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25.違和感

バイデルはゆっくりと俺たちの前に降りて来て、全員を見回す。

妙に俺の時だけ長く見ているような気がしたが、実際に長く見ていたのか、それともバイデルの圧で長く見ていると錯覚してしまったかは分からないが。

バイデルが口を開く。


「そう身構えるな、お前たちを害するつもりはない、とは言っても信用などされんな。

まぁいい、今日はちょっとした様子見のようなものだ。

面白いものも見れたからな、今日は帰るとしよう。

ではな。」


そう言ってバイデルは飛び上がり何処かへ消えていった。


その後先生達が生徒達を探しに行ったり、バイデルの圧で暴れた魔物を狩ったりしていった。


その間俺は思考を回す。


バイデルは復讐をするために生きているようなもの。

だが鍛えているうちに自分たちを滅ぼした国は無くなり別の国々となっているため無差別に国々を襲うはずだった。

それに最初はバイデルではなくその配下が色々していたはずだ、様子見などバイデルは絶対にしなかった。


俺という異物がいるのだからゲーム本編と全く同じではないばすというのは理解していたがここまでズレると先の予測が全くできない。


ひとつ、この世界はゲームと似てはいるが、全く違うような未来を辿る世界の可能性も考えたことがある。

スキルだったりもゲーム本編とは少し違うしレベルも分からないからだ。

だが似すぎている。

あくまでその可能性があることを頭の隅に置いておくことに決めたのだ。

既にこの世界はゲームではなく皆生きていて、死んでも復活なんてできないことは理解している。

だからゲームとの違いをよりはっきりさせたかった今回のイベントは俺にとっては大事ではあった、俺達が前に襲われたことでズレてしまった部分はあるが。

さらにはバイデルまで出てきた。

もう意味が分からなくなってしまった。

ゲームでは国々が襲われて人死は出るし、難民、野盗は増える。

それが起きてしまうのは仕方ないと思っている。

俺にはそれを止める術も力もないし、先んじて動こうにも、理由がない。

その後の難民の受け入れや、野盗達の確保への支援やら協力やらはできるが。


それにバイデルは人共のことが大嫌いだ。


人共を、どう考えても上流階級の俺たちを見て襲わなかったこと、話をしてきたことも、よく分からない。

バイデルは人の、特に上流階級のものが大嫌いだ。

過去に攻め込んだ奴らだけでなく、何もしていない自分たちや家族友人を皆殺しにすることに決めた奴らが憎くてしょうがないからだ。


なのに襲われなかった。


これ以上考えても意味がないだろうと思考を切り替える。

そうすると、


「随分と長く考えていたね、珍いこともあるものだ。

それで、何をかんがえていたんだい?」


とユリウスが話しかけてくる。


「あぁ、まぁ、色々な。

あいつが何者なのかとか、何をしようとしているのかとか、様子見だと言っていたのだが、何を見ていたのかとか、今後何をするつもりなのかとか、色々。

まぁ考えても分かるわけないのは分かってはいるんだがな。

癖みたいなもんだ。」


「なるほどね、まぁ私も考えはしたが、意味はないのでやめた。

それに圧は凄かったが、理性的だったし敵意も感じなかった。

だからそうすぐに問題が起こるとは思わないかな。」


「なるほどな。」


その後はすぐに学園に帰り、解散となった。


疲れはあったが頭がモヤモヤするのでしばらく走ってから寮に戻った。


シャワーを浴び飯を食い眠る。


何も分からないし、不安はあるが明日は来る。

正直何か起こったらそれに対応するしかないのだ、何が起こるか多少予測が出来れば準備ができるが、今は無理だ。

なので何が起きても対応できるくらい強くなっておく必要がある。シンプルだ。


俺はより強くなると決め眠りについた。


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