↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/52

焼肉

前話

オーセの独白

 明け方前から忙しく動いたため、昼過ぎまでは休憩することになった。

 大木を利用した家を一つ準備してもらい、中で先ほどのことについて小声で話をする。


「あんなこと言わなくても、普通に助けてあげればいいだろう。そもそもセフの子供が亡くなったのが四日前らしいが、俺らはとっくにこっちに来てたぞ」


「その程度は嘘とは言わんわい。ドラマチック演出じゃよ」


 那須じいの顔はまたもゲスじいモードになっている。


「あら、私は本当にあのように思ってます」

「ハヤト君があの人たちを見捨てるわけないんだから、それなら感動してもらうほうがいいと思うなあ」

「ハヤト君がリーダーになるのが一番にょろ」

「ピピは木に住めて嬉しいっピー!」


 見過ごせない気持ちは皆も同じようだ。


「なぁに、脳筋どもは使いようじゃよ。連中にとってもWIN-WINじゃ。いい加減、逃亡生活じゃなくてハーレムに向けて活動したいぞい」


 那須じいが映画でも見られないような悪い顔で笑っていた。


「あの話を聞いた後でそんなことを言えるじじいは、芯から下衆(げす)だと思うにゃ」


「「「それは間違いない」」ですね」


 夜が明ける前から頑張りすぎていたせいか、非常に眠い。昼寝から起きたら忙しくなりそうだ。いくつかの案を思い浮かべながら、俺は眠りについた。





 昼寝から起きた後、外で栗田と一緒に居た那須じいも呼び入れ、少し今後について話しあう。


「オーガたちを助けるにあたって、衣・食・住にどう着手するかを考えたい」


 みんなは座って話を聞いてくれている。


「俺は、住はそこまで力を入れなくていいと思っている」


 大木の家は地面に牧草を生やしてもらって、そこそこ快適に住めているからだ。


「そうだね、追っ手が来て逃げることになったら無駄になるよね」

「わしも厩舎だけあれば文句ないわい」


「なので衣と食、特に食だ。どちらも二つにわけて考える。『現状を手っ取り早く良くする支援A』と『なるべく自立を促す支援B』だ」

「そうですね。長生きさんたちですし、私たちが居なくなったら元通りになるようじゃいけませんね」


「じゃがまずは手っ取り早いほうのAじゃな。さすがに今は痩せすぎじゃ。オーガらしくなってもらうためにも、がっつり食ってもらう必要があるわい」


「たくさん食べて元気になってから、狩りの方法とか道具を教えるほうがいいにょろ」

「トラ美の本気を見せるときが来たようだにゃ」




 トラ美は三回、狩場を往復して熊・鹿・猪を仕留めてきた。


「「「鹿が喰える、猪(しし)が喰える、熊が喰えるぞー」」」

「「「肉が喰える喰えるぞー、肉が喰えるぞー」」」


「那須じい、何やってんだ……」


 広場では、トラ美の獲物の血抜きをしながら、那須じいがオーガの子供たちと一緒に歌っていた。


「ぐへへ、歌は教育において重要な役割をもつんじゃよ」

「その歌がどう子供の教育に役立つんだよ」

「わしらの技能あっての生活じゃという認識を、な」

「恩に着せすぎるのは好きじゃない」


 どこかで聞いたような歌なのでおそらく替え歌なのだろう。


「でもすごく楽しそうですよ。トラ美ちゃんも歌にされて、嬉しそうです」

「そのとおりじゃっ、続きいくぞいっ」


 那須じいは子供たちを振りかえって歌を再開した。


「「「トーラ美ーのおーかげーで肉が喰えるぞー」」」

「「「肉が喰える喰えるぞー、肉が喰えるぞー」」」


「はぁ……普通にやれないもんなのか」

「トラ美の賛美歌らしいにゃ」


 たしかにトラ美はまんざらでもなさそうだった。


 強くて頼れるトラ美は、オーガの心を完全につかんだようで、さっきの賛美歌を歌いながらも、子供たちは首元のモフ毛に抱きついてくる。


 こちらに来て以来、町ではトラ美は怖がられていたせいか、なごやかに子供がじゃれてきているのを見るとほっとする。

 

「さあ肉と芋を蒸し焼きにするぞい! がっつり食ったら少し寝て、起きたら訓練じゃ!」


 那須じいは教官気取りだ。


 トラ美の狩りにしろ、俺のキュアにしろ、オーガたちの自立とはほど遠い。つまり今は支援Aのみだ。


 何か安定して食料を確保できる手段を提供する必要がある。

 できれば場所が変わっても使えるような手段がいい。


 だが狩りの方法・道具などの知識はあいにくと持ち併せてない。

……夜にまた那須じいに相談してみるとするか。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。