迫害
前話
セフの親友と子を無くした経緯
陽気な宴ムードは完全に消えさっていた。
「我らオーガには『死者を埋葬するときに食べ物を一緒に埋める』という風習がある。天に昇る長い旅路の最中に腹を空かせないように、と願いを込めてな」
少し虚ろな目のセフがうつむきながらつぶやく。
「だが、アナグマ二匹をそうするわけにはいかなかった。一族の全員が飢えているのだからな。それも親友が命をかけた獲物だ」
自嘲気味な雰囲気で自らの膝をぱしりと叩いた。
「物心ついてから、ずっとひもじい思いをさせた。ずっとだ。天に昇るときすら、何も持たせてやれなかった」
周囲のオーガ達もさめざめとむせび泣いている。
「我が子を亡くしてルゼーナ神に問いかけた。古代より共に歩んで来たはずの人間の子と、我らオーガの子で、なぜ、こごまで、歩ぐ道が違うのが、どな……」
セフは涙でもう声になっていない。俺はオーガだけが、特別ひどい迫害を受けているという話を思い出していた。
「人間の俺にこう聞かれるのはとんでもなく苦痛かもしれないが、俺達は事情があって世事に明るくない。もしよければ、オーガがこれほどまでに迫害される事情を聞いてもいいだろうか?」
セフとオーセは族長のミンカブのほうを見た。ミンカブは目を細めた後、ゆっくりと話しだす。
「長い話になりますが、オーガの歴史を語るは族長の務めです。お話しましょう」




