていちゃこらしながらお話ししよう。迷宮でのことや今後のことに関してとか」


 まだ話があるのか知らないけど、俺がしたいことが出来たのでこの場の空気をぶっ壊し部屋に戻ろうとした。けれど


「・・・ちょっと待ってくれ。それには私も同行しても良いだろうか。というか付いていくからな。今後の私のことも話したいし先程タカヒロが言った『俺たちの住む家』ってのに興味があるのでね」


 と勇者が俺の動きを止めながら言ってきた。え~なに、まだなんかしないといけないの?俺の役割ってあのスピリットから助けるってことだけのはずなんだけど・・・

 つか、なんで腕とか襟首とかじゃなくて上着の端を掴むんだろう。そういうのは小さい子供やかわいい子がやってなんぼよ?いくら美少年(美青年?)でもそれは効力なしだと思うんだけど。


 俺、仕事した。つまり役割なし。ということはサファイアとイチャイチャ出来る。よし(自己完結)

 

何話か作ってから一気に投稿した方が良いのだろうか・・・。

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