# 第一話 恋のバーコード 三日後。
# 第一話 恋のバーコード
三日後。
悠斗はスーパーの制服に着替えながら深呼吸していた。
「よし……今日は失敗しないぞ」
そう決意して売り場へ向かう。
しかし。
「おはよう!」
元気な声が聞こえた瞬間。
決意は吹き飛んだ。
美咲だった。
白いシャツにエプロン姿。
朝の光を浴びて笑う姿は、今日も眩しかった。
「お、おはようございます!」
「そんなに緊張しなくていいよ?」
美咲はクスッと笑う。
悠斗の顔は真っ赤になった。
---
午前中。
悠斗は品出しを任された。
飲み物を棚に並べていると、
美咲も隣で作業を始める。
「慣れてきた?」
「まだまだです」
「でも頑張ってるの伝わるよ」
その言葉だけで、
疲れが吹き飛んだ。
単純かもしれない。
でも好きな人に褒められるのは特別だ。
---
昼休憩。
休憩室で弁当を食べていると、
美咲が向かいの席に座った。
「悠斗くんって部活は?」
「サッカー部です」
「へぇ!」
美咲は目を輝かせた。
「私、サッカー観るの好きなんだ」
「本当に?」
「うん!」
話が盛り上がる。
好きな選手。
学校の話。
休日の過ごし方。
気付けば休憩時間は終わっていた。
「もっと話したかったな」
美咲がそう言った瞬間。
悠斗の心臓は大暴走した。
---
だが。
午後になって事件は起きた。
「美咲ー!」
一人の男子が店に入ってきた。
背が高い。
爽やか。
どう見てもモテそうな男だった。
「お兄ちゃん!」
美咲が笑顔で駆け寄る。
(お兄ちゃん!?)
悠斗は安心した。
しかし次の瞬間。
その兄が言った。
「彼氏できたか?」
「できてない!」
「嘘だな」
「嘘じゃない!」
兄妹のやり取りに周りのスタッフも笑う。
悠斗も笑った。
だが同時に思う。
(彼氏……いないんだ)
その事実だけで、
今日は最高の日になった。
---
閉店後。
店の外へ出ると、
空には星が広がっていた。
「お疲れさま!」
美咲が隣に並ぶ。
「お疲れさまです」
「悠斗くん、頑張ってるね」
「ありがとうございます」
「私ね」
美咲は少しだけ微笑んだ。
「頑張る人、好きなんだ」
その言葉に。
悠斗の心は完全に奪われた。
---
家に帰ったあと。
悠斗はベッドへ倒れ込む。
そして天井を見ながら呟いた。
「もっと頑張ろう」
仕事も。
学校も。
恋も。
全部。
好きな人に胸を張れる自分になりたかった。
しかしその頃――
美咲もまた、自室で今日のことを思い出していた。
「悠斗くんか……」
そう呟きながら。
少しだけ笑っていたことを、
悠斗はまだ知らない。
---
### 次回予告
**第二話「文化祭の約束」**
学校の文化祭が近づく中、美咲から突然のお願いが!
「よかったら文化祭、遊びに行ってもいい?」
恋する悠斗に訪れた大チャンス!
しかしそこには意外なライバルも現れて――!?




